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根源の魔術師  作者: 蓮華
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騒がしい蔵書室

 目を潤ませて深く感激する。


 自分は琴爽夜に散々振り回されてきた。だから、苦労は共感できる。


 忽如、勢いよく開かれたドアの音がここまで鳴り響いた。蔵書室に入る開け方は乱暴だ。


 足音が近づき姿を現す。一人は赤いヘアバンドと林檎を思わせる瞳が印象的な少女。


 もう一人はオレンジの髪を二つ結びで肩に垂らし、やや赤目の黄色い瞳が印象的な少女。


「あんな乱暴に開けたら、ドアさんが『痛い』って泣いていますぅ」


「うるさいわね。二度も同じ事をくどくど……。ドアは物なの!痛いなんて泣く訳がないでしょ」


「謝って下さい」


 至極どうでもいい事で言い合っている。リノはげんなり顔でフィモは口元を曲げる。


「勘弁して謝ったら?」


「馬鹿言わないで」


 場を収めようと提案したサロフを睨む。


「謝って下さい」


「嫌!!」


「むうぅ。いつから分からず屋に。リノちゃんなんか大嫌いです」


「大嫌いで結構よ」


「……」


 ぷっと頬に空気を含ませ、唇を引き結び、眉はハの字になる。泣くまいと目を瞬いた。


「ひっく…酷いです。酷いですぅー」


「あんたが最初に大嫌いって言ったんでしょう。この泣き虫」


「う、わああーん!」


 最後の言葉が胸に刺さり、大きな声を上げてぼろぼろと涙を零した。


 何をしにやって来たのだろうか。ジェーンの中で切実な疑問が生まれる。


 ブルームは「どうしましょうか」と対処に困りうろたえる。


「静かにしろ。フィモ・ネピア」


 うんざりして顰蹙するソリク。声は虚しく一言も届いていなかった。


「ハレン、ネピアを泣かせるな」


「私が悪いって言いたい訳?」


 鋭い目つきと声音が不服を主張する。


「どっちもどっちだ」


 様子を窺いつつ泣きじゃくる、フィモに近づき話しかける。


「泣くのはやめろ。人は笑顔が一番だろ」


 笑みを浮かべて見せ、ジェーンは彼女が落ち着くまで根気よく待った。


 頃合いを見計らい、分かっていながらお節介を焼く。


「仲直りの証に握手するんだ」


 二人の手を取って握らせた。後の成り行きは任せる。


 リノはちらちらとフィモを視界に入れ、決心がついたのか口を開く。


「今度からドアを開ける時は、一応気をつけてあげる。これでいいでしょ」


 最後になるにつれ、口調がぶっきら棒になった。


「はい。大嫌いだなんて言ってしまい、ごめんなさいです」


「本心じゃなければいいわ。私も泣き虫って言ったからおあいこよ」


 仲直りした少女達は笑い合う。こうして事は収まった。


「慰めてくれて嬉しかったです。ジェーンくんの笑顔、とてもラブでしたぁ」


 両頬を柔らかな手に包み込まれ驚く。しかも息がかかる程、顔は至近距離だ。


「あの近いんだけど」


「私は全然構いませんよぉ」


「俺は困る」


 直視できず目線は下がり後退った。


「困り顔もラブです」


 抱きつきそうな雰囲気に押されてたじろぎ、間に合わずくっつかれた。


「ネピア。異性に軽々しく抱きつくのは、どうかと思うぞ」


「えっ。ダメですかぁ。リノちゃんは喜んでくれますよ」


「ああー。ダメ!フィモはリノにべたべたしていればいいんだ」


 慌てるサロフは力ずくで引き剥がし、背中の後ろに隠す。通せん坊した。

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