第1章7
色々挫けそうになるがやれば出来る子なんだ。今は色々困難な時なんだと自分に言い聞かせる。
とりあえず5人で領主様に会いに行く事になった。
「あれ?聞いてた人数より1人多いわね。まあ良いわ。私がここの領主よ。魔物を退治してくれてありがとう。褒美をあげたいところなんだけど・・・」と中学生くらいの女の子が歯切れ悪く言う。
こんな寒村で褒美を期待出来ると思ってない。人口は50人くらい。土地の半分は砂漠。日々の生活も苦しいだろうと想像出来る。そんな所に魔物が来ると全滅もありえただろう。
「私は聖ヴァレンタイン王国の第2王女ローズよ。あなたは?」国名を聞いて笑いそうになるのをガマンして「ヴィンハルトと申します王女殿下。」
第2とはいえ王女がこんな寒村の領主?と疑問に思っていると・・・
「あなたは何をするためにこんな所に来たの?」明らかに怪しんでるようだ。
「実は後ろの3人の女性が盗賊に囚われていたのを助けたのですが奴隷紋を入れられておりました。王都であれば消せるのではと考え向かう途中でした。」
ローズが3人の方を見て何か気付いたようだ。「あなたたちはオットー男爵の・・」というとラナとルナが「ラナ=オットーです。」「ルナ=オットーです。」と2人が答えた。
初めて苗字を知った瞬間だ。「どこかに売られそうになる所をご主人様に助けていただきました。」
ご主人様というキーワードが気に要らなかったのかローズが怒りをぶつけてきた。
「あんたね。この国は奴隷禁止なのよ。」八つ当たりのような話だ。「私が彼女達を奴隷にした訳ではありませんよ殿下。」静かに威圧を込めて言う。
「奴隷禁止というならば何故彼女達がそんな事になっているか、この国の王女殿下にお聞きしたいのですが?」と僕が言うと「し、知らないわよ。」と力弱く言った。
泣きそうな顔になってしまった。(イカン、これでは意地悪な人になってしまう。)
『ミッション:この村を復興せよ。手持ちのギルの使用を許可します。』
突然だし、抽象的だなあと思っていると『人口1000人以上でクリア』と来た。となるとこの王女から説得しないといけないな。
「王女殿下、この村をよくしたいと思いませんか?」と機嫌を取るよう笑顔で言うと「突然何なの?」と言われる。
「寂れたままで良いのですか?」「良くはないわ。あんたに出来るの?」「私にお任せ下さい。村人を1年以内で1000人にします。」「ホント?お小遣いも増える?」僕は苦笑しながら「はい」と答えた。
まだまだ子供だなと思いながら。戻ったら爺と相談だな。
「爺、ミッションだ。この村の復興だ。」と言うと「分かりました若!この爺めにお任せを。」爺の魔法で地下水脈を当て生活水と農業用水を確保。
次に山を削り海に繋げる。塩と魚を確保。そして村にきちんと通路を作る。農業と商業、出来れば漁業を活性化させよう。
「俺は予定通り王都へ向かう。なるべく早く戻るから無理をするな。」というと「早速取り掛かります。若が戻ってきた時は驚くようにしますよ。」と嬉しそうに出て行った。
そういえば、ローズが村に来たタイミングで魔物が来たようだ。
偶然なのだろうか?あまりにタイミングが良すぎる気はする。情報が少なすぎてまだ分からないが爺がいれば・・大丈夫だな。
僕たちは予定通り王都に向かうとしよう。