086話 5月22日#13
突然、俺は顔を上げた。来た方の道から、足音が聞こえてくる――それも、複数。
「全員隠れろ!もしかしたら、空賊とかかも……!」
「ぶっ飛ばせば?」
そう言うレイを無理矢理連れて、全員大きな岩の裏に隠れた。
現れたのは、妙な取り合わせの人間たちだった。
まず、ある2人を除いて、他の10人が、同じ灰色のフード付きマントを着ていた。
その人たちの最後尾に、マントを着ていない男が1人、両手を縛られた状態で、マントを着た2人に連れられて来ていた。シャツだけしか着ていなかったが、そのシャツもボロボロで、体のあちこちに痣があった。
一方集団の最前列にも、マントを着ていない人がいた。赤いタイトなドレスと、明るい緑の髪を頭の上に2つ団子状にした女の姿は……外国の服装なのか?
彼らは遺跡の中の植物が生えていないところを陣取り、拘束中の男を中心に1つの輪を作った。
「おい!レイラ!」男は少し怖がっているようだ。「もう逃げないから、いい加減この縄をほどいてくれ!」
「それを言うなら、『教祖様』に言いなよ。私じゃなくて」レイラと呼ばれた女は、冷たい目線を男に浴びせた。「私は「ピエールに罰を与えよ」って命令されただけだから」
その名前を聞いた俺は、男の正体に気づいた――ケレスで俺をピース教団に入団させようとした男の名だ。
よく考えれば、他の人たちのマントも見覚えがある。ピエールと一緒にいた他の団員も、同じような灰色のマントを着ていた。
マントの背中には、緑色の大きな記号の刺繍が付いていた。『Ω』の下に1本の直線が書かれているような――うーん、前はこんなのあったかなあ?覚えてないや。
「ば、罰って、一体何を……!?」
ピエールは、カタカタ音が鳴りそうなほど震えている。
「今からそれを、読み上げまーす!」レイラはそう言うと、すぐ隣にいた団員から紙を受け取った。「『ピース教団法務部』より、刑罰執行の代理依頼」
――『刑罰執行』?
レイラは淡々と紙の内容を読み上げた。
「罪人:ピエール|(幹部)、罪状:未許可の方法での勧誘……貴重な『石』を他人に譲渡し逃走を黙認……そして、自らも他の団員の追跡から逃走し続けた……」
――もしや、俺との間で起こったことを咎めているのか?
「『裁判』の時にも言いましたが、『石』は奪われ、当人に逃げ切られただけで……」
――いや。間違いなく『石』は手渡された。
「処罰:」レイラは全く耳を貸さなかった。「裁判での厳正なる協議の結果、罪人を……」
――『ウグイロン』の生贄とする。




