第3章ローズ村編5
王城にて
病気療養の為と称して、宰相が領地に戻って2カ月が経った。
実は騎士団派筆頭のシルバーベルも時を同じくして病気になり療養の為と言って領地に帰ったのだった。
死霊が現れた時、防衛騎士団は王都の民を防衛、避難誘導をしているという話だったが何もしていなかった。
宰相から何もしなくて良い、後始末は儂自らが行うと言われ安心していたら、使徒様とやらが現れ解決し、むしろ宰相は尻拭いに奔走していた。
民からは真の黒幕は宰相ではないかと噂が広がり怨嗟の声が上がっていた。
宰相が逃げるように領地に帰った後、民の怨嗟はシルバーベルに向けられた。
本来自分を庇う立場の宰相が逃げたため、貴族派までが彼を非難し始めた。
死霊が現れた時に貴様は何をしていたのだと。
この腑抜けと露骨に言う輩もおり王城で彼の居場所は無くなった。
そしてシルバーベルも後を追うように自分の領地に逃げ帰ったのだ。
今、宰相代理になっているのは王家派で唯一の閣僚だった内務卿セデス辺境伯だ。
宰相が権勢を誇っている時は内務卿は閑職だった。
大公派、騎士派の2大巨頭が王都から居なくなるとは夢にもおもわなかったであろう。
セデスの妻は王の妹、リリイやローズの叔母になるのだ。
ある日、リリイは宰相室に来ていた。
「叔父様、お願いがあるのですがよろしいですか?」
「可愛い姪のお願いなら聞かねばならないな。」とセデスはニコニコして答える。
「ローズから手紙が来て5千人の労働者をローズ村に欲しいと言ってきてるのですが・・・」リリイも言いづらそうに言った。
5千人と言えばちょっとした町の人数だ。
セデスの昔の記憶ではローズ村は砂漠にポツポツと何軒かある村とも呼べない過疎地だ。
「分かった。すぐにとは言えないがまず調査員を派遣しよう。」
「ありがとう叔父様。」とリリイは言って部屋を後にした。1人になったセデスは考えている。
(確かローズは15歳になったばかり。あの寒村で何をしようと考えているんだ。)
早速10人程度の調査員をローズ村に行かせた。
2週間後、調査員達は驚くような報告書を持ってきた。
(これは・・・本当なのか?)信じられなかった内容だ。
実際に現地に行った責任者を呼んで話を聞く事にした。すると責任者がやってきた。
「すまないが報告書だけでは分からない事や信じられないことが多すぎてね。」と苦笑する。
女性調査員目線
まず10人の調査員(男5人女5人)が着いて目にしたのは街だった。
王都より整然と整えられた石畳で出来た通路。
道の幅もきっちり10mで決められていた。領主館に着くまでに商家があり活気に満ちている。
各商家には馬車を停める駐車場があり十字路には交通整理人が立っている。
領主館に着くと少し変わった服装した男達がローズを守っていた。
「私の親衛隊よ。」と事もなげにローズが言う。
「要件は?」と言われセデス様から5千人が必要な理由を調査せよと言われた事を伝えると「そう。姉上や叔父様に感謝しなきゃね。」と笑顔で言われる。
「あなた達、お腹空いてない?案内してあげるわ。」と言われ1件の店に連れていった。
昼を過ぎていたので店はそんなに混んでいなかった。
店内は涼しく美しい給仕の女性が4人いた。
スカートが短く綺麗な足が覗いている。
屈むとパンツ見えるんじゃないと不埒な事を思っていると「いらっしゃい!」と店主らしき金髪のイケメンが愛想よく出迎えてくれた。
王都には居ない私好みだ。「アンタが美味しいと思うのを出して!」とローズ様が言うと「あいよ!」と答えた。
男の調査員達は美しい服装、綺麗な顔、スタイルの良い給仕に目を奪われていたが、店主が「とんかつはソース、唐揚げは塩、サラダはドレッシングをかけなよ。」と言ってくる。
「ごはんと一緒に食べてみなよ。」と言われ食べてみると「どれも美味しい!」と思わず声に出た。「だろ?」と店主が嬉しそうに言っている。
「ローズ!食ったら隣で水着買って海水浴して夜は温泉に浸かってもらいなよ。」と若者が気安くいっている。
「う、うるさい!そのつもりだったわよ!」と言い返す。
隣の店に行くと「いらっしゃいませ!」と店員たちが口を揃えて言ってくれる。王都では見た事がない可愛い服やセクシーな服がある。
買って帰りたいと衝動にかられる。
「全員の水着を用意して!」とローズ様が言うと「かしこまりました!」と店員が答えた。
男も女もそれぞれ別の試着室とやらに入れられる。
「全て脱いでこれらに着替えて下さい。」と言われた。調査に来たのになぜ私は全裸になっているのだろう?




