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冬の雨が上がる時  作者: 登夢
第2部 再会・自立編
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銀座のデパートでデートした!

銀座のデパートは人でいっぱいだった。会場に近づいただけで、いい匂いが漂ってくる。二人はしっかり手を繋いでいる。


「いいところを選んだね、プロ意識が出てきたのかな?」


「学校では、美味しいものを食べないと腕が上がらないと言われていました」


「美味しいものを食べていないことを腕が上がらない理由にしてはいけないと思うけど」


「でも、あまり美味しいものを食べていなかったように思います」


「俺が悪かった。未希に美味いものを食べさせてやれなくて」


「これからは自分で美味しいものを食べます」


「今日は自分で食べるものは自分がお金を払うんだよ」


「いろんなものを食べてみたいから、いいことを思いついた」


「どうするんだ?」


「二人で違うものを買って、半分食べたら交換する」


「それはいい考えだが、普通はしないな」


「山内さんとならできる」


「少しは遠慮してみたらどうかな、自立した女性ならば」


「自立しているから、そういう人が必要なんです」


本当にそう思っている。山内さんに甘えてみたい。そうされることが嬉しいみたいに山内さんは甘えさせてくれる。そしてそれに甘える。私もそれが嬉しかった。


3品ほど食べたので、テーブルで一休みする。合計6品食べたことになる。こんなのんびりした気持ちになったのは久しぶりだった。


そばには山内さんが私を見つめて手を握っていてくれる。この時間を大切にしたいと思った。


「お腹がいっぱいになると心まで満たされますね。この時間を大切にしたい」


そう私が言うと、山内さんは私の顔をジッと見た。


「どうしたんですか?」


「俺も同じことを考えていたので驚いた」


「驚くことではありません。元々心が通じ合っていたではありませんか?」


「未希はそう思ってくれていたのか、気付かなかった」


私はこのごろそう思えてきたから、それをそのまま伝えただけだった。山内さんのほっとした様子が見て取れた。


それからまたそれぞれ3品ほど買って食べた。半分食べて交換したから、合計12品も食べたことになる。お腹がいっぱいになった。腹ごなしに銀ブラすることにした。


今日は土曜日なので歩行者天国ではなかった。多くの外国人観光客が歩いている。歩道は込み合っている。二人で手を繋いでただ歩いている。


「未希の自立のお祝いに何かプレゼントをさせてほしい」


「うれしい。ありがたくいただきます。クリスマスプレゼントはいつもしています。ほら」


私は右手をみせた。山内さんは以前からそれには気付いてくれていた。ときどき私の右手を見ていたからだ。


「大事にしてくれてありがとう。今度も俺の趣味でいいか?」


「その方がいいです」


目の前にブランドのジュエリーショップがあったのですぐに二人で入った。今度はブレスレットにしようと言う。


丁度よさそうなのが見つかった、値段も手ごろだ。デザインが二通りあったので、私に好きな方を選ばせてくれた。そして、その場で着けてもらって帰ってきた。


私はお礼に今度の日曜日、クリスマスのディナーに招待するから6時に部屋に来てほしいと誘った。もちろん山内さんは快諾してくれた。


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