第15章王国再編2
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オローシア帝国 第2都市
以前の帝都から北東300km離れた場所。ここが今の帝都である。オシリスキーは引きこもっていた。帝都と180万の将兵を失ったショックから立ち直れていない。
嘗て悪魔の王、狂犬と呼ばれた面影は無くなっている。「陛下、そろそろ政務にも差しさわりが出ていますぞ!それにまた忌々しい王国が砦を国境に築きました。」と宰相が言う。
「左様か。」とどうでも良い事のように答える。「あとアリバからヴィンハルト王国から攻められたら助けて欲しいと言ってきております。」と宰相が言う。
「辺境軍に要請しとけ。」と言って立ち去る。(もうこの国はダメだな・・・)と宰相は思った。
テーゼ国 首都テーゼ
小国テーゼはオアシスで栄えた町だ。旧シランとは仲が良かった訳でも無いが取り立てて悪い訳でも無かった。多くの部族がおりテーゼが部族長なのだ。
テーゼは今悩んでいた。ヴィンハルト王国とどう付き合えば良いのか分からなかった。テーゼには子供が多くいた。
上が28歳で1番下は13歳だ。人質も側室も出したく無かった。ただオローシアやシランを撃退、壊滅させる力がある。テーゼなら一瞬で終わるだろう。
「わたくしが参りますわお父様。」と17になるルフランが言う。ヴィンハルト王は各国の代表に側室も人質もいらぬ。と言ったが曲解されている。
(いずれ攻めてくるつもりなのだ・・)と思われてしまったのだ。だからテーゼも悩んでいたのだった。
結局これという打開策も無くルフランに全てを託すのであった。
ルフランは生まれて初めての遠出で初旅でもあった。ヴィンハルト王国に入って最初に思ったのが道が整っていると感じたのである。
(この前シランを滅ぼしたばかりなのに、もうこんな道が出来ているのね・・)と驚いていた。
そして遠方からでも城が見えるようになり段々と近づくと山のような城門が見え驚きのあまり意識を失いそうになる。
(大国の城ってみんなこんなに大きいの?)と思いながら城門を潜ると広い道に活気のある商店が立ち並ぶ。唖然としながら王宮に入る。
謁見の間に通されると「余がヴィンハルトである。楽にされよ。」と声を掛けられる。凛とした涼やかな声、端正な顔立ち、神々しいまでのオーラだ。
「テーゼ国、テーゼの娘ルフランと申します。」と言ったが声が震える。「して、いかなるご用件かな?」と笑顔で聞く。
「わ、わたくしを側室に、し、していただけないかと・・」と少しづつ小さな声になりながら言った。
「以前、人質も側室も無用。侵略する意思は無いとお伝えしたと思うが伝わっておらぬのかな?」と優しく言う。
「き、聞いているのですが・・やはり不安なのです・・」と言われ、然もありなんと思うハルトであった。かと言って取れば側室が増える一方だ。
仕方なく別室に行き「あの言葉遣い疲れるからね。正直どうすれば信じてくれる?」と聞かれ「分かりません・・」とルフランが答える。
「私が綺麗じゃないからそう言って断られているのですか?」と悲しそうに言う。
現代日本のキャバ嬢なら君はその店NO,1になれるよ!と励ましたいハルトだがきっと通じないであろう。
「戦いで迷惑するのは、いつも民なのだ。だからむやみやたらと戦ったりはしないよ。」とハルトが言っても「でも・・今までたくさん戦われていますよね?」と言う。
「よし!君たちの国に行こう!そして話し合いをしようじゃないか!」とルフランを抱え飛んでいくハルトであった。
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