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冬の雨が上がる時  作者: 登夢
第1部 家出・同居編
31/49

父親の一周忌と母親の三回忌

今日は4月17日で父の一周忌、母の三回忌だ。おじさんと二人で多摩川へお墓参りに出かけた。私がおじさんに父と母の話をしてから、おじさんがおかしくなって身体に変調をきたした。


あれから、もう1年が経っているが、おじさんに回復の兆しは見えない。抱き合っていても私に何もしようとしないし、できないのだと思う。寂しい気持ちはあるが、抱いて寝てくれているので心は満たされている。


川岸から二人で手を合わせる。


「私はおじさんのお陰で幸せに暮らしています。おじさんの身体を元のようにしてください」

私は大声で叫んでいた。


「いいんだ、いいんだ、俺自身の問題だ。未希の両親には関係ないことだから」


おじさんは寂しそうにそういった。おじさんは回復することを今ではもう諦めかけているのかもしれない。元気になってほしい。私にできることがあれば何でもしてあげたい。


今のおじさんの私を見る目は父親の目に近いと思い始めている。あのころのようなギラギラした目ではなく、柔和な優しい目だ。その優しい目で見つめられて、それに包まれていることはとても心地よい。


とはいうものの、やっぱり、あのころのギラギラしていたおじさんに戻ってほしい。そして私を好き放題にしてほしい。そんなことを時々思う。私も大人の女になってきたということかもしれない。


私は調理師学校に通う生活にも慣れて、ウィークデイの夕食を作っている。調理師学校の授業が進むほどに調理の腕が少しずつではあるが、確実に上がってきているのが自分でも分かる。


学校に行って仲間の学生たちと話したりすると、おじさんとの年の差を感じる。まわりの学生はほとんど私と同じくらいだから、おじさんとの生活に慣れている私にとっては、皆ずいぶん年下のような気がする。


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