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冬の雨が上がる時  作者: 登夢
第1部 家出・同居編
17/49

父からの脅し

3月に入って温かくなってきた。おじさんとの同居生活は落ち着いてきている。私は新学期に備えてアルバイトに精を出している。今のうちに貯金しておかないと、通学を始めたらアルバイトは放課後と土日祝日位しかできなくなる。


私はアルバイトしたお金で少しずつ身の回りの持ち物や衣服を買っている。おじさんも時々一緒に外出した時に私が気に入った衣服を買ってくれる。


今日はおじさんがいつもより遅く10時を過ぎたころに帰ってきた。


「今日、未希の親父に10万円を渡してきた。金を借りたいと言ってきた」


「この前、50万円渡したのでしょう。またですか?」


「俺たちの住んでいるところを見つかってしまった。俺の勤めている会社も」


「どうして分かったのですか? おじさんは慎重に隠していたのに」


「俺を品川駅で見かけて後をつけたそうだ。まず、会社までつけられて、それから帰りをつけられてこのアパートの部屋まで確かめたそうだ。この部屋の番号を知っていた」


「それで、金を50万円貸してくれとせがまれた。はじめは未希を100万円で売ると言っていたのを50万円に値切ったからと言って」


「また、50万円も」


「警察に淫行で俺を訴えると脅してきた」


「父は同意書を書いたはずです」


「そんなものはすぐには役に立たない。逮捕されてから出すことになると脅してきた」


「それで」


「お金がないからといって10万円に値切った」


「それで10万円なんですね」


「貸してくれと言うので一応借用書は書いてもらった」


「ごめんなさい」


「未希が謝ることはない。悪いのはお前の父親だ」


「私が貯めたお金でお返しします」


「いいんだ、これは俺とお前の親父の問題だ」


「なら、身体で返します」


おじさんはそれを聞くと「そうか」とだけ言って、缶ビールを開けて弁当を食べ始めた。


「未希の誕生日は3月20日だから、あと10日で18歳になる。時間が経てば、脅迫のネタも消えていくだろう」


おじさんにこれ以上迷惑をかけたくない。早く18歳になりたいと思った。


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