第2章王都編6
王女視点
布陣は城の北、左が近衛、右にユリ、そして宰相の私兵がその間の真ん中になった。
「遂に来ましたわね。」と王女が呟く。
「姫様は我々がお守り致します。」アーナが言うと副官のセラも頷く。
アークは近衛の陣の中心にいる。王女とアーナ達は私兵とユリの間くらいにいた。
宰相の私兵はやる気がない。元々を言えば王都に物見遊山で来ていたのだ。
士気は極限まで低かった。大量の死霊が目前に迫ると一目散に逃げ始めた。
「冗談じゃねえ」「死にたくねえよ」「逃げろ!」戦いが始まる直前から既に半分くらいになった。
辛うじて百人くらいが戦っていたが、おそらく逃げれなかっただけであろう。
王女たちに回せる予備兵力はない。もうじき突破されると思っていたら5人の男達が王女に殺到してきた。
「アーナ!」と王女が叫ぶと「キサマら何をしてる!」と怒りを露わにして賊に切りかかる。アーナとセラが賊を取り押さえていたら遂に中央が突破された。
「もう・・ダメだあ」と絶望の涙を王女が零しかけた時だった。
1人の若者が現れたと思ったら、あっという間に押し返したのだ。若者が静かな口調で「ヴァルキリー」というと
若者の上空に天使が現れた。
「主の御前です。跪きなさい!」凛とした声が響きわたり明るい光が広がった。
死霊の動きがピタっと止まり「主に仇なす者たちよ。消えなさい!」死霊たちに光のシャワーが降り注ぎ10万が嘘のように消え去った。
王女を始め騎士団達も茫然としている。
(ヴァルキリーの声とあのセリフはマニアから熱狂的人気だったなあ)と懐かしんでいたら声をかけられた。
「私はユリ騎士団団長でアーナという。隣は副官のセラだ。」「私はヴィンハルトと申します。アーナ様セラ様。」
「治療が必要な方はおられませんか?この先の広場で4人の女性が待機しています。必要な方はお連れ致します。」
ハルト視点
怪しむかなと思ったがみんなついて来てくれた。
最初は少なかったがすぐ何百と集まり始めた。
4人では手が足りないと思い手伝い始めるとユリ騎士団しか来なかった。男は列を作っても美人が良いのだろう。
騎士団に死者は無かったようだ。私兵が2百近く亡くなった。
少し落ち着いてきたところでアーナが副官と綺麗な女性を伴ってきた。
「少し離れられるかな?」と聞いてきた。
4人はまだ少し忙しそうだが口説かれたりしているようだから大丈夫だろう。「良いですよ。」と答えた。
人目につかぬ場所でテーブルとイスが用意されていた。
アーナが開口一番「君は何者なのだ?」と聞いてきた。
①平凡な庶民 ②地球から来たサラリーマン ③異世界好きなチート野郎
発想が貧困なので3つともダメな気がする。
ふたたびアーナが「答えにくいようだな。質問を変えよう。あの天使様は?」
「あれは僕が召喚しました。」「それはあっさり答えてくれるんだな。」と少し呆れた顔をされる。
「お疑いなら今ここで出しましょうか?」と言うと「い、いや。良いんだ。」と疲れた顔になる。
「お疲れならどうぞ!」とHP回復薬を出す。《今どこから出した?》と3人が叫ぶ。
「まあ良い。君はこれからどうするんだ?」「ローズ村に帰ります。」というと綺麗な女の人が驚いた顔をした。
「ローズ村に家族がいるのか?」「この世界では天涯孤独の身ですよ。」「この世界?どういうことだ?」とアーナが怒ってる。
(しまったなあ。どうしよう。)困っていると綺麗な人が話かけてきた。
「フランクという人をご存じですか?」と唐突に聞かれた。
「スラム街の・・ギルドマスターなら。」
「そうです。闇ギルドのマスターです。彼も今ローズ村に行ってますね?」と言うので頷く。
「彼がこう言ったのです。私は神の使徒に出会った。気が狂ったとお思いになると思うが本当だ。使徒様にお仕えするが使徒様は王家派にも興味がおありだ。と言われました。」
そして思いつめた顔でこう言った。「ヴィンハルトはこの世界の名前ですよね?使徒様。」
しばらく静寂な時が流れ「申し遅れました。この国の第一王女リリイと申します。使徒様、我が国をお救い下さい。」
おーいみんな!死んで異世界きたら神の使いになったよ。ハハハ。なんかタバコ吸いたくなった。




