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イマジン×サバイバル   作者: 鷹
第1章 創造神シトラリクエ
6/14

6.樽マトリョーシカ

スマホ様、電波障害…。繋がらない…。謎のフィードバックがなおらない(泣)



豹柄ミイラの言葉をサックリ無視して、早く樽を開けるように促す。

[…はい。]

豹柄ミイラは樽の蓋の縁を歩きだし、一周したあと片足でトントンと叩いた。

[ビンみたいに、回すと取れるようにしといたよ。蓋付きの方が便利だと思うし]

しっぽがブンブン振られている。犬?

とりあえず無視して、言われた通りに樽の上のところを右に回すとパカッととれた。


ウチの踵の痛みは何だったんだ。

中を見ると、また樽。中くらいのまごうことなき樽。

「樽マトリョーシカ…」

ついさっきも同じ事があった気がするんだけど…?

チラリと豹柄ミイラを見る。

しっぽをブンブン振って、キラキラした目で誉めて誉めて!って幻覚が見えるのは気のせいだろうか?

[それも開けちゃう? 開けちゃう?]

キラキラした目で…以下略。


ウチは無言で中樽を豹柄ミイラに渡すと、先程と同じ工程で開ける。

60センチ程の中樽の中身は30センチ程の小樽。

樽マトリョーシカ…。

小樽も同様に開けてもらい、中身を確認する。

小樽の中身は…パセリ。新鮮なパセリだった。しかもみっちりと。

「何故パセリ…」

[ビタミン取れるね~。樽全部、鮮度落ちないようにしておいたよ~!]

パセリでビタミン取れるのか。

そういえば栄養関係の本でパセリって、卵なみに結構栄養豊富な野菜だって書いてあったような?

妊婦さんが食べ過ぎると流産しやすくなるとか、高血圧や冷え性、むくみ、あとは胃の痛みの緩和とか…。

あれ、効能は思い出せるのに肝心の栄養素が思いだせない。

まあそのうち思いだせるでしょ。

なんにせよこれで壊血病の心配はなくなったかな。

ウチ、結構パセリ好きだし。

卵に粉チーズと刻んだパセリを混ぜて卵焼きにするとおいしいけど、材料も器具も桴の上じゃ無い物ねだりだよね。


[じゅるり…]

大樽の上でじいーっと、ヨダレを垂らしている豹柄ミイラに、とりあえずパセリを与えてみた。決して毒味させているつもりはないが、なんとなく。お腹すいてるみたいだし…。

嬉しそうにウチの指をハシッと掴み、目を細めてモシャモシャ食べている。

「苦くないの?」

コクンと頷いてまた食べはじめる豹柄ミイラ。


〔パパセリ ビタミンA、B2、B6、C、E、K、葉酸、カリウム、

カルシウム、鉄、銅、食物繊維など栄養が豊富な万能野菜。多少苦味はあるが熱を通す事で緩和できる。脇役と思うなかれ〕


うおっ!?

ビックリした。いきなり表示された吹き出しに地味に驚いてしまった。

あ、ごめんなさいの顔文字がでた。

ウチが驚いたからかな?


〔名称を確認する事で、マスターの知りたい情報が表示されます。有機物等は生息地、栄養素から効能、カロリー、レシピまで様々な詳細を知る事も可能です。無機物等は採掘地、原材料、製作工程等も可能です。通常は簡易的な説明を表示しております。〕


何か、長々と説明する吹き出しが…。


〔危険度が高い場合、真贋はオートで表示されます。〕


ふーん、便利だからいいか。毒とかで死ぬ事はなさそうだ。

[ねえ、ねえ!君は食べないの?]

豹柄ミイラがウチの指を両手でブンブン振って聞いてきた。口と思われる所に、パセリのクズがついている。

「………ついてるよ、パセリ」

[う? どこ? とってとって?]

猫みたいに毛繕いをしてるが、耳とか頭を毛繕いして、口の所はやらない。わざとなの?

とりあえず、親指でぬぐって取ってあげる。

こんなのが神様なの?

[さっきから豹柄ミイラって言ってるけど、僕の名前はシトラリクエだよ。こんなの呼ばわりは酷くないかな?]

そんな舌噛みそうな名前呼べるか。

[ガーン]

効果音しゃべったよ、豹柄ミイラ。あと、ウチは思ってはいるがしゃべってはいないけど?

[君の考えてる事は、僕には解るよ~。神様だから!]

「……変態?」

[ガーン!?]

二度目。

「…じゃあ、リク」

[う?]

涙目で見上げている豹柄ミイラ、シトラリクエ。略してリク。

「名前」

すると、みるみるうちに表情が明るくなっていく。

[リク? 僕の名前!]

しっぽも耳もパタパタして、ウチの肩にピョンと乗ってきた。

頬にスリスリして、体全体で嬉しさを表現している。

まあ、喜んでいるならいいか。


とりあえず、樽どかそう。

桴の4/1しめているし、バランス考えないと桴ひっくり返るよね。

大樽は桴の隅、対角線の隅に中樽と小樽かな…、とりあえず。

風や波で落ちないように固定しなきゃ。

無くす前に、中樽に鮫の歯と竹の枝、なんちゃって草束子タワシを入れておこう。せっかくゲットできた樽だもん。一個も無駄にしないよ。

邪魔にならないよう、リクは中樽の上に移動してもらう。

[あ、そうだ。大樽の底にロープとレザーシート入ってたよ。中樽の底には針金も入ってるよ]

なんと。

樽マトリョーシカに気をとられて気付かなかったよ。

リクはお土産と称して持ってきたメーカブとやらを小樽の中に突っ込んでいる。

「それ、乾燥させた方が効果あがるって」

メーカブを取り上げて、ブラックなんちゃらの皮の側に置いて弦で挟んでいると、リクが首をかしげて聞いてきた。

[え? 何で知ってるの?]

「何でって、そう書いてるじゃん。謎の吹き出しに」

メーカブの上を指差しリクを見る。

[吹き出しって何?]

「は?」

あれ? 神様なのに見えてないの?


〔真贋はマスターにしか見えません〕


……さいですか。

「…日本だと、海藻とか茸は乾燥させると、旨味成分がまして美味しくなるし、日保ちもするから。魚もそうだけど」

とりあえずごまかそう。

[おいしい…、じゅるり]

メーカブをじっとみたまま、ヨダレを垂らしているよ…。

この神様、実はかなりの食いしん坊なのでは?

[それは否めないかな? おいしいものは正義!]

ドヤ顔ですか。

さっきの生パセリも正義ですか。草食動物…

[神様だからね!]

ドヤ顔×2。

意味わからん。

……樽、固定しよう。



























やっと名前で呼ばれました。リク君、歩夢さんのスルーに負けずに頑張ります。

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