14.真実は真贋さんからやってくる。
助かるんだけど、やっぱり色々とツッコミさせて!?
アコヤゴン…新種の恐竜か! シロバタフリャーもクロバタフリャーは蝶々か!
イケイケバタフリャーは活動的な蝶々なの!?
ガラスガイはカラスとガラス、かけてるの!? もじってるの!? ドウビンだけなんで地方で呼ばれてる名前で呼ばれてんの!?
パルパルは真珠イコール、パールだからっ!?
なんなの、ここ!?
真贋さああんっ!?
〔マスターのいた世界の地球に似たガラシア系第3惑星ガイアです。〕
………ぱーどぅん?
〔マスターのいた世界の地球に似たガラシア系第3惑星ガイアです。〕
吹き出しが太文字になったあああっ!? 顔文字怖いいいっ!?
『言』って漢字入ってるだけでなんか怖いいっ!?
〔ガイアは創造神シトラリクエが新しく創造した惑星です。マスターはこの惑星に創造された最初の人類です。〕
吹き出しを見てグリンと振り返りリクを見る。
背中を向けて哀愁を漂わせながら、ウチが考えていた屋根を半分完成させていた。ありがたい。
いや、そうじゃなくて!
小さな体で器用に錐で竹に穴を開けている。
むにっとリクを掴みあげればぐえっ声があがったが気にしない。
「最初の人類ってどういうことなのかなぁ?」
にっこりと笑って問いかけてみた。
[あうっ!?]
鳴いた。
[なんで知ってるのおおっ!?]
真贋さんが教えてくれたからね。偶然だけど。
というかリク、心読めるんじゃなかったの。
[お、怒ってる…?]
「怒ってはいないけど、ちゃんと説明して」
しっぽと耳がへにょりと垂れ下がり、涙目でプルプル震えてるリクの頭を撫でてちゃんと目線をあわせて聞いた。
コクリとうなずいてリクは話し始める。
[えっと、ここはね。僕が創造した新しい地球なんだ。でも君がいた地球とは違う平行世界の地球、ガイアだよ]
平行世界…?
SFとかファンタジー小説ですか?
いきなり斜め方向にぶっ飛んた話に、思わず眉間を抑えて考え込む私を見て、怒らせたのかと思ったのか、リクはビクリと震え慌てて手をバタバタさせた。
[でもでもっ! 文明が進めば君がいた地球と同じ科学が発展した世界になるはずだよ! 良かったね!]
何が良かったね、なのさ。
ちっちゃい手でサムズアップする豹柄木乃伊に苛立ちを覚えたが、冷静になれ自分。
あ…、そういえば、人をおちょくる50の方法『だから殺法』で話半分で聞いてだけどリクのイタズラというか質の悪いコダワリのせいで、とばっちりにあったんだっけ、ウチ。
「あのねぇ、ニュー○ンとかアインシ○タインとかラ○ト兄弟みたいな人達がいないと発展するものも発展しないでしょうが。それに科学が発展したとして浸透するまでウチが生きていられる訳ないでしょ?」
[あうっ!]
「そもそも、アンタが謎のコダワリをみせなければウチ死ななかったよね?」
自分でもイヤな事言ってると思うが、本音だ。
リクが言っていた事か本当なら、あの土砂災害はなかったはずだ。弟は助かる可能性はある思うが、母さんは…多分死んだ。身体が余り丈夫な人ではなかったしあの濁流にのまれて無事な訳がない。
生き残った弟はこれからかなり苦労するだろう。
「…家族をなんで助けてくれなかったの…」
言うつもりがなかった言葉が小さく漏れた。
[…ごめん。]
謝ってほしい訳じゃなかった。
自分が、ウチ自身が、それを認めるのが怖い。
「……弟は、生きてるよね?」
[………]
沈黙で全てが解った。
知らず、頬に涙が伝う。
弟は、家族は結局助からなかったのだと。
目の前の豹柄木乃伊を憎む事は簡単だ。
怒り、憎しみ、全部ぶちまけて罵倒したって、家族は帰って来ない。
それに、リクの話が漠然とだけど、何処か矛盾している感じも否めない。
昼寝して景観良くする為に、堤防壊すとかイカれ過ぎている。