【新】
【新】
訓読み:あら-た・あた-らしい・にい
音読み:シン
部首:斤
画数:13
意味
1 今までにない事柄、初めての物事
2 時間があまり経っていないもの
3 未使用の物
部屋で観ていた映画がエンディングを迎える。
「古臭い映画だけど、良かったわ」
「当時は最新のSFだったんだ。いまだに世界中で大人気さ」
「だから今でも新しいシリーズが作られてるのね」
今度、私と彼で見に行く映画の予習だ。
私は映画のサブタイトルを見直す。『新たなる希望』。
あらたなる?
「ねぇ、『新たなる』って、おかしいと思わない?」
私は思い付いた疑問を彼にぶつける。
「君はいつも、藪から棒だね」
彼はそう言って微笑む。
「だって、だって。この漢字は『新しい』って読むんだから、『あたらなる』って読むべきじゃない?」
彼は「ああ、そのことか」と頷く。
「本当は『あたら』だったのを、昔の人が『あらた』に言い間違えたんじゃないかしら」
「ん?……逆だな。その発想は新しいな」
「逆? なんで逆なの?」
なぜか、私の素晴らしい気付きを馬鹿にされているような気がする。
彼は空になったグラスを片付けながら、説明を始める。
「新しいものに修正することを改めるって言うだろ」
「……そうね」
「だから、『あらた』が本当で、『あたらしい』が間違いだって言われてるんだ」
「私の考えとは逆ってことね」
彼はコーラのお代わりを持ってきた。
私はグラスを受け取る。
「でも、ほぼ正解じゃない。気付いた私すごくない?」
「そうだね。でも、『あたらし』には惜しいって意味があるから、その言葉と混ざったという説も……」
彼のウンチク話は長くなりそうなので遮る。
「つまり、間違いじゃなくて、似ている二つの言葉が一つの漢字になったってこと?」
「まあ、そういうこと」
「やっぱり、私の気付きは、あたらしかったのね」
彼の目が点になる。
「ん……それは、どっちの意味だい?」
私はそれに応えず、コーラを一口飲む。
「『新』って漢字は、私たちと一緒ね」
「どういうこと?」
「ちょっと違うけど、よく似た二人が一つの部屋にいるでしょ」
「君の考え方、好きだよ」
彼はまた、微笑んだ。




