097話 5月23日#08〜緊急事態発生!!〜
昼食を食べ終わると、カイトさんたちは、全員椅子に寄りかかって寝てしまいました。
ワタクシはその様子をじっと見守っていました。
始めのうちは、みんなまどろんでいる感じで、うつらうつらしていましたが……
『……なかなか起きませんね』ワタクシはカイトさんのお腹の上に飛び乗りました。『これは一体……?』
アームを出してカイトさんの頬をつねったり、テンさんのお腹の上でジャンプしたりしてみたのですが、反応がありません。
『疲れている』とは言っていましたが、全員がこう深く眠っているとなると……
『催眠効果のある魔法にでもかかったのかもしれませんね……』
さて問題は、『いつ』『どこで』『誰が』『なぜ』『どのように』眠らせたのか……ですよねー。
まず、今いる『VIPルーム』の中を確認してみました――そして、あることに気がつきました。
『扉が開きませんね……』
部屋から出られる扉が、全て開きません。外から鍵がかかっているようです。
――これは……『緊急事態発生!』ですね!
『でも、眠らせられそうな道具がどこにもないです……』
その時、はっとしました。天井に換気口があるじゃありませんか!
ワタクシはアームを使って、換気口の蓋を外しました。そして中を見て……見つけましたっ!催眠効果のある薄い煙を出す蚊取り線香みたいなやつ!
――もちろん、火は消しましたよ。
さて、これで『どこで』『どのように』眠らされたのかわかりました。あとは『いつ』『誰が』『なぜ』を調べなければ。
問題は、扉の外に出られないこと――ということは、
『窓から外に出るしかありませんねっ!』
そう思って窓に近づいた時、扉がカチャカチャと微かな音を立て始めました。
たぶん、きっと、いや絶対!相手の方からこちらへやって来たんでしょうね!
ワタクシはカーテンの陰に隠れ、カメラだけで部屋の様子を覗いていました。そして現れたのは……
『ロボット……ですね……』
蜘蛛のような形をした、大きなロボットが現れました。『蜘蛛』といっても、アーム状の脚が1組と、体を支える脚が3組。つまり全部で8本……あ。てことは、正常な蜘蛛ですね……
蜘蛛ロボットは、カイトさんレイさんソラさんテンさんの順番で、アームを使って体を掴み、腹の上に放り込むように並べました――扱いが雑すぎます!ワタクシ、もう少しで声を上げそうになりました!
やがて、蜘蛛ロボットはみなさんを乗せたままくるりと後ろを向き、部屋から立ち去っていきました。
『………………』
残念ながら、ワタクシには戦う力がありません。蜘蛛ロボットの行動も、指をくわえて見ていることしかできませんでした。
――あ。ワタクシには指がありませんでした。
いや、そんなことより!これから考えるべきことは……
「う、うーん……何か変な夢見ちゃった……」
――そういえば、蜘蛛ロボットはリアさんを完全無視してました。小さすぎて、『人』にカウントされなかったんですかね?
「り、リアさ〜ん……!」ワタクシは、リアさんに向かって飛んで行きました。「大変なんですよぅ〜……!」
リアさんはワタクシの話を聞いて、はっと目を大きく見開きました。
そして、
「あたしだけ仲間外れ〜〜!?」
――と、叫びました。
えー。そこですかー……
月の神は、食事も睡眠もしないそうです。『美味しい料理を味見なしで作れるのは『神の御業』だからです!』とのことです。




