094話 5月23日#05
『ウグイロン』は猛烈なスピードで、レイたちのいる水面近くまで落下してきた。
それを、レイとゴーレムがぼんやりと見ている。
『レイさん、危ないです!!』
ピエール33世の叫ぶ声が聞こえたのかどうかわからないが、その直後にレイは動いた。
「『インフェルノ』!!」
闇のように黒い風をまとった『ウグイロン』に、赤と黒の炎が食いついていく。
「『パワーガード』!!」
ソラが叫ぶと、ゴーレムの前にピンク色の大きなシールドが張られた。『ウグイロン』はシールドにぶつかり、押し戻されようとする。
レイの炎が、ゴーレムをも包みこもうとするが、ソラは引かなかった。
「うううう……!!!」ソラが唸る声が聞こえてきた。
やがて、『ウグイロン』のまとった風が炎によって完全に剥がされ、落下の勢いもなくなった。
ゴーレムが、強力な腕力を生かして『ウグイロン』の首をガッチリと掴んだ。『ウグイロン』は必死にばたばた暴れていたが、ゴーレムの力の方が上回っていた。
ゴーレムは、『ウグイロン』の顎の隙間に指をねじ込み、力任せにこじ開けようとした。
「くうううぅぅ!!」
「グルルルル……!!」
ゴーレムが力を入れて開けようとし、『ウグイロン』は力を込めて食いしばり続けようとする。
しばらくその様子を見ていたレイは、ぽんと手を打った。
「……こうしよう!」
レイは剣の切っ先を『ウグイロン』の顔に向け、「『エレクトロウェイブ』!」と言った。
――一瞬、静かになった。『ウグイロン』は動かないし、何かがレイの剣から噴出するわけでもない。
だが、
「ギイイイィィィ……!!!」
『ウグイロン』が苦しみ始めた。
そして、
「あ!熱い……!!!」
ソラが苦しそうな声を上げた。
さらに、
――ジュウウウ…………!!!
海の水が蒸発し、湯気が立ち上り始めた。
「何が起きてるの……!?」
テンが俺に訊ねてくるので、俺は大きな声で「知らん!」と答えた。
「……開いた!!」ソラが叫ぶのが聞こえてきた。「早く……!!」
湯気の合間から、ゴーレムが足を『ウグイロン』の口に突っ込んでいる様子が見えた。口を閉じることができなくなった『ウグイロン』は、そのままブレスを吐こうとしていた。
――しかし、レイはその一瞬を逃さなかった。
「『クリムゾンピアシングブレス』!!!」
いつもの『クリムゾンブレス』よりも細い火炎が、レイの剣から勢いよく噴き出した。炎は螺旋状の火を残しながら、一瞬で『ウグイロン』の口に命中した。
『ウグイロン』の体は、レイの炎で串刺しになった。頭から尾まで順番に爆発して燃えていき、『ウグイロン』は鳴き叫んだ。
そして、
「ギイイイィィィ…………」
『ウグイロン』は力尽き、完全に灰となって消えた。




