11.闇夜の海
遅くなりました。
真っ暗で何も見えない。
日が暮れると同時に早く寝たせいか、真夜中? に目が覚めてしまった。
屋根をレザーシートで覆っているため、外の様子は波の景色しか見えない。風も波も凪いでおり、静かな潮騒の音だけが聴こえる。
もぞもぞと這い出て、桴の入り口から外の様子をみた。
「……わお」
闇夜の水平線と一面に広がる星空。
まるで、宇宙の中にいるような感覚になる。
ミルキーウェイが海面に反射して、キラキラと瞬いていて…。
あまりにも星が多過ぎて、誰もが知っているような北斗七星とかカシオペアとか探しだせる気がしないよ。
ウチが住んでいた地域はわりと田舎だったけど、一面に広がる宇宙のような星空なんて、真夜中に放映される民営放送の番組や、写真でしか見たことがない。
あー、失敗した。
こんなんだったら桴に屋根つけなきゃよかったかも。
でも、雨とかで身体が冷えるのは怖いしな…。
うーん、折り畳み式の幌みたいな屋根にすればどうかな。オープンカーみたいな屋根っぽいやつ。
さらにわかり安く言えば扇みたいに開く感じのね。
明るくなったら改造しよ。
水も確保しなきゃいけないし、風の影響の事もあるからその辺も考えないとね。
海のど真ん中の海上サバイバルでこの星空はご褒美だ。
明かりの少ない田舎でもこんな星空なんて大金を払っても一生見れない。
ネガティブな思考はすぐ、死に繋がる。
不安や恐怖に飲み込まれてしまえば、体がすくんで動けなくなる。
脳に焼き付いた〈死の瞬間〉の記憶は、心的障害として、いつかウチに襲い掛かってくるはずだ。それがいつになるかわからないけど…。
極度の緊張状態で、体が硬直して今まで出来ていた動作が急に出来なくなる、イップスになる可能性も捨てきれない。
ポジティブに考え、何事もたのしまなきゃ。
あっ!
流れ星!
軌跡が長い。もしかしたら明日か明後日には流星群見れるかも!
うしっ! 桴の改造頑張ろう!
しばらくぽけーっと眺めていると、なんか胸の辺りがもぞもぞした。
やだ、虫!?
目が暗闇に慣れていないから、手探り感覚でシャツをバタバタさせて払うけど中々落ちない。
仕方なくシャツを脱いで、脱いだシャツで体をバタバタと払う。
…取れたかな…?
シャツを広げもう一度はたいてから腕を通そうと下を向いた時、胸の谷間に感じた覚えがある、モフモフプニプニ感。
[むにゃ~]
ウチの胸にスリスリし、気持ちよさそうに寝る豹柄木乃伊。
「………。」
起こさないように、そーっとドンブリの頭の側に置いて、豹柄木乃伊ごとロープでぐるぐる巻きにした。
リクは爆睡中なのか起きる気配はない。
しばらく観察していると、ドンブリの口にちゅーしている。
……。
このエロミイラがっ!
これから寝る時、このエロミイラを簀巻きにして寝ようと誓った。
歩夢さんのお胸は程々にありますよ。