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イマジン×サバイバル   作者: 鷹
第1章 創造神シトラリクエ
5/14

5.レッツ、サバイバル!!

遅くなりました。

サメの歯をゲットしたウチは、さっきブラックなんちゃらを捕まえる前に引っこ抜いてしまった草を、8の字型に束ねて真ん中で縛る。戦国時代とかで縄を束ねて食器を洗っていたのを思い浮かべ、それを草で代用するのだ。


ゲットした15センチ程の虎ばさみ状のサメの歯を一度、海水でバシャバシャと濯ぐ。ニャンコシャークっていう、かわいらしい名前に反してデスロールを咬ますサメは、体内に寄生虫を飼ってるみたいだし、きれいに洗わないと。歯が鋭いから怪我をしないように慎重に擦る。

歯の隙間は、竹の枝の余分に落とした所を桴に押し付けて、竹の繊維をバサバサに広げてから磨く。

日本が開国前はこれと塩で歯を磨いてたらしいし、イケるでしょ。

歯茎から血が出そうだけど…。まあ、今はサメの歯だから無問題!


「あれ?欠けた所がある…」

上顎か下顎か解らないが、歯の一部が根本から欠けていた。

サメの歯が食い込んでいた竹を見ると、欠けた歯が2つ、突き刺さっていた。

噛む力が強かったのか、その竹は節の所まで割れ、隙間に歯が埋まっている。

回収しよう。

使えるものは使わないと損である。これ、我が家の家訓。

歯を指でつまみ、割れた隙間に竹の枝をぶっ指しつつ、グリグリとつまんでいる歯を揺すれば、無事に欠けた歯も回収できた。

後でブラックなんちゃらから剥ぎ取った皮で磨けばそれなりに切れる包丁がわりにできるでしょ。

幸い、この桴に組まれている竹の太さは大小様々で竿や銛に使えそうな太さ2、3センチ程のもあるし縄もある。

少し桴の強度は落ちるかもしれないが、背に腹は抱えられない。あとで引っこ抜こう。


さて、食べ物は魚があればお腹は膨れるけど、ビタミン不足は否めない。ビタミン類が摂取できないと脚気や壊血病になる恐れがある。特に壊血病は大航海時代に死に至る病と恐れられていたくらいだ。

原因はビタミンC不足。

ウチらの体には日常の食事でだいたい1000~1500mgのビタミンCが蓄えられている。

それが500mg以下を切ると、皮膚や粘膜、歯肉の出血(ひどい時は歯が抜ける)でこれらの影響で息が臭くなったり…。他にも貧血や感染への抵抗力が弱くなったり、裂傷した傷が治り難い、古傷が開いたり、治っていた骨折も剥がれるなど様々な症状がでる。

脳にも影響がでて、うつ状態になり幻覚をみたりする事もある。

ビタミンCは熱に弱いし基本は生で摂取した方がいいのだが、海の上ではビタミン豊富な柑橘類や野菜があるわけない。

体内のビタミンCが500mgを切るまでのタイムリミットは30~90日、およそ3ヶ月。

それまでに誰かに見つけてもらうか、陸地にたどり着かないとせっかく助かった命も無駄になる。


それと、一番の問題は水だ。

水が無くても最低一週間は持つがそれは陸地での場合だ。

海の上では、日除けもなければ雨水を貯める容器もない。太陽燦々輝いてる中で水分がとれなければ熱中症になる。

水がなければ海水を飲めばいいと思っているのは間違いだ。塩分濃度の高い海水を飲めば、余分な塩分を出そうと体内で飲んだ倍以上の水分が持っていかれ、最悪、脱水症状。それに、海水にはほとんど死んでいるが様々な細菌がいる。

考えてみて欲しい。魚や海鳥達の排せ……いや、やめとこう。魚食べれなくなるわ。

とにかく、多少の塩分は必要だが、そのまま海水を飲むのは危険過ぎる。

ビタミン不足+熱中症+脱水症状=御臨終。

嫌な方程式だ。

天候にも左右されるだろうし…。

夜は冷えそうだし、嵐になったらどうしよう…。

ウチ泳げないし、体力的にも自身がない。現代っ子のモヤシ並みの体力だからね…。

弟よ、ウチは思っている以上に危険な状況にいるよ…。

まあ、何にしても水の確保が最優先。

そう都合良く樽とかバケツとか流れてくるわけ…。


一瞬、白く光った先に樽が浮いていた。波に乗って桴の側まで流れてくる。

さっきまで何もなかったような…?

まあ、いいや。運が良かったんだよきっと。

手を伸ばしてなんとか樽を引き寄せ桴に引き上げる。

「ぬぬぬ…結構重い…」

バランスを崩してまた海に落ちたくないから、慎重に引き揚げ、無事に回収出来た。

木製だけど比較的新しい感じかな?

腐ってる所とかないみたい。大きさも横幅が30センチ程でウチの股下位の高さだからかなりの大きさの洋樽だね。

中身なんだろう?

ワインとか、果物系のお酒だったらビタミンとかとれそうだけど…。

蓋…は、しっかり閉められてるよね?

今ここにある道具は竹とサメの歯、ブラックなんちゃらの皮、縄もしくは植物の蔓。

開けれる気がしない。

仕方ない。ここはウチの踵落としでトライして見ましょうか。

せいやッ!!

ガインッ。

「~っつーッ! いっ、いったーい!?」

桴の上で踵をさすりながら唸ってしまった。凄く痛い。

やっぱり無理だった…。


洋樽って金属で締めてるからよほどのことがない限り壊れないか。蓋の部分もしっかり固定されてるし…。でも、ダボ穴(栓)なんてどこにもない。

日本の酒樽や菰樽は鏡開きみたいに木槌で割ったりバールとか鐫とか使って開けるけど洋樽はさっぱりだね。

やっぱりここは…

[え~?樽の上に乗ってジャンプはやめた方がいいよ?また海に落ちちゃうから]

………。

海藻を鬘にした豹柄ミイラふたたび。

樽の上で足を組んでいい放った姿に微妙にイラッときた。

ウチは無言で首根っこを掴んで海にポイッと捨てる事にした。

[わー!わー!? ごめんなさいいっ! それ、僕が開けるからっ!許してくださいー!]

じたばたする豹柄ミイラ。

〔メーカブ 深海の底に生える海藻。食べると水中でも呼吸できるようになる。乾燥させると旨味成分が凝縮され更に効果が高まる。入手困難な事から高値で取引される〕

勝手に表示された吹き出しに、首根っこを持ったまま、ピタリと止まってしまった。

[こ、これ! お土産! 貴重なんだよ? 一口食べるだけで半日は水中で息ができるようになるんだ! だから捨てないで!?]

両手を前で組んでお願いポーズからの、樽の上でペコペコ土下座。

行動と見た目はかわいいが、ウチをここに連れてきた元凶はこいつだ。なぜウチだけここに連れてきたのか原因も不明だし、一緒にいていいのか判断に困る。

神様だろうが悪魔だろうが、信頼を数値に現すとしたら底辺に近い。

[て、底辺…。]

何か落ち込みはじめた。

涙目で見上げ、うりゅうりゅしているが、騙されてはいけない。

[か、加護もあげちゃうよ]

「そんなもんより、樽開けて」

考えを放棄して、神様だろうが使えるもんは使おう。

[そ、そんなもん…。僕の加護が、そんなもん…]

さて、樽の中身はなんだろな~?




















歩夢さん、無意識でスキル発動。


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