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根源の魔術師  作者: 蓮華
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疑いのない事実

『遊んでくれるのか!?』


 瞳をきらきらと輝かせ、『隠れん坊がいい』と言う。フィネメズのお気に入りの遊びだ。


「ルウファスくん、優しいですね」


「此奴がうるさいから……」


 本当は魔道書を読みたい。今すぐ読みたい。


 にっこり笑うブルームが微笑ましそうに眼差しを注いでいた。


 目に見えぬ時が流れた。


「七時を過ぎましたよ。朝食の席に集まる頃です」


「あともう少し」


 自分が見つける側で相棒と隠れん坊をした。


 その後、魔道書を読みに没頭してしまい今に至る。区切りをつけ立ち上がった。


「借りてもいいか」


「はい」


 ブルームに空間魔術で魔道書をジェーンの部屋に送って貰った。


 朝食の席には二人を除いて皆いた。王に一礼して腰掛ける。


「よく眠れたか」


「普通の程度には」


 憎しみを込め、睨むオルター。それ以降、少年をいない者扱いした。


 フィネメズの人形を見た時、フィモは「どちら様ですかぁ?」と本気で聞いてきた。


 リノが「あれは精霊の人形よ」と天然に呆れながら教える。


 朝食は野菜スープと蜂蜜が塗られたパン、果物だった。


 城に出る食べ物にしては贅沢でなく、質素だろう。


 ユールは真心があれば、どんな料理でも美味しい。同じだと言っていた。


 精霊の分まである。『フィズの朝食!』と喜ぶ。


 ナシャアはオレゴンとの対決がどんなふうだったか、興味を持ち知りたがった。


 勝ち負けだけを伝えた。


「ソリクが仮面を取るなんて、天地変動の前触れか」


「私も偶には仮面くらい外す」


 王子相手にタメ口である。男は地位に畏まる人間ではない。


 容貌を眺めて自然に呟く。


「やっぱり綺麗な顔だな」


「……」


 眉間にくっきり皺を刻み、スープを吸う。心なしか頬に赤みがある。


「誉められて照れていますよ。ルウファスくん」


「偽りを教えるな」


 ブルームはソリクの睨みを笑顔で受け止めた。


「ジェーン、我も誉めて欲しい」


「断る」


「すげない」


 悲しげでラズカはつまらなさそうだ。


 サロフを見ると胸が詰まり、深夜の事を思い出す。


 目が合い笑いかけてきた。明るい笑みがジェーンには、無理をしているように感じた。


『食べる手が止まってるぞ』


 フィネメズが口の中へパンを押し込んだ。


 蜂蜜の甘みは広がり、ケーキよりも増しでも、甘い物に抵抗がある。果物は平気だ。どうにか食べきって水を飲む。


「危うく喉に詰まる所だった」


『フィズは食べさせてあげたのだ。感謝しろ』


 今度は自分の口にパンを運ぶ。


『美味しい!!』


「パンくずと蜂蜜がついてる」


 お絞りを使い、唇についた汚れを拭った。


「昔からお前は面倒見がいいな」


「手間のかかる奴で何かと至らないから、やりたくてやっている訳じゃない」


『フィズは至らなくないぞ』


 アクミスが隣にいてフィネメズも一緒に食事をしている。昨日までは現世界にいて、再会するなんて思わなかった。


 俺は魔術界の人間――。それは疑いのない事実だ。

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