第10章統一編4
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「分かってます・・・ですがどうすれば良いのでしょう?」「どうしようもないかな。」「そんな!!」「では例え話をしよう。父を殺せば国が助かる。父を助ければ国が亡びる。」
「君はどちらも選びたくない。何も犠牲にせずに何かを得られると勘違いしてる。そんな事ない。分かってるというならやっぱり結局君達はお父さんと同じだよ。あの人も頭では分かっているんだ。」
そう言われてトパーズは考え込む。(たぶん・・ううん、この人が言ってることはしっかり調べた上で言われているんだわ。)
「君達の父上は決して馬鹿では無いよ。先も読めるし情報もキチンと把握されている。ただ決断力が無いんだ。うちとの同盟も早い時なら出来ただろう。それも分かっておられるはずだよ。」
(確かに父はそんな事を言っていた。でももう本当にどうしようも無いの?3人の誰かが側室になれば或いは何とかなる?)
「たぶん今、君が考えている手に僕は乗らないと思うよ。残念だがその程度で兵が得られるとは思わない方が良いよ。君主は兵に死んで来いと命令するんだからね。」と言うとトパーズは目に涙を浮かべた。
(思った以上に私は甘かったんだ・・確かに側室1人で何千人、何万人を死なす。そんな事・・)
「だから敵対しないのは約束しよう。」
(ここで泣いてちゃダメ。このままじゃ姉達も弟、兵や民も死んだり奴隷になるだけ。)「分かりました。ありがとうございます陛下。」
(急いで戻らなきゃ、国が・・家族が・・無くなる。)
アルメニア皇国 王城内
「3日も考えてあんな事言うなんて・・・本当に情けない!!」とガーネットが怒りを露わにする。「な、何を言ってるんだ。お前達の事をどれほど心配してるか分からないのか?」と父が言う。
「ガーネットが正しいわお父さん。」とパールが静かに言うと「何も分かってないのはお前達だ!!」と怒り狂う。「謀反が起きるかも・・」とアランが言う。
「視察くらいの話でなんで謀反なんだ!バカも休み休み言え!!」と父の怒りは収まらない。
そんな時にトパーズが視察から帰ってきた。「トパーズ!!ここに座れ!!何故勝手な事を言った?」と今度はトパーズに怒りをぶつける。
「お母様、お父様は本当に病気のようですわ。」とため息をつきながらトパーズが言う。
「お姉様、アラン。たぶん近いうちに謀反が起きます。どうすれば良いか一緒に考えて下さい。」「だ、誰が謀反など・・そいつを先に討てば良いだけだ。」と父が言う。
「お父様、この国の貴族の大半よ。」と寂しそうにトパーズが言うと「そんな情報はどこにも無い!!」と怒る。
「居るとジャマだからガーネット縛っておいて!」とパールが言う。「ヴィンハルト王と話をしたのね?」とパールが聞く。
「僕が何もしなくてもこの国は亡びる。と仰られました。しかも近いうちだと言われたので急ぎ戻りました。」
「私達が側室になっても味方にならないかしら?」とパールが言うと「側室1人の為に何千、何万の兵に死ねと命令しないと仰りましたわ。」「でも敵対はしないと約束しました。」
「私たちに何千の兵の価値ないかあ。ちょっと自信なくすなあ。」と笑う。「父を殺せば国が助かるのと父を助けて国を滅ぼすのをどちらか選べとも言われました。」
「そんなのどっちも無理よ。」とパールが言う。「王が君達も父親そっくりだなと言われました。決断出来ない、しない所がと。」そう言うとみんな黙る。
「父さんに引退してじゃダメなのかなあ?」と泣きそうなパール。「引退しないでしょうね・・・」とトパーズが言った。「そうね・・しないわね・・」とパールが泣き出す。
「決断を先延ばしにした罰よね。選択肢は無くなってしまったもの・・・」
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