第一章 二部-4
翌朝、日課のランニングを終えて寮に帰ってくると、いい匂いが漂っていた。
「ただいま」
「おかえりー、今日は長かったね」
リビングに入ると、桜がキッチンから返事をしてくれる。すでにテーブルには朝食が用意されていた。
「久しぶりに、調布の航空基地まで行って来てね。桜もいつも以上に気合入ってるな」
「ここでは初めての食事だしね、そろそろ皐月ちゃんもくるんじゃないかな」
「来たみたいだな」
階段の方から降りる音が、二人分間違いないだろう。部屋に入ってきた、皐月とマクマリーさんに、僕と桜が挨拶する。
「「おはよう」」
「おはようございます」
「おはようございます、新堂様、結城様」
その後すぐ慶太も降りてきて、朝食を皆で摂る。
部屋に戻ろうと席を立つと、皐月が言う。
「今日はしっかりと準備をなさることですわ」
そう言って、皐月は立ち去ってしまう。
「何のことだろうね?」
「さあな」
桜にそう返事をすると、部屋に戻り、登校の準備をし、寮を出る。
「準備なら、いつもしてるさ」
「では朝礼をこれで終わる。新堂の班はすぐ私の所に来るように。以上」
朝の朝礼を終え、呼び出された僕たちは、純子先生のもとに集まる。
「呼び出したのは、班長についてだ。今回に限り、皐月が転入ということもあり、皐月と新堂で戦闘訓練をして、その結果で優秀な方を班長とする」
なんだって、そんな事に……
「でも、決定事項だって昨日は純子先生いってましたよね?」
「深瀬、確かにそうだが状況が変わったのだ。気は進まないが上からそうしろとの通達だ。意味はわかるな?」
深瀬が納得行かないような顔をしている。しかし、僕達のような組織において、上官命令は絶対だ。それは理解しているため、引き下がる。
「つまり、使えるものを使ったということか」
僕がそう言うと、皐月が頷いた。
「ええ、ただそれだけのことです」
なるほど。ならば、全力で相手をするほかないだろう。
「そうか。それで純子先生、訓練内容はどうなっているのですか?」
「要人警護だ。護衛対象をここから朝霞の陸自駐屯地まで装甲車両で輸送。3名で警護、人選は任せる、護衛対象は私がやる。また、ロープロファイル警護で行うように。1時間後に深瀬が出発、2時間後には皐月が出発。武装は自由、車両と基本ルートはこちらで指定。以上、質問は?」
「ありません」
「私もございません」
「結構、今日の授業は受けなくていい、すぐ準備しろ」
1時間しかない、まずメンバー準備をしないといけない。
「桜、慶太、頼む」
「わかったよ」
「勿論、いいぞ」
この二人なら一緒に演習をした経験もある、連携も問題ないだろう。
「私も結城さんにお願い致します」
「うん、いいけど、私でいいの?」
「ええ、ぜひ」
「わかったよ」
こうして、メンバーが決定したが、桜は2回同じ演習をすることになり、有利かもしれない。
しかし、この程度どうって事はないだろう。そこら辺は、純子先生も理解しているだろう。
「では私は準備しますので、失礼します。桜さんは1回目の演習後、私に連絡してください」
皐月が教室を出て行く。僕もすぐ準備を始める。
「今回はロープロファイル警護だ、銃はツァスタバM21をショートバレル化した物を使う。サブウェポンはベレッタM9、弾薬は十分に用意しろ」
「「了解」」
ロープロファイル警護とは、敵に知られず、一般人に紛れて対象を警備する警備方法だ。そのため、警備員とばれないよう、細心の注意を払う。
そのため、今回の銃も僕達の標準兵装のSCAR-Lではない物とし、車内の取り回しを重視したものとした。
その後もルートや非常時の対応についてのミーティングを行い、各自準備、武装を行うため、寮に戻った。




