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冬の雨が上がる時  作者: 登夢
第1部 家出・同居編
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19歳の誕生祝い

私は早生まれだから歳を取るのが人より遅い。3月20日は19歳の誕生日。おじさんが6時からいつものレストランで、高校の卒業と19歳の誕生日と調理師専門学校の入学を兼ねたお祝いをしてくれることになった。


アルバイトを終えた私はおじさんとレストランへ電車で向かう。このごろ、私は気持ちがとても落ち着いて来ている。高校を卒業できたし、アルバイトをしてある程度の貯金もあるので、お金の心配がなくなっていることもあるし、一番はおじさんが私を気遣って面倒を見てくれているからだ。


席に着くとすぐにおじさんにお礼を言った。


「こうして高校を卒業して、調理師専門学校へ入学出来るのも、すべておじさんのお陰です。ありがとうございます」


「俺は未希との約束を守っているだけだ」


「おじさんの身体があんなことになって、約束どおりに身体で返せていません」

私は声を落として話す。おじさんも声を落とす。


「いいんだ、それは俺の問題だから、あれからも夜寝る時に返してもらっているから」

「ただ、抱き締めて寝てくれているだけです」


「今の俺にはそれで十分なんだ」


「それでいいのなら私は言うことはありません」


料理が運ばれてくる。


「未希、調理師専門学校では一生懸命に勉強して力をつけたらいい。社会に出たらそれだけがたよりになる」


「分かっています」


「未希は料理がそれほど得意ではなかったからね」


「母は私に家事の手伝いを余りさせませんでした。私が勉強に集中できるようにと思ってのことだけど、それが母の負担を増やして過労になったのだと思います。もう少しお手伝いしていたらと後悔しています」


「お母さんは未希に勉強してもらいたかったんだ」


「お母さんは高校中退だったから就職に苦労したみたいで、私には高校を卒業させたかったようです」


「これでお母さんは安心しているだろう」


「これからは学校から帰ったら、私が夕食を作ろうと思っています。朝食も私が準備します」


「確かにそれが学校での復習にもなるし良いことかもしれない。俺にもメリットがある。是非そうしてほしい」


「最初はうまくできないかもしれませんが、いいですか?」


「あまり期待しないことにしよう」


「でも頑張りますから、少しは期待してください」


「ごめん、本当は楽しみにしている」


おじさんは私が夕食を作るといったことが嬉しかったみたいだ。でも当然のことだと思っている。少しでもおじさんの役に立って恩返しがしたい。


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