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冬の雨が上がる時  作者: 登夢
第1部 家出・同居編
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高校へ復学できた!

4月6日(木)が始業式だった。私はクリーニングに出してあった制服を着て登校した。おじさんは私が制服に着替えるところをじっと見ていた。そして「制服が良く似合うな」と言ってくれた。


おじさんは9時過ぎに帰ってきた。すぐに玄関まで迎えに出る。私はいつもこの時間は食事を済ませてテレビを見ている。おじさんは買ってきた弁当を食べながら学校の様子を聞いてくる。


「クラスの担任は石田先生だった」


「良かったじゃないか」


「困ったことがあったら相談してねと言われました」


「クラスメートはどうなんだ」


「男女半々で知らない子ばかり、石田先生が美崎さんは事情があって去年1年お休みしたので、1つ年上ですと紹介してくれた」


「クラブの後輩でもいるんじゃないか」


「私、高校ではクラブ活動しないで、ずっとアルバイトしていたから、後輩はいません」


「そうか、でもその方が気が楽だな、同級生から先輩、先輩と言われなくて。お金は大丈夫か? 足りなければ貸すからな」


「アルバイトで貯めたお金があるから大丈夫です」


「それと授業は大丈夫か? 分からないところがあれば教えてやるから遠慮なく聞いていい。これでも一応、大学は出ているから」


「私、お勉強が苦手だから、お願いします。せっかく行かせてもらったのだから卒業したい」


「あと1年だから頑張れ。土日にでも勉強を見てやる。安心していろ。それから困ったことがあったら何でも相談してくれ。俺は未希の保護者だから、出来るだけのことはしてやる。いじめにあったらすぐに言え、学校に怒鳴り込んでやるから、いいね」


私はおじさんに笑顔で頷いた。おじさんは私が笑うととても嬉しそうにするのをもう知っている。


◆ ◆ ◆

復学してから私は休まずに学校に通っている。通学経路も決まった。決まった時間に出て、決まった時間に帰れるようになった。帰りに蒲田の商店街を歩くのが楽しい。


経路が決まったので定期代を教えると、意外に安いと驚いていた。おじさんにあまり迷惑をかけたくないから、この経路を選んだ。定期代と携帯代が予算内に収まったと言っていた。


私はアパートに帰るとコンビニで毎日短い時間だけどアルバイトをする。学校から帰るとおじさんにメールを入れて、これから何時までバイトと知らせる。私のことを気にかけてくれているのでおじさんも安心するみたいだ。「スマホを買ってやってよかった。未希のことがよく分かる」と言っていた。


それから「身体は大丈夫か」といつも聞いてくれる。「学校では授業を聞いているだけだから疲れない、心配しないで」と答える。でも疲れている時はある。それが分かるとその夜は、おじさんは短い時間で終わらせてくれる。ただ、週末は思い切り可愛がってくれる。私の状態を見て大事に扱ってくれているみたいだ。その心遣いがありがたい。


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