085話 5月22日#12
俺たちは森の中で、ずっと木の根や丈の長い草に足をとられながら歩いていた。
だがしばらく歩いていくうちに、そのような障害物のない『道』らしきものを見つけた。
「これ、誰か……人間が作った道なのか?」
「だと思うよ」テンはこくんと頷いた。「最近も、誰かが使ってたかもしれない」
『そうですねー。きれいですもんねー』
「ねえ。せっかくだし、あたしたちもどっちかの方向へ歩いていきましょうよ!」
「んー、そうだな……」テンはジャイロコンパスとにらめっこしていた。「こっちの方が、北寄りの方向へ行けると思う」
『じゃあ、そっち行ってみましょう!』
――それにしても、
「思ったより、何もいないな」
『モンスターが、『フュルフュール』と『ジャイアントサラマンダー』しか出てきていませんものね……』月の神も首を傾げていた。
「何か……また嫌な何かが出てきたりして……?」
「え?待って。君たち、」テンが後ろを振り返った。「『フュルフュール』がここにいたの?」
「ああ。それに襲われたのが、そもそもの災難の始まりで」
「……どうりですごい雨が降ったと思った」
テンは、なぜかため息をついている。
「どうした?」
「僕も災難だったなと思って……僕の一張羅のコートがびしょ濡れになって」
「……よかったな、それだけで」
そんな話をしているうちに、広く開けた場所までやって来た。木はないが、ところどころ、大きな直方体の岩が地面に転がっていた。
「あれ?これ……」リアは俺の肩から身を乗り出した。「何かの遺跡……?」
「古そうだね〜」そう言うと、テンは両手の親指と人差し指で長方形を作り、それを目の近くへ持ってきた。
何をするのかと思ったが、長方形を覗き込んでいる右目をぱちりと瞑ってウィンクしていた。
「……何やってるの?」
「写真!」テンはそう言って、いつの間に手に持っていたものを俺たちに見せた。
それは確かに、写真だった。セピア色の、今俺たちが見ている風景が、そのまま写っている。
「へー、そんな魔法あるんだ……」
「すごいでしょ?」
『では!ワタクシの写真を撮ってくださいな!貴重な神の写真ですよ〜!』
「え、あ……はい」
ノリノリでポーズ|(?)をキメる月の神と、若干引きながらも要望に応えるテン。
その様子を見て、俺は思わずくすっと笑ってしまった。




