009話 5月11日#02
レイが目を覚ましてから、俺たちは月の神の話を聞いた。
『ワタクシと太陽の神って、昔から何かと意見が合わなくてですね……何かと戦闘になっちゃうんですよねー』
「あー。私も何かと『おひつじ座の星霊』と喧嘩して戦ってたから、わかるなー」
「俺はわかんないんだけど……?」
俺の意見は無視された。
『ワタクシ、ちょうど皆既食になった時に落ちたでしょう?あの瞬間、太陽の神がワタクシに呪いをかけて、地上に突き落としたんです』
「ということは、太陽の神はわざとあんたを地球に突き落とした……?」
『そうなんですー』
どうも『太陽の神』『月の神』というだけあって、ふたりとも太陽や月に住んでいるらしい。
「……で、この『石』は何?」
俺は『リブラの石』を取り出した。
『それ、ワタクシの力の一部ですね』月の神は、ピカッとピンク色に光った。『『星の女神』さんがワタクシの暴走を止めようと作った仕組みです』
――また別の神様が出てきた。
「『星の女神』は『星霊のいる世界』を管理している神だ」と、レイが追加情報を教えてくれた。
『太陽の神にも同じ仕組みが埋め込まれているんですけど……あんまり力を使いすぎると、それに反応して『神の力』が『石』に変化して、ボロボロと地球に落ちちゃうんです』
「はあ……で、そうするとどうなる?」
『ワタクシは力のほとんどを失っちゃいました。このとおり、体も小さくなっちゃいましたし――でも、その『石』はだいたい『星霊使い』のみなさまの近くに落ちたはずなので、探すのは難しくありません』
「へー、そーなんだー」
「星霊使いが知らなくて、大丈夫なものなのか……?」
――ちょっと心配。
『そこでですね、カイトさんやレイさんに1つお願いがありまして、』月の神は、お辞儀のように体をくにゃっと曲げた。『そのワタクシの『石』を揃えていただきたいのです。12個全部』
「……自分ではできないのか?」
俺は内心「神様のくせに……」とつぶやいていた。
『あ!ワタクシも同行しますよ!』と、月の神は慌てて付け加えた。『でも、ワタクシだけじゃ、どうにも難しいことでして……何しろ、』
月の神は、レイの方を振り返った。
『星霊使いたちが、全員ワタクシに協力的とは限らないんです』
「そうなのか?」
レイは首を傾げた。
『今回の場合は特にそうです』月の神はうなだれた。『どうやら太陽の神に味方する星霊使いたちがいるみたいで……その人たちが(たぶん)拾った『石』を回収するのは、すごく骨が折れそうなんです……』
そして、俺が渋い顔をしているのを見て、月の神は急いで付け加えた。
『あ。ワタクシに骨はないですね』
「そこじゃねえよ」
俺はため息をついた。
「まあ、本当に困っているみたいだから言いにくいんだけど……俺にはいろいろ、仕事とかあるし、『石』なんて集めている場合じゃ……」
『……ですよねー』月の神はレイの方をチラッと見た。『あなたはいかがですか?』
「私はヒマ人だから、いくらでも探しに行けるぞ」
『わあ!ありがとうございますー!!』
――なんか急に、居心地が悪くなった。
『では、さっそく旅の準備に取りかかりましょう!』
「まずは腹ごしらえからだな!」 レイは俺の方を振り返った。「というわけで、よろしく!」
「俺が金払うんだな……」
――まあ、俺も腹減ってたから、いいんだけどさ。
『(皆既)日食』は、太陽−月−地球と3つの天体が並んだときに起こります。太陽の神は、月の神を後方から、地球に向かって真っすぐ突き落としたようです。




