第2話 ボアバイキング?
第2話 ボアバイキング?
1時間くらいたったかな?
ぐるりーん・・・。
ふぅ、森は退屈しませんね。
話は捨てられて30分もしないうちに遡ります。
ボーっとして赤ちゃん仕様なのか居眠り。それもつかの間。今度はハードボア?という猪の硬いやつ?っぽいのが僕を頭からがぶり・・・。激痛は一瞬。すぐに耐性が更新されて眠くなり・・・はい、また死亡。
次ぎは、きょとんとしたハードボアが再びかじりつき、今度は口の中で少し粘って死亡。
粘るといっても体力?頑丈さは自動更新のようで、HP依存のようです、硬くなるみたい?
がりごりと痛さと眠さでまた死亡。痛覚耐性が更新してまたボアの目の前に再生された僕。
『ぶもぉ!?』
「あはは・・・いいじゃない。血は飲めたでしょ?」
とか言える位には冷静になった。さしずめ血肉のガムって感じかな・・・ははは。
噛み砕くという痛みには完全に耐性が得られたから意外と冷静だ。そして、がりごりと今度は噛み砕くのを諦めたボア。ぶふぅううっと霧がかった空気に、ボアの鼻息が煙をまいています。
『ぶもぉおおお!』
ぺっと吐き出されたと思ったら、体重を乗せた短くも逞しい足が迫って・・・ぐしゃり・・・。
一瞬の激痛ともう癖になりそうな眠気とアナウンス。
でもね、ボアちゃんの足が上がるとそこには・・・
『びもぉおお!ぶもぉおおお!』
もう跳ねるはねる! 狂って怒ってるのは良く分かる!
「いた!・・・ああ・・いたた! ああ、きもち・・・いた!」
あああ・・・と繰り返す痛覚耐性の更新と不死身ゆえの再生、そして頑丈になっていく体。頑張るのはボアちゃん。一撃で死ななくなっていくからなお大変。
HPが上がったのか、耐性があがったのか、もうアナウンスがうるさいとおもったせいか状況は分からないけどもアナウンスも休憩中。後で確認しよう。・・・とりあえず。もう効かなくなっているボアちゃんのあんよ。
『ぶ・・・ぶぅ・・・ぼもぉ?』
息が上がって恐る恐るあんよをのけていく、そしてばっちり目が合う。
「ただいま」
『ぶもぉおおおおおおおお!』
ぐさっ!! いってぇええ!・・・ああ・・・気持ちい
今度はさしまくりです。ご自慢の牙でしょうか、それが折れるまで続き、ぽきんとおれましたよ。
『ぼもぉ・・・ぶも・・・』
『もうあきらめなよ、可愛そうに』
『俺様の牙が・・・頭も可笑しくなってきた、ぶつけすぎだぶも・・・』
ふわっと持ち上げられた僕。ああ、この布もぼろぼろじゃないか・・・血もたくさんついてる。
どうやら木に引っ掛けられて・・・
ザザッ! ザザッ・・・どどどど・・・
揺れる地面で葉っぱがひらひらと・・・・
『おでの必殺突撃!!!』
ぐぎょ・・・・
『・・・・・ぼも・・・』
くるっと回って、はい、元通り。とはいえ激痛だったわ・・即死でした。さすが必殺・・・ま、ぐるっと回転してしばらく。元通りでしたが。
で、過去を実況解説するさなか、現在です。
ぐるっとまわってますよ。
『ぼもぉおおおおおおおおおおおおおおお!』
そこからもボアちゃんは哀れなくらい頑張りました。
途中ぼろぼろになるぼくが余計に期待させるのか・・・ステータス更新と再生の間で中途半端ではなくしっかり傷ついて、死ぬ、死んでは元通り。このボアちゃんは期待したり絶望したり。奮起したり・・・
10分後・・。
「あ~れぇ~~~なんちって・・・」
結界魔法を使う。するとどうでしょう。木を軸に綺麗に回転するようになり遊園地のバイキングみたいで楽しいのです。
『ぶも・・・ぼも・・・』
ボアちゃん。ファイト・・・ペースが落ちてるよ。
心の中で応援しつつ哀れみの目を向けてみた。
『うも・・・まだ、まだだぶも・・・』
おお、なんと、馬鹿な獣、いや!魔獣だと思えないチャレンジ精神。
もう彼は戦士なのだ。何気にゴブリンよりは遊び相手になってくれているんだ!応援したくなる!
ああ、森の戦士よ・・・さぁきなさい!きりっと気持ちだけ向けてみる。
『まだ・・・巣立ちは早かったぶも・・・』
え?・・・・くるりと踵を返し、森の奥へと消えていく戦士・・・。
『・・・・とうちゃああああん!』
戦士が帰っていったぞぉ・・・。
悲しく、ハードボアの叫びが木霊する。ああ、友よさらば・・・。
彼はいい戦士でした。
体長5,6メートル、重量およそ3トン、レベル55。スキル、噛み千切り、踏み砕き、突進。種族特化 全力猛進・・・。わが友、ぼあちゃん。木をなぎ倒す、巨大な猪ちゃん。
ふむ、友が暴れまくったせいか、鳥の声一つ聞こえなくなってしまった・・。
「・・・・さて、今の騒ぎで人こないかなぁ・・・」
森を見つめつつ、暇つぶしを考え中。
って考える必要ないな。痛みなし、眠気なしの時間がやっときたのだから。
異世界・・・がんばろう。まずは状況確認!
本日はここまで^^
お読みいただきありがとうございます( *゜ェ゜)*_ _))ペコ