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八話   起稿

居候生活が始まってから七日目。

遂に一週間が過ぎようとしていた。


「よし、支度はこんなもんで十分かな」


俺は、旅に出るための準備を終え、いよいよ出発の時を迎えていた。


「あら、貴方どうしたのその荷物」


「あ、スティアさん。 いいところに」


「え、何かしら?」


「スティアさんの魔導書、何冊か貰いたいんだけど」


「魔導書……って貴方まさか」


「発現できたんだ、魔法が!」


昨日俺は眠りにつくまでひたすらスティアが見せてくれた炎の魔法の光景を思い出し、イメージを頭の中に描き続けた。

そうして俺はやっと火を魔法で灯すことができるようになったのだ。


「そんな、一週間で魔法を使えるようになるだなんて……」


そんなに珍しいことなのだろうか。


「――やはりあの方の目に狂いは無い、ということなの……?」


あの方? 狂いは無い??

何のことだと聞こうとするまえにスティアは足早に魔導書をとってくると言って、行ってしまった。


「なんなんだよ……、ま、いいか」


それよりもこれからの旅の方が大事だ。

未知の世界へと、足を踏み入れて行く。

俺は期待に胸を膨らませていた。


「お待たせ、はい、魔導書」


「こ、こんなに……! いいのか?」


スティアが持ってきたのは数十冊はあろうかという量の魔導書。


「私はもういらないもの。 貴方が持っていた方がいいわ」


「そうか、ありがとう。 大事にするよ」


既にパンパンなカバンにさらに本を詰める。入りきらない分は括り付けておこう。


「これでよしっと」


カバンを背負い立ちスティアに別れを告げる。


「色々、世話になったな」


「そうね、貴方が色々できるようになるまでかなり手を焼かされたけれど」


「ははは、その事に関しては感謝してもしきれないなあ」


「……達者でね」


「ああ、何とかやっていくよ。 本当に世話になった」


見ず知らずの俺に何故ここまで親身にしてくれたのかはわからない。

だけど、俺を助けてくれたのは事実だ。

俺はスティアにいつか、恩返しをすることを固く心に誓った。


「我ら魔族の誇りと、気高き信念のもとに、君に精霊の加護あれ‼︎」


突然スティアは声を張り上げ、高らかに宣言らしきものをした。


「……っびっくりしたなあ。 何だそれは」


「魔族軍の宣誓、というより激励ね」


「はは、意外と人間みたいなことするんだな」


「人間みたい、か」


そういって今度は暗い顔をする。

表情豊かなことはいい事だがこちらとしては困ってしまう。


「すまん、何か変な事言ったか?」


「いいの、旅をしてればいずれわかるだろうしね」


「そ、そうか」


「それより、貴方。 名前を聞いてなかったわね」


ずっと貴方呼ばわりだったからな。


「俺の名前は光之。 赤石光之だ」


「ミツユキ……、うん、いい名前。 いつかまた会いましょう。 その時はきっと……」


「ああ、また必ず会いにいくよ、スティアさん」


そうして俺の旅は始まった。

魔法を巡る物語が今、動き始めたのだった。

どうも、作者のフネコーです。

ようやく序章が終わりました。

どうにも説明的な文章になってしまい、読むのが苦に思えるようなモノになってしまったように思います……。


ここから、一章が始まっていきます。

未知の世界での旅を始めたミツユキ。

彼はこの旅で何をみて、何を感じるのでしょうか。


それでは、後書きはこの辺で。


引き続き「Remain - 旅の遺稿 -」

お楽しみいただければ幸いです。



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