表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
根源の魔術師  作者: 蓮華
36/70

信用

 確かめるような響きに心臓が一際高鳴った。王族を守る剣は最初から刃を失っていた。


「今まで通りユールもお前も守る。シヴェルティアの魔術師として。だから、安心しろ」


 肩に乗る手に触れて握った。彼とは五歳の頃から共に行動した。一番の友達、一番の理解者として。


「フィネメズ、此奴の話し相手になってやれ」


『分かった。話し相手を熟しつつ遊んでやるぞ。アクミス』


 王子の頭にフィネメズは遠慮なく着地した。


『さっさと進め、進め!』


 既に意味不明な遊びが始まっている。


「頼んだぞ」


『フィズに任せろ』


 一瞥すると困りながらも彼は笑う。身を翻した時、寂しげだったがどうやら大丈夫そうだ。


 寝室を出て扉付近には護衛の二人が立っていた。軽く首を垂れ、一礼すると敬礼してくれた。


「十年間も離れてたのに、王子とは仲良しだね。何か妬けるなぁ」


 暫く経ちサロフが話しかける。


 それには答えずジェーンは口を開く。


「ナイシエは誰に監視を命じられた?オレゴンか、ナシャアか、それとも両者か」


「両者」


「信用されていないんだな」


 声に出して腹立ちが増幅する。少なくともナシャアには、信用されたかった。


「二人共、君が無茶をやらかす可能性を懸念してる。要するに大切な君をセナードに、奪われる事を防ぐ為の監視であり、守りでもあるんだ」


「信用されていない事実は変わらない」


 翠玉の間へ通じる回廊に戻り扉を開けた。


「少しでもオレゴンさんとナシャアさんの気持ちを察して欲しい。僕は命じられた身だから監視を続けるけど、ごめん」


 とぼとぼ後ろをついて歩く。小さな足音はどこか元気が消えていた。


「謝るな」


「ジェーンは優しいね」


「別に――」


 足音が元気を取り戻し、腕に両手を絡ませ密着する。


「腕に絡みつくな。鳥肌が……」


「嬉しくて鳥肌が立っているんだ」


「そんな訳あるか!!はあぁー」


 わざとらしく長い溜息を吐き、無理やり引き剥がす。


 この少年はとことん調子を狂わせてくる。疲労に包まれ階段を上がった。


 蔵書室は三階に位置する。


 読書好きなジェーンは過去常に利用した。本を借りて自室で読む時が安らぎだった。


 どんどん階段を上がって行くと、目をあちこちに動かし、何かを探す少年いる。


 ローブは纏っておらず、一見してシヴェルティアの魔術師が着る制服だ。


 あの時、会議室にはいなかった。


「彼奴は誰だ」


「僕以外の男に興味を持つなんて浮気性だね」


「彼奴は誰だ」


 おふざけを渋面で聞き流して二度同じ事を尋ねた。


 横顔は「少しは乗ってくれてもいいじゃないか」といじける寸前だった。


「見ての通り、彼も僕達の仲間だよ。名前は……」


「ラズカ・ティノミナ。宜しくね。可愛い子ちゃん」


 サロフの言葉を引き継ぎ、ラズカはにこやかに微笑んだ。


 細く整った秀眉、目元は切れ長で瞳が茜色。純白の髪はさらさらだ。


 惚れ惚れする程の美少年だが、外見のよさと魅力をしっかり心得ている。香水の匂いがした。


「彼は今日から僕達の仲間になった、ジェーン・ルウファス」


「何だ。男か」


 さっと微笑みが消えて再び探し始めた。勝手に勘違いして失望までされた。全く以て癪に障る。


「典型的な奴だな」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ