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イマジン×サバイバル   作者: 鷹
第1章 創造神シトラリクエ
3/14

3.目覚めは桴の上で

勢いで書いてます。

「…説明してくれるよね?」

再度、ウチは尋ねた。

手の中の豹柄ミイラは、青い顔をしてコクコクと頷いている。

豹柄ミイラを掴んだ手を少し緩め、ウチは指さした。


「まず、質問。…ソレ、どういう構造してんの?」

ウチが指さしたのは、言わずもなが脱皮した謎の物体ころもである。

[質問そこなの!?]

だって気になるんだもん。背中から割れたの見ちゃったし。

着ぐるみみたいなイリュージョン的なものがあんの?

繋ぎ目何処だ。

指で軽く引っ掻いてみるが、相変わらずのもふもふプニプニ感。割れた中身が、豹柄ミイラのマトリョーシカとか色んな意味で怖い。

じたばたペシペシする豹柄ミイラは、果たしてまた脱皮するのだろうか。


[う~っ! 着ぐるみじゃないし、マトリョーシカでもないよ!? 僕は神様だよ! ちょっとは敬おうよ!?]

若干涙目で、今度はぷんすかペシペシしてるし。

からかうと面白いな豹柄ミイラ。

「まー、ソレはお空の彼方に放り投げて、あんた誰?」

鑑定だか真贋だかわからんが、創造神シトラリクエって書いてあったからそうなんだろうけど、一応確認の意味で聞いてみる。

[僕何度か説明しようとしたよね!?]

知るか。豹柄包帯の印象が強すぎて、正直なんで海のど真ん中で、桴で漂流してるのか頭の中から吹っ飛んだわい。

あ、よく見るとちっこい耳もついてた。動物のミイラなん?

だから豹柄なのか。でも垂れ耳のマンチカンぽいよねこれ。


[コホン…。僕は創造神シトラリクエ。君のいた世界だと、星とか天の川、地球とか、死とか暗闇とか造ったんだよ。(配偶神シトララトナックとだけど…)]

最後の方はボソボソと言ってたので聞き取れなかった。

「それで?」

[えーと、残念ながら君は死にました!]

「だから?」

[うっ…、大雨で夜中に川の堤防が崩壊して、山の崖崩れと土砂で家ごと飲み込まれました。]

「だから?」

[あう…、だから助けて頂きました…。]

「…だから?」

[う~っ! ごめんなさい、僕がりましたーっ! ちょっとした出来心なんです! 山頂の岩が寝心地悪くて創り直そうと、でもどうせなら風景もこだわりたくて、湖でも創ろうかなと、欲張って川の流れを変えたら溢れて、ああなりましたあっ!!]

だから………。

「原因はてめえかあああっ!!?」

フルスイングで海に放り投げた。

[ご~め~ん~な~ざ~いいい~っ!]

海に沈んで行く豹柄ミイラを睨みながら、ぜーぜーと肩で息をする。

人をおちょくる50の方法の『だから殺法』でスルーしようとしたけど、出来んかったじゃないか。

でも、さっき溺れた時にみた光景と、豹柄ミイラが言った事が繋がった。

「夢、だと思ってたのに」

ポツリとつぶやく。視界が滲み堰を切ったようにポタリ、ポタリと涙が零れた。

家族は無事だったのだろうか。

馬鹿弟は無事に、あの屋根に避難していた人達と救出されたのだろうか。

なんともいえない喪失感に胸が締め付けられる。

やりたかった事も、家族も、夢に向かって努力してた事も、全部。

ごしごしと涙を無理矢理拭い、キッと空を見上げる。

訳もわからない言葉を大声で叫んだ。

よし、いっぱい泣いた。

あとは前に進む! うじうじするのは一回でいい。

まずは、状況整理だ。


桴の周辺を見てみる。解っていた事だが海だ。

桴の上にはウチ以外何にもない。

桴をよく観察してみる。

均等的に節があり、長さは大体2メートルから3メートル。

横幅は2メートル程、大体二畳位か。

縄と、植物の弦で編まれてかなり頑丈そうだ。

手を海水に沈めて桴の厚さを調べてみる。結構厚い。ウチの肘位だから大体20センチぐらいかな。

材質は竹と何かの草と、木。

人工的に造った浮島に近いのかもしれない。

そのお陰か、草の隙間に魚が何匹かいた。

ニヤリ。

そーっと、手を入れ草に押し込むようにガシッと掴む。

手応えあり!

「魚ゲットぉー!!」

空にかかげ雄叫びをあげる。一緒に草も引っこ抜いてしまった。

「腹が減っては戦は出来ぬ! 火はないけど内臓と皮と血にさえ気をつければ大抵は毒はない! はず…」

掴みあげた魚は鰯か鯵か? それなら生でもイケる! しかも手で捌ける!

期待に胸を膨らませ手をおろす。

[ぷきゅ~]

口に魚を加えた豹柄ミイラを問答無用で海の彼方へ放り投げたのは言うまでもない。






















次回から、サバイバル開始です。

歩夢さんはさばさばした姉御肌のお姉さんをイメージしてます。

人をおちょくる50の方法、姉が持っていた何かの4コママンガで見た記憶が。あれ、誰描いたのかな…?

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