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異世界遊神帳  作者: 火色 宙
10/11

第9話 ゴブリンVS一角兎 かかれぇぇ!・・・はない。

お読みいただきありがとうございます。

想像以上に受けが良くないですね^^:自覚はありますが、とほほですw

とりあえず異世界の息抜きではじめた本作。少し遊びすぎましたかね^^:

どちらも感想も極少でして、手探りというより暗いトンネルでノートに書いているような感覚ですw

ある意味気が楽で、焦って書くことはなくなったのは救いですがw

どちらもぼちぼちですが、見てくれている人がいる限り、完結に向けて邁進?牛歩?でも前向きに頑張るようにします^^

とりあえずは1週間に1話。こちらは不定期の予定です。(10日分は毎日の様子見)

こんな感じですね^^

第9話 ゴブリンVS一角兎 かかれぇぇ!・・・はない。



 さて、無事に合流しまして、スタート地点を迂回して安全圏の南西を適当に下っています。歩くこと20分ごろ、植生がなんだか変わり始めました。具体的に言うとやわらかそう。そんな時、未知との遭遇!

最初に見たときはお互いに驚きました。何って、獲物です。

名づけるなら、一角ラビットってずばりそうみたいです。体長は腰くらいで頭に30センチほどの一本角が生えていた。

初めての遭遇は、お互い驚いて、ぎゃ!とウィ!と警戒して分かれたのだけど、あれは食えると立ち去ったあとの涎が証明していた。戻って探して目利きスキルを発動する。

一角ラビット

 強さ

  やわらかくて美味しそう。

 すごさ

  角が武器

  太ももでかい、高く飛ぶ。

  耳よさげ

ま、想定内です。ただ思ったより大きいことと、瞬発力がある。

突き放されては、おいつきの・・・で二度目の遭遇も見失ってしまった。 

 遭遇時に距離をなるべく近くにするため、静かに移動、移動しては停止をくりかえしつつ歩いていくと足跡を発見!

『『『『しーーー』』』』

 よしよしと、仲良く足跡を追ってきましたが・・途端に途切れてさぁ大変。

なんでだ?

【不明】

『ふむ・・・こういうのは全然分からん』

『早く見つけたい・・・飯ただでさえ少ないそれ以外』

『『それ以外』』

 それとは、グラ実である。こいつらは・・・道すがら食べたくせにもう俺のを狙っている。

『まだだ』

『言うこときいた!』ビッチが声を荒げる。

『腹減った・・・けど』チビはもじもじ・・・。

『・・・・りゆう。知りたい』アホは理由を聞くようになった!

『これは非常食だ』

『ひじょうしょく?』

『喉渇いたり、腹減った時にな』

『『『今!』』』

 ってはもるなよ!

『いやいや、今じゃなくて! 帰り道分からなくなったりしたときとかだよ・・』

『『『ぎゃ!』』』

『わ、わからないぞ!』アホがきょろきょろすると迫力がある。

『ぎゃーー!』ビッチ走り回る・・。

『『『いまぁああギャ!』』』

『って考えなしか! 馬鹿か!』

 見事にはもりやがって・・・。ま、面白いのでいいけど。

『俺らバカなのか!』

『ばかってなに?』

『ばかはだめなやつ!お前のこと』

『『お前も!』』

 まったく・・・三馬鹿が。

『・・・・・通った道、匂いで分かるだろ、匂いをかげ』

『『『ぎゃ~~』』』

『そう、おれらかなりくさい、くさくなった?って感じだ。というよりこの布は最悪だ』

『くさい?』

『くさいの・・・いや』

『そうか?お前・・・木のにおいもする・・・!そ、それと獲物のにおい切れてる、だからとまった?』

『おお、アホが成長しとる。・・・ほら、この葉っぱとかいい匂いだろ、木とかも選んで拾っておけ、んで俺みたいにこすったり挿していくの』

 そう、自分だけ小奇麗になろうと、しっかりいいにおいがする木や葉を巻きつけています。それだけでなく、材料集めもしている。

『それ、なげる?おでもやりたい』

『ああ違うぞこれはなってなんだよ?』

『これがいいにおい・・・確かにすーとする』

 チビゴブリンがいつの間にか横でくんくんとにおいを嗅いでいる。

 ビッチもきたけど・・・パクリと肩付近の葉を食べやがった。

『ぎゃ・・・まずい』

『くうなよ・・毒だったらどうするんだ』

『『『??』』』

『食ったら死ぬ・・・こうな』

 来る途中、説明するから否応なしに少なからず吸収していったこいつら、特にアホが成長したのは、感動ものだ。疑問もすぐに聞いてくるようになった。

ゴブリンは意外と知能が高いのかもしれない、いや、サポート様のお話で言えば線引きが曖昧だけど、リーダーがいれば全然違うのは確かだな。

 教えるこつはジェスチャー交じり、身振り手振りしながらだと尚よく、今回も拾ったものを食って死ぬ真似を大げさにする。

『ぎゃぎゃぎゃ!おもしろい』

『ぎゃっぷ・・・ぎゃ、だめ、わらった。・ぎゃぷ』

『っ!』

 ったく笑いやがって誰のためにだな・・・。はぁ。まぁいい。立ち上がりつつしっかり言う。この単語に一番敏感だからだ。―-死ぬ

『そう、そしてもう動かなくなる。そうやって死ぬ』

『『『ぎゃ!!』』』

『ひろいぐい、死ぬOK?』

『『『わかった』』』

『とにかく静かに、声をださず、物音立てず・・・こうだ、んで見つける!OK?』

『笑わないようにする』

『gy・・』

『・・・すごい、それ着てると分かりにくい!』

言葉がどこまで通じてるかの判別がむずかしい・・でも、まぁ成長は早いようだし。特にアホはすごいな。メスのほうがすごいかと思ったのに・・・。残念だ。

ここは、せっかくだから、休みついでに道具を作ってしまおう。三馬鹿も赤ふんどし裸族を卒業させて仕切りなおしといくか。


1時間弱ほどを有意義に使いました。

 そして・・・

『いたぞ近い、これならもう少し・・・っておいいぃいい!』

『『『ぎゃあああーー!かかれぇ!』』』

 話したり、格好もそれなりに整えてやっと見つけた!なのに!めちゃくちゃ作戦会議したつもりなのに!

『ぎゃ!』

 アホが蹴られたよ・・・。

 はぁ・・・。

休みを入れたとき、葉っぱと蔦で簡単な服、カモフラージュを施し、虫除けに土も顔に塗ってみた。同時に武器まで作成。シダ蔦で網、石は拾うだけだが、武器にはなる。木の皮だがないよりはいいだろうと、服や丈夫なのは小手として巻きつけたり、俺は盾も作ったりした。

 話もした。兎とにているとしたら、巣穴の近くではないかと。

そこで見つけたら静かに近づくこと。一斉に役割どおりの仕事をする。

それでいいはずだった。

が・・・。チビもビッチもアホもかかれぇえ・・・って。どこで覚えた・・。いや、感覚かもしれないけども・・。叫びまくり!よだれもついている・・。

チビよ・・。石、全部落として素手で行くなよ・・・。びっち、網に自分の足が引っかかっていまこけた・・。アホ・・・ぜいぜいはぁはぁの体・・・。作ってやった太い木の棒の先端に石のナイフとまきつけた簡易の中距離の槍も一撃目でかわされ地面に叩きつけ見事に折りやがった。

『はぁ・・・泣きたい。遊ばれてる、かんっぜんに遊ばれてる・・・』

『ぎぇはぁ、ぎはぁ・・・・あいつ・・・はやい』

『どうする?』

『あきらめて、あれ』

 一角ラビットとの距離は5,6メートルの三馬鹿が俺のほうを一斉に向いて、グラ実を所望している!

『やらねぇよ! まだそんな仕事してないだろ。見てろ』

『『『臆病者?』』』

『その見下げたような、哀れんでるのか笑いたいのか分からない顔をよせ、てかようはもったな!』

 じわじわと進む俺を馬鹿にしてくる・・。

 キユー・・・可愛い目でこっちを見る兎、お前も遊びすぎだろう。ったくみてろよ。

『っし!・!くらえ!!』

 じわじわ近づいて、思いっきり手に掴んでいた石礫をなげつける!あっさりと避けるがそれもお見通し、そっちに向かって網を投げつつ飛び掛る!

『なっ!?』

 兎、いや一角兎・・・これを狙っていたみたいだ!お前肉食かよ!

『『『やられた!』』』

 そこはもるのかよ・・・。確かに危なかったけどな・・。

『ぎりぎりセーフだ・・・。この盾と網のおかげでな』

 正直に言うと危なかった・・・。盾を作るときに、枝を切り落とさず、折っただけにしていたが、それが運よく突き刺さっただけだ。それに腕を貫通しなかっただけで、盾はあっさり貫通している。兎は自らずぶっと自爆したに過ぎないし、網が少しかかっていたのが幸いしただけだ・・・。

『油断を誘えたな・・・。向こうだってこっちが餌、次こそ作戦通りに『『『おおおおぎゃああ!』』』

『うるせぇよ! 周りに聞こえるだろ!ってよだれすご!!てか離せ!』

『お、おで、おまえすごいと思った』

『にく欲しい、臆病じゃない、すごいひと』

『ふりふり』

『最後のは意味がわからんがあざといのはやめろ・・・』

 絶命した一角ラビットをとりあげると褒め称えてくる三馬鹿。

 まぁ悪い気はしない・・・。コホン。

『とりあえず、まぁそのなんだ・・飯はこれにしようか、初戦果だしな』

 角をもって宣言する。

『ぎゃああ!いいやつぅうう!』

『おいしいそう!』

 はぁ・・・がぶりつくのがまさかのメス二人。

『毛むしれぇ』

『『ぎゃん!』』

 アホっこ・・・。ごんごんと頭を叩いて二人を下げた。感動したわ。

『これ、おまえがとった・・・。とうぜん』

 おお、オスだからか?縦社会に敏感なのかもしれない。

アホが二人を抑えている間に、血を抜き、毛をはぐことを考える。

 ってどうするんだ・・・。と、とりあえずやってみるか。

 本のような記憶を振り絞り、首を切断しそこらへんの木に逆さにした。

【グロ耐性があがりました。小道具作成が器用になりました、忍び足を取得しています】

 あ、進化は待ってね!

【了承済み】

 あ、ごめん【不要】・・。

 巣で話したことをキープしてくれていたから大丈夫なようだ。

それに、スキルの恩恵やらは確かに想像以上にありがたいものだ。

三馬鹿も驚いた様子で俺の手際が急激に上がっているのを実感している。

 うん、僕もびっくりです!

石のナイフで綺麗に剥ぎ取られていく皮。一角ラビットの人体模型ならぬうさぎ模型のようだ。

 グロ耐性が上がらなければ吐いていたかもしれない。これはしとめた時よりも圧倒的に神経にくる。

 三馬鹿がよだれを流していることには、ノーコメントですが。

血も地面に穴を開けそちらに流れるようにと思いつく。

 スキルの恩恵・・・ありがたやぁ・・・。

ですが・・・えっと、ヘルパー様。贅沢を言うようで恐縮ですが、魔法、ファイアとか取得したらどうなるってかできる?

【イメージすることで可能、またファイアでは進化しません、取得するためには火のイメージとマナの理解が必要】

 じゃ、取得のために・・・・火のイメージをする。

『『『ぎゃ?』』』

 三馬鹿が手を止めて目を瞑る俺に疑問を持っているようだけど無視。

火・・・太古の昔より恐れられていた火。人類が火を使うようになって進化が早まったとさえ言われるもの。森を焼き、生命を焼き、【取得しました】

 え・・・。こんなに簡単に?ちょっと瞑想的にしっかり考えてたんだけ【説明済みです】

『どうした?』アホゴブリンが肩をゆする。

『えさ、毒だった?』チビゴブリンはにおいを嗅ぎ始めた。

『だきしめる?』ビッチはおれを抱きしめようとアホゴブリンの後ろから隙をうかがっている。

 うん・・・ちょっとね。嬉しいんですよ。あはは。

『なんでもない。今から、美味しくする、少しはなれてろよ?』

『『『ぎゃー?』』』

『ファイア』

 ぼぉ!

『『『ギャ!!』』』

『魔法だ』

 にやりというより、キランとした表情で親指を立て三馬鹿に視線を投げる。

ふふ、なんか感動だよ。魔法・・・ファイア。ロマンだよねぇ。

メラメラと一角兎の丸焼きができていきます。

『どどど!』

『食べれない!!』

『ばか!ばかばかばか!』

『落ち着け! もうすぐ消えるよ』

 感覚的に分かる。MPがそんなに減っていないし回復している気がする。

でもこれって表面しか焼けなかったな。って直接しちゃだめか。

焦ってしまった。ふふふ。次ぎからかまどを作ろう。今はとりあえず・・・

『切り分けるぞ。そこへ座れ』

『『『ぎぃ!』』』

 おお、見事なお座り。ほんとにショッカーみたいだ。

三馬鹿が座った対面に座りつつ、大きな葉を広げ、焼けた兎を横にする。

てっきり飛び掛ると思ったが、ぽとぽとと涎を落とすだけで我慢しているようだ。

 その隣に少し穴をほり、燃えそうな枯葉と枝を適当にいれる。

『ファイア』

『『『ぎぃ!?』』』

『まぁみてろって』

『『はやくぅううう!』』

 棒をナイフで尖らせたものを一本ずつ渡しつつ、切り分ける。

『よし、食べていいぞ! それから』

『『『ぎゃふぎゃふぎゃふ!』』』

『こんな感じで・・・切っては焼くと尚おいしいと思う・・・って聞けよ!』

『『『おいしいいいぃ!』』』

『あ、もう好きにして』

 なんかなくなりそうなので、切り分けたのを食べている三馬鹿には悪いが、太ももを一気に切り分け、それを焼きつつ食べる。

『俺はこれだけでいいから』

『『『とうぜん!』』』

 なんでだよ・・・。まぁ大きいし、肉って感じだもんな。

 ふむ。美味しい。

 三馬鹿は生で食べているが、意外と生のところもうまい。焼くと表面はうまいが塩がないからか、さっぱりしすぎているんだよね。

生のほうが、うまみを感じるような・・・。

 角と皮が残っているのを見ながら考える。

皮を暖かいかな。これは燻してそのまま使えそうだ。

角は武器? あぶってみるかな。

 うわぁ・・・あぶるとなんと溶けて柔らかくなり始めた!火に弱いのかな?

とりあえず一口食べると・・・うん、美味しくはない。

【死突をラーニングしました】

 おお!・・・なんか取得した。

そういえば、魔獣ってクリスタルとか結晶とかないの?

そういうの食べればもっと成長する的なことがありそうだけども。

【魔獣によります。基本的に弱いものは持ちません】

 そうですか・・。魔物も?

【肯定】

 うむ・・・いい勉強になりました。

『うぎょーーー!ぽぐあぁ』

『静かに食え』

『『ばか?』』

『そうだ、こういうのを馬鹿という』

『『ばか!』』

『うるさい・・・お前らもバカ、なぁ。たのみある』

『なんだ?』

『おまえ、強いし、あたまがいい、不思議、教えて欲しい、おでもつよくなりたい』

『『ふぁいぎゃ!』』

『ああ・・・なるほど、別にいいぞ。何かの縁だ。俺たちは仲間だ』

『『『仲間!』』』

 ギィフギャフと笑う三馬鹿・・。悪くないなぁ。

こういうのは多分、自分の前世でも少ない経験だ。狩りなんてはもっとなかっただろうし。

ただ、言っておこう。

『ただし、誰にも言わない。おれの指示通りにする。OK?』

『『『オーケー』』』

 ふふ、なんだそれは。親指を立てろよ。

『こうだ』

『『『オーケー!!』』』

 ふふ・・・。こいつら面白い。指は正解だけど、今度は親指をあわせて来る。

いーてぃーとか言いたくなる。

ま、なんというか、その、馬鹿だけど、気がいい仲間って感じの笑顔が一番の収穫かな。

 ゴブリンだって感情がある。

 純粋に笑える。仲間意識がある、それは言葉がなくても分かることだ。

けど、想像以上に。見た目はあれだけど、美しいというか、ほがらかというか、まんざらでもないなと思った。




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