第6章激動編1
少し話が進みます。
アルメニア皇国の国王が疑問に思うのも無理はない。
だが帝国には帝国の事情という物がある。それは・・・・12代皇帝マケイーヌが70歳なのだ。
帝国第一皇子(42)正室第一夫人の子
帝国第二皇子(33)正室第二夫人の子
帝国第一皇女(23)正室第三夫人の子
帝国第二皇女(17)側室(平民)の子
そして帝国宰相(69)なのだ。それぞれの子が次期皇帝を目指している。1人を除いては。
第一皇子、性格温厚で優柔不断。政治や戦より芸術を愛す。息子が1人(20)ドラ息子だ。
第二皇子、性格好戦的、視野が狭く独善的。政治に興味なし。
第一皇女、性格オテンバで男勝り。帝国のアマゾネスと呼ばれている。よく第二皇子と衝突している。
第二皇女、性格大人しい。控えめ。皇位継承に興味なし。
第一皇子が第一騎士団団長で5割が支持。
第二皇子が第二騎士団団長で3割支持。
第一皇女が第三騎士団団長で2割が支持。
第二皇女が近衛騎士団、女性隊隊長で支持0である。
宰相としては陛下崩御となれば内乱になる可能性が高いと思い、外のヴァレンタインへ目を逸らし国を挙げ一致団結を図ろうとしていた。
しかし、そうならなかったのだ。だがハルトを消せばヴァレンタイン王国はまた乱れる。
それは間違いないのだが結果として内患外憂とさらに悪化した。
「と、まあこれがハルト様を暗殺しようと企んだ理由ですかな。」とフランク、爺が報告に来た。
「若、どうされます?」と聞かれ「ペインがダメだったなら暫くは大人しくするだろう。」と答えた。
日本でも70歳前後の経営者は珍しくないがこの世界だと厳しいだろう。サラリーマンであれば年金生活してても良いお年頃だな。
「後継者をはっきりさせないと争いになる可能性は高そうだな。」と僕が言うと「既に3人の側近から争いになれば支持して欲しいと打診して来てます。」と爺が言う。
「ハンゾウとフランクに引き続き情報収集を頼もう。」と言うと「儂の方でも何かあればお知らせします。」と爺が言う。
ラフランス帝国では
第一皇子派の会合
最大勢力だけあって焦りは無い。「そういえばヴァレンタイン王国の動きはどうなのだ?」とステイーヌが言う。「今の所、こちらをどうこうする気は無さそうでございます。」と腹心たち。
兵力もこの派閥だけでヴァレンタイン王国と戦えるだけ居るのだ。「では奴らの派閥の切り崩しを引き続き行うのだ。」と指示して会合を終わる。
第二皇子派の会合
「またか!!」と叫んでいるのはノライーヌである。兄の派閥からの勧誘、引き抜きで去年から1人、また1人と去っているのである。ノライーヌは独身である。実はリリイを狙っていた。
ヴァレンタイン王国と手を結び逆転を狙っていたがよく分からない、ヴィンハルトと言うヤツに獲られたと思って恨んでる。「どいつもこいつもジャマばかりしやがって!」と怒りを露わにしてる。
第一皇女派の会合
「誰か良い案はない?」とラミアが言う。勢力は小さく引き抜きも無いが勧誘も出来ていない。所謂1と2に入れなかった者たちの集まりなのだ。「隣国と結びつきを深めてはいかがでしょうか?」と腹心が言う。
「怒らず聞いて頂けますか?」と腹心が言うと「ふん!」と鼻を鳴らし「言ってみな。」と言う。
「ラミア様がどちらかの国の王と婚約します。」「なんだと!!」「あ、あくまで婚約でございます。」
「それと・・ラミア様主導で第二皇女様をどちらかに嫁がせるというのはどうですか?」そうすれば2国からの協力を得られる。
火事場泥棒の可能性も低い。婚約ならのちに解消すれば良い。
「悪くないな。うん!悪くない手だ。」少し考え「父上と相談だな・・」と呟く。
こうしてハルト達も思わぬ形で巻き込まれていくのであった。
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