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冬の雨が上がる時  作者: 登夢
第1部 家出・同居編
33/49

20歳の誕生日、自立と旅立ち

2月になって私は就職先を決めた。私はコックとしての腕を試してみたかった。そして中堅ホテルチェーンのホテルのコックとして採用された。独身寮があるという。私はおじさんにどうしたら良いか相談した。


「就職が決まったけど、独身寮があって希望すれば入れるのですが、どうすればいいか迷っています」


「未希はどうしたいんだ」


「いつまでもおじさんのお世話になっているのも申し訳ないし、でも今までのお金を返し終えていないと思うし」


「俺は、未希はこのまま俺と一緒にいるより自立した方が良いと思っている。お金はもう身体で十分に返してもらった。気にすることはない」


「それなら、独身寮に入ります」


「そうした方が未希のためだ。自立して好きなように生活してみるのがいい」


私は自立できることになって嬉しかった。私はおじさんとこのまま暮らしてもいいと思っていた。でも去年の暮れにおじさんにお嫁さんにしてほしいと言った答えはまだもらっていなかった。これがその返事だと思った。


おじさんは私のことを好きだといってくれた。それならなぜ私を手放すのか私には分からなかった。でもこのまま縁が切れるわけではない。私が就職して自立して暮らし始めるだけだ。いつでも会いたいときに会える。


私の引越しの日の前の晩、おじさんは私の20歳の誕生日と就職のお祝いを兼ねていつものレストランで食事をご馳走してくれた。おじさんといろんな話をしたが、おじさんは私に話を合わせて、私の話をずっと聞いていてくれた。


食事の後、いつものように二人で手を繋いで歩いて帰って来た。公園のところ来ると桜が咲いていた。私は夜桜を見たいと言って池の周りの遊歩道を1周した。おじさんが1周で帰ろうとするのでもう1周したいと言った。


私は人がいないところでおじさんにしがみついてキスをねだった。おじさんは私を抱き締めてキスをしてくれた。別れが近づいていることはお互いに分かっている。


そして、アパートに戻ってきて、最後の別れを惜しんだ。いつもと同じように、二人でお風呂に入って、身体を洗い合って、ベッドで抱き合った。


おじさんは手と口で私を可愛がってくれて、私はもうそれだけで何度も何度も昇りつめた。私は口で試みてあげたがやはりだめだった。それでもおじさんは私がぐったりするまで可愛がってくれて、抱き締めて眠ってくれた。こんなおじさんは初めてだった。嬉しかった。


朝、私は目が覚めたらすぐにおじさんに抱きついた。それでおじさんも目を覚ました。私は「ありがとう」と言った。おじさんも「ありがとう」と言った。


私がここへ来た時と同じように、おじさんが朝食を作ってくれて二人で食べた。10時に引越し屋が来て荷物を搬出していった。


それから、私はアパートを離れた。別れ際、おじさんは「困ったことがあったら何でも相談にのる。いつまでも俺は未希の保護者だ」と言ってくれた。私は「ありがとう」と笑みを作ってみせた。本当は悲しくて泣きそうだった。


おじさんは駅の改札口まで送ってきてくれた。おじさんとの2年4か月の同居生活が終わった。ありがとう。さようなら。またね!


◇ ◇ ◇

これで、冬の雨の日に出会った家出JKと性悪のサラリーマンとの凄まじいラブストーリー「冬の雨があがる時」第1部 家出・同居編 はおしまいです。二人にとっては、めでたくもあり、めでたくもなしの自立の旅立ち・別離でありました。第2部 再会・自立編 をお楽しみに!


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