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異世界遊神帳  作者: 火色 宙
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第10話 ゴブリンパーティー

第10話 ゴブリンパーティー


 がぶがぶ?ぎゃふぎゃふだな。一角ラビットをあぶりっては食べることを覚えた三馬鹿。

水を木に寄生して蓄えていた蔦、枯らし蔦を切って見せて、それも与えたことにより、まぁよく食べる。

初戦果という高揚もあり、与えすぎた感があるが、悪い気はしない。

 そんな夢中で食事中の三馬鹿をよそに、腹が悪食スキルの影響でとっくに満たされている自分は、ちびちびと食べつつ、今後を考える。

魔法を教えるとは言ったものの、ファイアを教えたとして、乱射や暴走、火事になったら大変だな・・・。

ファイアの危険性はおろか、自分だって魔法のこと知らないことにはたと気づく。

こういうときは、ヘルパー様。

 ファイアって火事になる? 魔法のことファイアで大まかに説明してもらえる?

【否定、通常のファイアでは広がるほどの力はありません。余火では木の存在マナのほうが優位になるため影響ありません。存在マナとは、全ての存在に宿っている魔力と似て非なるものです。これにより、魔法や物理に対しても、それがそれであるために存在力と呼べるような力が働いています。ただし、存在力を失う宿命のもの、変化を始めているもの、ここで言う、落ち葉や枯葉などは火事の原因になり得ます。存在マナよりもより強いイメージで出現した力も影響します。魔法で言えば上位のフレイム、物理的に言えば、処理し切れなかった暴力などです。影響がさけられないものは存在マナに注意しアフターケアが必要。影響を与えないようにするには、魔法にせよ物理にせよ、操作系の熟練度、意思、イメージの制御が大切です】

もっと簡単に言うと?

【弱い力では影響が少なく、強い力では大きい。魔法、物理どちらも制御次第。意思が宿っている力が向いているかどうかなども重要。この世界では意思の力と実力が具現化するだけでなく、調整されています】

 あまりきにしなくていいってことだね。

【・・・・】

 おお、無言が伝わってくる・・・。怖いパターン。

『どうした?・・・それはまだか?』

 ってアホが話しかけてきた。

 行儀もなにもあったもんじゃないけど、はしゃいでいた三馬鹿がこちらをというより、食い終わってグラ実を包んだ葉を見つめている。

 俺の心配ではないな・・・。ふむ・・・。

『『『きのみ!』』』

『ったく・・・一個ずつだぞ。あと、それ食ったら少し移動するぞ』

『『『もしゃ・・・オーケー!』』』

 オーケーがブームのようだ。



 さて、少し開けた場所まで移動してきた。

『まずは、狩りをもっとうまくなるために、役割の確認、というか、反省会な!』

『はんせい』

『ごめんなさい』

『ごめんね!』

 なぜ親指を立てる・・・。って分かったということだろうけど、イラッとしてしまう。

『親指は立てるな。それは良くやった時とか、褒める時、やるきがでるようにとか・・・そんな時・・だ・・』

『『『?わかった・・・』』』

 といいつつ、良いことを閃いた。

特殊部隊や映画のときにジェスチャーで合図するのは基本だな・・。ハンドサインだったっけ。ゴブリンは感覚、体で覚えたりさせれば、言葉より便利かもしれない。

 どんなジェスチャーもといサインがいいかな・・・なんか参考あるかな?

【肯定、イメージを送ります】

 おお・・・というよりこのイメージとか本とに記憶から?こんなしっかり覚えてたの?

【あなたが一度みたことがあるものなどは完全保管されています、ある意味、優秀なのはそのおかげです】

・・・・・さいですか。そこはかとなく、馬鹿にされた気がする。

『ま、とりあえず、そのままは使えないからな、これだけは覚えておけ』

 三馬鹿を前に片手で口をふさぐ。

『『『こう?・・・』

『くさい?』

『食べるな?』

『はんせい?』

 ちがうちがう・・・。

『絶対声出すなってことだ。おまえら、獲物見てかかれぇ・・って何?あれ禁止』

『『『ああ!』』』

『それにあれは獲物だから良かったけど、敵だったら殺されるぞ?』

『『『!?』』』

『そういうこと、今まではシー(指一本立ててシー)だったけど、これは静かに話せってことで、こっちは黙れ、話すと逃げられる、もしくは殺される。って意味な。オーケー?』

『『『オーケー!』』』

 あとは、そうだな。いっぺんに教えても覚えられるか分からないから、止まれ、しゃがめ、逃げるを教えた。

 止まれは、手のひらを広げて後ろに合図。

 しゃがめは腕を水平にして、頭から落とす。

 逃げるはしっしと、後ろへ向けて合図。

全て俺が先頭にいる場合を想定して行う。また、みな同じサインを後ろに向かってする格好にした。藪などがあるから見えないことが想定できるためだ。

それと基本的に先頭の真似をするということで一致させる。

 列の順番は、俺、チビ、ビッチ、アホにした。

本当はアホを二番目にしたほうが、頭もいいから安心だったけど、背が高いこと、チビが低いこと、後方の守りを考えてこうなった。

『じゃ、練習するぞ』

『れんしゅう!』

『がんばる・・・まほうは?』

『ふぁぎゃあ!したい』

『ファイアな・・・そうだな。なら、こうしよう。練習少しした後、獲物を採る。これは今までどおり魔法なしでやるけど、サインありだ。効果が出てると思ったら、ファイアを教える。それまではなしだ』

『『『ぎゃーーーー』』』

『不満なら教えない!』

『『『オーケーオーケー!!』』』

 ふむ、気持ちは分かる。

 そこからは、おふざけも入れつつ楽しかった。

頭をかく振りをしたらしゃがむチビ。それをまねてビッチもしゃがむ。アホは?としていた。そう、俺がしゃがんでいないから。

やはりアホはアホじゃないかもしれない。

 そう思ったのもつかの間。

獲物、一角ラビットに静かに接近して黙れのサイン。

そして、逃げろのサインをしたのだ。

『ぎぃ!?なぜ!』

 アホが大声を上げて大失敗。しかも、突撃していった。

まぁ、俺がしとめたけども、怒る必要も無いくらい反省していた。

『『馬鹿!』』

 二人にめっちゃせめられていた。

『足踏んだ!』

『めいれい、絶対!』

『『ふぁいぎゃが遠くなった!!』』

『すまん・・・つい』

 よほどファイアが使いたいのか、それとも足を踏まれたり後ろにいるアホを序列的に一番下と勘違いしているのか、力関係が出来てきた。

アホ・・・いいやつなんだろうな。

ちょっと親近感のようなものが沸くが、いい薬だ。

『獲物だけがいるとは限らない。その後ろに凶悪なものがいたら食われるのは俺たちだ。俺たちはパーティーだ。信じろ』

『『『ぱーてぃー?』』』

『な、仲間ってことだ、特に行動を共にするってちょっとまぁ。・・大事な的な?』

『『『ギィーーー』』』

 ちょっと照れてしまった。的なって・・・子供か僕は・・・って死んだのって何歳くらいだったんだろうね。恥ずかしいってこと若かったに違いない!うん!

【否定、友人関係や恋人などがいなかったためと推測】

 ふふ・・・聞こえないぞ。

【否定「わかった!そうじゃなくて、なんとなく気づいてたから、つっこみありがとう」】

【こういうことに付きあわせる感情を持たないように努力して欲しいです。サポート事項、条件などが曖昧すぎて迷います。早急な明確化を求めます】

 おお・・・なんという拒絶感。・・・・ふぅ。

『次ぎは頑張ろうな』

『・・・おでのためにすまん、それ壊れた。おでやる、そしてやる』

『ん?・・・ああ、いらん、ただ、そうだな。解体は交代で覚えていこう。最初に俺がして見せただろ、それを真似て。それにこいつはもう、俺にとっては雑魚だ』

『『『ギィ!』』』

 ふふ、かっこつけてもいいよね!

アホが無事にというか、ずたぼろな皮になってしまったが、一角ラビットをさばいた。

ぴしゃりと何も指示してないのに三馬鹿が並んで座っているが・・・。

『食べないぞ?』

『『『ぎえええええ!』』』

『いやいや、持って帰らないとだろ!夕飯だ』

『『『ああ!』』』

 ふむ、先は長いようだ。でも悪くない、というより、楽しい・・。

そこから3匹は俺が仕留めつつも、連携が出来るようになってきた4匹目。

 ササ・・・

 ぴくり・・・きょろきょろと辺りをうかがう一角ラビット。

物音が少し出たが、口をふさぎ、しゃがむのサインで隠れる俺たち。

 先頭の俺を真似て、気配もなるべく殺すようになってきた三馬鹿。すごい成長して見える。

 チビが網を広げつつ、びっちが石を投げる準備、アホがナイフを槍状にしたものを上手から下手に持ち変えた。

 チビはそのままにしてビッチに目線を送り、右に回るように教えていないサインを送る。

アホは自分で視界が確保でき隠れやすい木の裏を指す。

こういうときは、決まったサインなんてなくてもジェスチャーで分かるものだな。

 こくりとうなずいて俺とビッチは静かに配置に着くのを待ち・・・

『投げる!ぎぃいい!』

『うぃ!』

 もちろん、急にはうまくならないため、当たらないが、一角ラビットは驚いて俺たちの前に跳ねてきた。

『網!』

『ぎぃいい!』

 チビが網を投げ、それを避けようとするのを俺が石で牽制して少しでもかかるようにする。

『ぎぃいい!!ふぉ!』

 アホが体格を生かして木から大またに飛び出し、確実に当たる距離から槍を投げた。

『ビィ!』

・・・・ヤッタ!

『『『ギィいいいい!』』』

 見事な連携だった!

『あたった!』

『投げるとはね! いいぞ! チビの網もよかったし、ビッチもいっぺんに石を投げたのはこっちに寄らせるためか?』

『ぎぃ~』

『そうかそうか!』

『ぎぃーん♪』

『ぎぃ・・・』

『なんだすねてるのか?よくやったぞ!チビも!』

『ぎぃ~~!♪』

 二人をなでたり軽くはぐして、大いに褒めた。

感動したアホがぎぃいっと自分の手を握り締め、槍を高々とあげてかみ締めている。

なんかお前が一番かっこいいな・・と思ったが、一角ラビットが刺さったままやっていたので二人にまた攻められたり・・・

『『馬鹿!』』

『よごれる!皮!やぶれる!』

『すまん・・・』

『いいじゃないか、ほら、今のは良かった。これは俺が裁くから、このグラ実でも食べて休んでろ。あ、周りに警戒しつつな』

『『『ぎぃ!』』』

 見違えるぞ・・。いや・・ゴブリン、リーダーの影響ですかね・・・、てことは俺?

【肯定。ゴブリンはリーダーにより成長促進される説は正しかったと判断できます】

 お・・嬉しい。えへへ・・・。褒めてくれるのね。

【事実、記録としてそう保存します、こういう情報などもポイント的には美味しいですから】

 え・・・こういうのも見てるの?

【肯定】

 そうですか・・・まぁどうしようもないからいいか。それに俺もこういうのは忘れたくない。いつか忘れるんだろうか・・・

【記録した情報などは日誌機能があり読み返せます。加護のひとつです】

 まじか!ってことは・・・今まで思ったこととかも?

【ある程度はですが、あなたを精神的にもサポートするのがヘルパーの役目です】

 おお・・・じいちゃんになった気もするけど・・・うん。ありがたい・・・。想像・・したくない・・・。ってやめやめ!本当にしないほうがいいな!とにかく精一杯生きていこう!

『そうだんがある・・・』

『うお!?な、なんだ?』

 いつの間に・・・びびった。アホの癖に!

『お前、おであほって言う。それ馬鹿にしてるとおもってた、でも違う気もしてへん、でもいやだ。かんちがいする』

『お・・・おう』

『わ、わたしもちび、ちび、だけど、ちびじゃない』

『びっち・・・わからない、けど、びっちはいや、お前のビッチなら・・・不思議』

 なんだよお前のビッチって・・・コホン。

『そ、そうか・・・俺もお前は嫌だな。いっそ名前でも決めるか?呼び名っていうか、おいとかお前しか聞かなかったけど。いいのかな?』

『名前・・・。もち・・・』

『いい!』

『いいなまえ!』

『ネームドと言っていた』

『あほ・・じゃなかった。何か知ってるか?』

『あの強いやつが集まったところでネーム持ちがなんとかといっていた。たぶん名前のこと。他は聞いてない、兄さん?たちもそう』

『使ったらまずいのかな・・・わからないけど。俺たちの間だけで呼び合うのはいいか』

『使わなくても、目線や態度で誰に言ってるかは覚えるけど・・・』

『『ほしい!』』

『そうなのか?・・・いや、そういえばそうだな。ふむ・・・。よし、名前自分で決めるか!』

『『『?』』』

『おで、おまえにつけてほしい』

『わたしも』

『も!』

『そ、そうか・・・。うーん。じゃ俺のはお前らがつけてくれよ』

『『『オーケー!』』』

 過去一でいい顔しやがって・・・。じーんときたじゃないか。

 そこから、名前付けを初めて・・・日が暮れ始め・・・。

『いい加減帰るぞぉ・・俺はとっくに決まったぞぉ』

『でも!』

『いやこれがいい!』

『あとからまたつける!でも今は』

『それなら・・・』

『それにおで頭いい』

『『馬鹿。偶然』』

『ちがう、わかってるはず』

『『『ぎぃぎぃぎぃ!』』』

 わぁー楽しそうなこと・・・。おれのことだから寂しくはないもん。ほんとだよ。有意義にシダ蔦で網とか、石のナイフの手入れとかしてるし、全然いいんだよ・・。ぐすん。

『またせたギィ』

『ギィ』

『おまたせ、ギィ』

『なんだよ、にやにやして、俺から言うぞ!』

 ふっ待ってやったぞ!そしてちょっと考えた名前だ!

『『『ギィ!』』』

『まず、アホ改めて・・・シンガリ!俺たちの背中を守る男の名前だ』

『ぎぃ!・・・おおお!』

『つぎチビ改め・・・サリー。悟りのように、心がありそうな名前だ!サリーちゃんでもいい!』

『さりーーー。さりーーー!わたしはさりー!』

『ビッチ!改め!・・・モンロー!見た目的に決めた、あと本能に忠実という意味で。マリリンでもいい!』

『マリリンがいい!』

『そ、そうか。まぁその名に恥じないいい女になってくれ』

『わ、わたしもなっている!』

『サリー、心が大事だ、それはいい女が必ず持っている、おまえはもう持っている』

『わ、わたしももっているけど、サリーをこえてもつ!』

『頑張れ・・・』

『シンガリ・・・強そうな名前。おで、嬉しい、不思議。おまえ本と不思議』

『で、おれのは!』

『『『ギィ!』』』

『おお、喜んでくれてありがとうな! で、おれのは!』

『『『ギィ!』』』

 ん?なんだ。手を上げて今から発表ということか?

『『『どう?』』だ?』

『・・・・おい、まさか。ギィ・・・なのか?』

『ちがう・・・ギィ!』

『ギィだよ』

『ギィよ!』

『ち、違いが分からん・・。ギィ』

『おお、それ!お前のこと、間違わないように』

『うん、ギィはギィ』

『ぎぃー』

『・・・・頑張る、俺。ギィ』

『『『ギィ!』』』

 いやいや、わからんぞ・・・。なんだ?ヘルパー様分かりますか?

【不明、加護の弊害かと思います】

 ま、いいか・・・。気持ちが大事だよね。

って俺も少ししか考えてないけど、お前らあれだけ時間使ってギィってもう・・・

叫び声?鳴き声じゃねぇか・・・。

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