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冬の雨が上がる時  作者: 登夢
第1部 家出・同居編
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私はラブドール?

おじさんがベッドから離れた。眠っていた。気が付いて目覚まし時計を見たら5時少し前だった。身体がだるいし、あそこにも鈍い痛みが残っている。しばらく横になっていることにした。私がしなければならないことはなにもない。


キッチンから音がする。おじさんが夕食の準備を始めたみたいだった。そういえばお腹が空いて来た。おじさんが玄関を出て行く音がした。どうしたんだろう?


しばらくして戻ってきて、ベッドのところまで来た。眠ったふりをしていると「夕食にチキンカレーをつくることにした。食べるか?」と聞かれたので、すぐにおじさんに顔を向けて頷いた。


おじさんはキッチン戻って行った。それから、カレーの匂いがし始めた。お腹が空いた。私は散らばっていた部屋着や下着を集めて身づくろいしてキッチンのテーブルについた。私はカレーの出来上がるのを黙って見ている。


おじさんが大きめの皿と中くらいの皿にご飯とカレーを盛り付けると「食べるぞ」と声をかけてテーブルの椅子に腰かけた。


「食べてみてくれ」というので、すぐに食べてみる。意外とおいしいので夢中になって食べる。


「おいしいか?」と聞かれたので頷く。おじさんは満足そうに笑った。


「このごろずっと弁当ばかりだったから、うまいな、うまくできた。レトルトカレーよりずっとうまい」


自画自賛している。すぐに二人とも食べ終えた。


「ごちそうさん。うまかったか?」


「おいしかった」


「それはよかった。たまには料理をつくるとするか」


おじさんの料理はまんざらでもない。これなら食べても良い。それから、私は立ち上がって食器を流しに運んで洗い始めた。


「洗ってくれるのか?」


「はい」


私が返事したので、顔をじっと見られた。おじさんは私が口を利かないのを気にしていたようだ。私に悪いことをしていると思っているのが分かった。私はもう気にしていない。なすがままになっているだけでここに置いてもらえるし、食事もできるし、服も買ってくれた。


休日で食事の時間が早かったせいもあるけど、まだ7時を過ぎたばかり、昼間も寝ていたので、おじさんもまだ寝る気にならないみたい。


テレビを一緒に見ようというので、真ん中の6畳の部屋のソファーに腰かけてテレビを見る。すぐにおじさんは私を抱き寄せて身体に触れて来る。私は黙って動かずに身を任せている。


「まるでラブドールを抱いているみたいだな」


おじさんが寂しそうにつぶやいた。それで私はおじさんに寄りかかるようにした。おじさんはそれに気づいて私の肩を抱いた。私はぼんやりとテレビを見ている。おじさんも黙ってテレビを見ている。


9時になったのでお風呂に入る。二人で入るが、おじさんはもうそれにも飽きてきたいみたいで、私に背中を洗わせてすぐに上がって行った。上がる時に「お風呂から上がったら今日買った下着とパジャマを着ておいで」と言った。


私は言われたとおりに、隣の部屋で今日買ってもらった下着とパジャマを着ておじさんが待っているベッドへ行った。


おじさんは私を上から下までジッと見た。そしてとても嬉しそうに「とっても可愛いね。パジャマもよく似合っている」といった。私は可愛いと言われて嬉しかったのと買ってもらったお礼の意味を込めておじさんに微笑んでみせた。


ベッドに座るように促されて、そばに行くとすぐに押し倒されて、着たばかりのパジャマも下着も脱がされた。これにも慣れてきた。ただ、身を任せていればいい。


どれだけ時間が経ったか分からないが、私はおじさんの腕の中にいる。疲れを感じてもう眠りたい。目をつむって寝たふりをしていると、おじさんが起き上がった。薄目を開けてみると私の寝顔を見ているみたい。あんな優しい穏やかな顔を初めてみた。しばらく私を見ていたようだけど、私はそのまま眠ってしまった。


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