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異世界遊神帳  作者: 火色 宙
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第7話 ゴブリン わが軍はすごいようです・・・

第7話 ゴブリン わが軍はすごいようです・・・


 長い・・・。卵だけあって洞窟の奥で生まれたことを実感する。

今俺たちは、リーダーゴブリンを先頭に、鍾乳洞っぽいじめっとした洞窟を歩いている。

一本道だけど、その途中にあるほかの部屋?からは恐らく同期?と思われるものがどんどん合流してくる。

 リーダーもそれぞれ一体を先頭に漏れなくついているようで、あの体格のいいメスゴブリンもそれぞれついている・・・。全部で200はいるぞ・・・。ゴブリンの新生児で200って多いな。ま、これから結構死ぬのかな? 一般的にどれくらいなの?

【大規模集落なのは間違いないでしょう。一般的には総数500で集落扱い。1000で部隊扱い。2000で災害扱い。5000以上は緊急事態と人間は意識しています】

 1000くらいかな? いや、まだ分からないか・・・。もっといそうな気がする。新生児でこれだけいれば・・・。大人合わせて、倍だとして400。あわせて600。そんな単純じゃなくて上位種がいればプラス1000としても・・。ま、推測してもしょうがないか・・。ん?ちょっと気になったんだけど、その人間の意識とか一般論ってどこが規準?小説とかおれの感覚かな?こっちのかな?

【女神の記憶です。下級神、この星を管理しているものの、話しなどを参考にしているかと思います。年代は古いのでご注意を】

 まぁ加護だし、そんな感じなのかな。そもそもあの二人、興味なさそうだったし。まぁいいか。それこそ考えてもどうせ分からないよね?

【肯定】

 ふむ・・・だんだん明るくなってきたな。

じめじめ感もなくなっている。足元に滑り止めなのか、草が引いてあったけどそれもなくなって、今はちくちくと石や岩の感触がする。

周りのゴブリンはときどきびくっとなってるところをみると、痛いのか。

俺は大人ゴブリンぎりぎりまでのステータスがあるから全く痛くない。ん?痛覚耐性ってどうなってるの?

【耐性に関しては常に上限に関係なくパッシブです、感触は痛みのない程度で分かります】

 おお・・いい情報!

『そっちは多いな?』

『ああ。期待できるぞ』

『もう分厚くなったか?』

『らしいな』

 あまりしゃきしゃき歩くのも問題だな。ひょっとして担当?のリーダーが自慢そうにいってる。

たまに痛いふりをしつつ三馬鹿にあわせて移動すること5分ほど。

鍾乳洞を抜けた。

 でも外ではない。不恰好ながら、出てきた洞窟の上、崖上になるのか、そこには葉っぱや木で補強された縁側、テラスが洞窟の上から飛び出している。俺たちがいるホール場の低地を見渡せるだろう。さらに出口のほうには、岩を積み重ねた守りの陣形が施してあるし、そこからも梁がのびて屋根として機能させ、屋内広場を実現している。

しばらく周りを見渡していると、自分たちが抜けてきた鍾乳洞の他に、2つの穴からもぞくぞくと同期?がでてきた。

 うおぉ・・・結構あたりな集落で生まれたのね。確実に多いぞ・・。

『狩り組み、出口で待つ』

『守備、このまま』

『戦組み、真ん中』

 リーダーの更にリーダー?が声を上げている。

これはもう言語だな。はっきり聞こえるし意味がわかる。狩り組みについていきつつ周りを見渡す。新生児は400くらいか?

 それにしても指揮系統がしっかりしているようだ。中央を見渡せるようにしている段上小屋。そこにいるやつらはみんなリーダー以上のリーダー?とにかく回りは全部格上なようだ。鍾乳洞真上の小屋にいるやつなんて装備が違うし知性を感じる。

完全に指揮が成立してるよね?あと言葉も。

【指揮系統に関しては肯定。言葉に関しては否定】

 どういうこと?

『言葉が分かる加護は、サポート対象に合わせて高度に同時通訳しています。あきらかに鳴き声など、種族間どうしでも分からないもの、あいまいなものも推測して通訳をしています。言語は人間に即してサポートされてよく言えば万能ですが、悪く言えば、意味を深くとりすぎている場合も多々あります。言葉の意味もそのまま受け取るのではなく、過不足ともに考慮したほうが懸命です』

 つまりは・・・・どうしたらいいの?

【話すときは普通に話して大丈夫です。聞く場合、こんなに言語が優れているとは考えないほうが良いという意味です。例を図解しイメージを送ります・・・】

 おお、四こまみたいな・・・。分かりやすい。ヘルパー様が成長して嬉しいです。

【否定、意思がはっきりしてくればこの程度のサポートは瞬時に可能な高機能設定です。精進してください】

 ふふ、照れちゃって。

【否定、妄想は危険です】

 妄想って・・・。まぁ、期待はしてるけど。ほら、なんかそういう小説あるじゃない。サポートシステムが擬人化していく系の。ってまぁ今でもいいけどね。期待しときます。

【あなた次第。現在の可能性1%以下です】

そりゃ厳しい・・・。

さて読み終わったところ。なるほどですな・・。「さっきの頑丈だ」「薬ぬっとけ」とかは、動作や身振りまで推測してそういう風に通訳していると。ほんとは、つよい!とか、塗ったらいいもの=薬とまでは考えてなくてそういう物の定義とかもない可能性があるってことか。習慣だからやってるだけとかかな?

【肯定、一般のゴブリンの場合、感情、感覚的に鳴き声や動作で言語と近い動作をしているに近いです。よって書き物はなく、集落によって若干の意味が違います】

 でも明らかにしゃべってる、命令してるって感じるのは、意思疎通が確固たるものとして存在していると考えていいよね?

【上位種に関してはいいと思いますが、その詳細な意味合い、含まれた意味合い、逆に抜けた意味合いなどはサポート対象であるあなたの感覚、偏見が作用しています。十分、気をつけたほうが良いでしょう】

 うんうん! ヘルパーちゃん! なんか今までで一番為になった気がする!

おら感激だべさ!

・・・はい、OKです! さてと・・・整列まではしないとして何待ちかな? 予想はつくけど、あの小屋の奥からお偉いさん登場ってとこかな。

『・・・すごい・・ね』

 チビゴブリンが周りを指差しながら言ってきた。

ふむ・・・確かにわが軍は強大だな・・。

『たくさんだな』

『・・・・うん』

『こくり』

『似てる・・・おれら。でも違う、あいつら』

 ほう、アホっこは、何考えてるかわからないようなぼーっとした面して、結構頭回ってるな。でもそれ以上考えるな。僕らは確実に一番下っ端だ・・。

まず、となりの真ん中のやつら、歯とか爪とかが長いしぎざぎざしている。筋肉も太い。

んで、留まっておくにいるやつ・・・あれはメスが多いし数も少ないけど、装備が与えられている時点でエリートコースだな・・・。体格もいい。

『真ん中に寄れ! 寄れ!!』

『寄るんだ!』

 うろちょろしだしたものに、怒声、手も足も飛んでいるところもあれば、エリートのほうは、ぶつぶつなにか呟きを命令されているように見える。学習というか同じ単語?鳴き声連発で覚えさせてる?

【推定。サポートも全種族の細かな生態については無知なのであくまで推定。それを知ることが出来るだけでも興味深くありがたいですね】

 おお・・・ありがたいねぇ・・・ははは。確かに意味も分からず殴られる要素は減るね。

『結構な人数だ。これで狩りが楽になる』

『ははーーー!』

『伏せろギャ!』

 興奮すると素が出てこらぁ?みたいな感じだな。にしても、あいつはゴブリンなのか?ホブゴブリンとかオーガのような上位種?が小屋の奥から出てきた。

【推定、いずれかの進化固体。正確に知るためには鑑定に関連するスキルが必要。最上位の鑑定は開放可能です】

 開放? 結構簡単なのね? 裏があったり? リスクとか?

【前に取得したもので、種族の壁がなければ容易に開放が可能。ただし、意味合いが異なります。またすぐれたスキル故に急激な変化が起こり強制進化します】

 うん、だめだよね、それ・・・。目立ちすぎ。いい方法ない?

【目利きまでに抑えれば進化しません。目利きは鑑定の下位スキルですので開放が可能】

 見た目は?

【目の色が若干変わる程度で気づかれはしません】

 じゃ、それでよろしく。あと、意味合いがちがうって?

【例。人間の鑑定では、数値評価やランク付けなどの高度なルールによって現れますが、ゴブリンは感覚です、弱そう、弱い、ほんの少し強い、勝てないなどです】

 へぇ・・・面白いね。あ、あと開放して問題ないのはしておきたいな。進化や見た目が変わらない系で一覧とか出せる?あ、職業的にも問題ないものがいいな。

【肯定、ただし、ばれる可能性があります】

 あれ?加護でどうにかならないの?

【種族的に本能で分かる場合があります。偽造していても、それはステータス上。ゴブリンは魔物であり、頭より本能で警戒します。完全にはばれないかと思いますが、偽造できるのはあくまで評価であり、勘ではありません。これはどの種族でもいえることです。共通の注意事項として頭に入れておいてください】

 なるほど、人間相手でもばんばんやりたい放題してたらまずいもんね。

ゴブリンってか魔物的には身振り手振り、体の動かし方とかで触手にふれるってことかな?物理防御とか?

【肯定】

 じゃ。このままで、必要になったらってことでいこう。死生点前に取得したスキルとかは、この世界に来くまえに見せられたスキル魔法チート一覧もある程度、覚えてるしね。

【了】

 ふふ、確かに不安要素がはっきりしてると、前よりサポートが改善されてる。嬉しい。

ありがとうね。

【不要】

 それでもさ・・。ふふ。

ではさっそく目利きをぉおおおって・・・もっとやばそうなのきた!

『どうぞ・・・』

『嗚呼』

 あきらかに雰囲気が違う・・・・

オーガ

強さ 

まったく歯が立たない。声で殺されても不思議ではない。

すごさ

 予想すら不可能

不思議さ

 存在その物が不思議

 うん、これだけでも、勝てない、差を思い知ったよ・・。

『・・・把握した、狩り組みは出て行け他は・・・』

『ぎぃんー』

 こちらには声もかけず、さっと見渡し隣のリーダーたちに指示を出している。

指示を受けているやつは、見事な土下座です、シュール。

『やべぇ・・・』

『・・・怖い・・・』

『ぶるぶる・・』

『・・・ぐふ』

 三馬鹿も含め、壇下の俺たちはみな土下座しておきました。生存本能が滾ります!


お読みいただきありがとうございます。

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