結果
決まり悪そうに話して呆れ困り果てる。
「遠慮なんかしないで、阿呆崇拝者にうざいって言えばいいのに」
ほんのり赤い唇を歪めてリノが毒を吐く。
「そんな言葉を使ってはいけません。ダメですぅー」
「私がどんな言葉を使おうと勝手でしょ!!」
強い口調で言い放つ。
フィモは「注意しただけなのに酷い、酷いです」と目を潤ませ、今にも泣き出しそうだ。
「早く謝った方がいいよ」
責めるような目でサロフがリノを見た。
「同感です。ソリクもそう思いますよね」
ブルームはソリクが同意見かを確かめようとする。どうでもよさげに髪を掻き上げた。
「大丈夫か。フィモ」
面倒見のいいナシャアが少女を気遣う。
口をへの字に結んで必死に泣くまいと上を向いている。
「はい、大丈夫です……」
完全に切り出す瞬間をジェーンは失っていた。
「リノ・ハレン」
オレゴンが名を口にする。
「ああ、もう!分かったわよ。謝ればいいんでしょ」
統率者を軽く睨みつけてリノは小さな声で謝った。
すると、嘘みたいにフィモの涙が引っ込む。
「分かれば宜しいのです」
満足げに胸を反り述べた。
暗い青色の双眸を数回程、一瞥してためらう。話ができなくなる。
自分に関する事は緊張が不安を生む。真実を知りたい反面、真実が怖い。
俺は臆病者だな。
「女顔、お前は意気地なしだな」
「……」
声音には馬鹿にした響きがあり、ジェーンはレンテの目を見て動きを止めた。
真剣な光の輝きがあったからだ。「意地を見せろ」と指図している。
「俺はお前の指図を受けるつもりは毛頭ないけど、意気地なしは撤回しろよな」
リノとサロフ、フィモは急に二人の間で交わされた言葉を疑問に思うが、四人の男達は理解している。それはそれで嫌なのだが――。
不思議と怒りはなく吹っ切れた気分だ。少しなら彼奴の御陰だと認めてやってもいい。
貼られたレッテル、意気地なしが大違いであると証明してやる。
息を吸い込み、興奮、心配、期待で心臓がどきどき打つ。
「王は許可してくれたのか。俺がシヴェルティアの魔術師になる事を」
射抜く視線をしっかり受け止めたオレゴン。初対面で敬語を使わない無礼な小僧は、生意気に映っているのだろう。
「貴公の為、率直にお伝えしよう。許可した」
「許可…した」
呟き言葉の意味と現実を理解する。
きっとユールは複雑な思いを抑えて決断を下したはずだ。
「よかったな。ジェーン」
簡単に上へ高く持ち上げられてしまう。表情を綻ばせ、ナシャアが心の底から喜ぶ。
「恥ずかしいから今すぐ下ろせ」
こんな時に限って顔が火照り、嬉しいと共に困ってしまう上、何よりも決まりが悪い。
赤い頬の少年を男は放っておいてはくれず、
「赤くなった」
子供みたいにからかう始末だ。
「いい加減、下ろせ」
「何か言ったか」
むっと唇を尖らせ睨んでも無駄だった。
「下ろせ」
漸く下ろして文句を言う前に出端を挫かれる。嬉しそうな様子で頭を叩いた。
「本当によかった」
少年は何も言えなくなる。ユールが不必要だと見做してもナシャアは必要だとそばに置く。温かく優しい人間だ。だから彼には幾度も救われた。




