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エピローグ

東亜市の下町にある、小さな探偵事務所。窓の外には雑踏が流れ、時折サイレンの音が混ざる。

凛はデスクに座り、資料を整理している。横には、ようやく人間の姿になったミラが立っていた。髪は整えられ、スーツは少し大きめだが、仕立て直す時間も惜しまなかった。

「今日の依頼は?」ミラの声は、以前の鏡越しのオネエ口調そのまま。でも、間合いと視線は完全に生身の人間だ。

「書類整理からだよ。依頼人が待ってるの」凛は軽く笑った。

ミラは肩をすくめ、机の上に手を置く。「やれやれ……相変わらず、雑な扱いね、アンタ」

「うるさいな」凛はペンを髪に刺す癖を、無意識に繰り返す。その動作に、ミラは微かに目を細めた。

二人だけの静かな時間。探偵事務所に漂う書類の匂い、机の木の香り、そして時折、遠くで聞こえる街のざわめき。

凛はふと、窓の外の空を見上げた。「やっぱり、探偵って忙しいんだな……」

ミラは軽く笑う。「でもアンタとなら、悪くないわ」

その言葉に、凛は肩の力を抜いた。事件も過去も、もう重くはない。すべては、二人で越えてきたものだ。

小さな事務所に、二人だけの時間が戻った。鏡はもう、そこにはない。でも、互いに映すものは、いつでも確かに見えていた。

こうして、雨宮凛とミラ――探偵と元鏡の相棒は、今日も東亜市の謎に立ち向かう。

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