檻の中から彼女に忠誠を誓う
両手に手錠をかけられ、他の人と同じ檻に入れられた真太郎は檻の隅で丸くなっていた。
「どうしてこうなった…」
数分前ーー
「なんだてめぇ、ふざけやがって」
顔を殴られ、腹を蹴られボッコボコにされた
「こいつの身ぐるみ引っぺがしてさっさと殺しちまえよ!」
「まぁ待て、そもそもなんでアジトの場所がバレたんだ?他にも何人か潜んでるんじゃないか。」
「それもそうだな、おいお前らはこの辺りを隈なく探してこい!残りのメンバーはこいつから洗いざらい吐かせた後さっさと殺せ。」
(おいおいマジかよ、異世界来て一時間経たずに殺されるのか…)
さっき席を外した声がうるさい男が帰ってくる。
「おぉぉぉいてめーらぁぁぁよく聞けぇぇぇ!エピソードの旦那との連絡がついたぁぁぁ!!今から大事な事を三つ言うから黙って聞けぇぇぇ!!!」
近くで聞くと本当にうるさい
「兄貴!その前に一つ聞いてください、なんかガキが一人オレ達のアジトでーー」
「おい、オイラが喋ってんだろ?黙って聞けねぇか?」
「ひっ…す、すいません」
拳銃を頭に突き付け黙らせる
「よし、よぉぉぉく聞けお前ら!!まず一つ、あのエルフは4億エボーで売れるッ!!」
「嘘だろ!?」「ィヤッホーー!」「これで当分遊んで暮らせるぜぇ! 」
「落ち着けぇぇぇてめーらぁぁぁ、その交渉は明日の明け方にここで行われる!交渉成立後、白箱を全て片付け、こんな何にもねぇ場所とおさらばする!!」
(エボー?白箱?…くそ、わからない事だらけだ…)
「そして二つ目ぇぇぇ!!その金が手に入ればオイラ達は晴れて故郷へ帰る事が許される!!」
「マジすか…」「やっと…帰れる…」
モブ共が泣きそうになる
「そして最後三つ目ぇぇぇ!!!」
横たわる真太郎を睨み殺すかの様な視線を飛ばすうるさい男。
「オイラ達を嗅ぎまわってる奴らがいる」
真太郎の前に来て髪を掴みボロボロになった顔を間近で睨みつける。
「兄貴そいつどうしましょう」
「檻に入れとけ。そして何人かオイラについてこい」
そう言うとその男は馬に乗り出す。
「兄貴どちらへ」
「エピソードの旦那の機嫌を損ねねぇ様にもう何人か捕まえてくる。てめーらはそこでエルフの嬢ちゃんと他の奴見張ってな!!!」
「へい!」
兄貴と呼ばれるうるさい男が部下数名連れて馬に乗りまた姿を消す。
そして時は現在に至る
(くそ…そもそもなんで俺様が何の義理も無いこんな人達を助けなきゃならないんだよ…無視してればよかったかもな)
「貴方大丈夫?酷くやられていた見たいだけど。」
4億の女が真太郎の身を案じている。
「これくらい何でもない。それよりアンタ、人の心配してる場合じゃないだろ。売られるそうじゃないかここにいるみんなは。」
「私なら大丈夫です。出ようと思えばいつでも出られるので。そしてここにいる人達も売られる事はありません。その前に私が助けますから。」
彼女は笑顔でそう言った。正直こういうどこか余裕ぶっこいてる人は昔から大っ嫌いだ
「あーそうかい、なんか奥の手でも隠してるんだね」
「そんな所ですね、勿論貴方もここから出られますよ」
「なんか調子狂っちゃうなー、助けに来たのに逆に助けられるのか俺様は…」
「それではそろそろ出ましょうか」
そう言った彼女は急に指パッチンをする。すると檻の周りに居た下っ端共が一斉に倒れていく。
真太郎はその一瞬の出来事に唖然とする。が家から出て来た下っ端が見えたのですかさず彼女に知らせる。
「いや、まだあそこに一人いる!異変に気付いたのか!?何か手に持ってこっちに向かって走ってくるぞ!!」
檻の前まで来た下っ端は手に持っていた鍵を使い檻を開け、別の鍵で捕まった人達の手錠を外していく。
「助かったー」「何が起きたの!?」「奇跡じゃ…」
さっきまで怯えていた人達も何が起きたかわかっていないが安心している。下っ端は全員の手錠を外すとその場で倒れる。
「さ、一緒に出ましょうか」
彼女が真太郎に手を差し伸べる
彼女は何をする為に捕まって今何をしたのか全く理解出来ないが一つだけ理解出来るのが自分はその無類の強さに惚れていた。
「貴方に一生を尽くします…姫。」
この瞬間俺様はこの方に永遠の忠誠を誓った
ストック溜まって来たんで無くなるまでは投稿頻度早くなります。