079話 5月22日#06
「おーーーい!レイ!!起きてるかーーー!?」
俺はレイの部屋の扉をドンドン強く叩きながら叫んだ。
「アリエスーー!いるなら返事しなさーーーい!!!」リアも懸命に声を上げる。
「……えーーい!!もういい!!」俺は取っ手に手をかけた。「緊急事態だ!開けるぞ!!!」
――そして中を見て、呆然とした。
「……何ここ?」
大量の本が、床に散らばっている。どうやら壁一面に取り付けられた棚から、本が飛び出したらしい。
そしてベッドの中で、レイはしっかり眠りこけていた。変な向きになって、へそ出してる。
「……って、」リアは叫んだ。「寝相悪〜〜〜!!!」
「今はそれどころじゃない!!」俺は、必死にレイの体を揺すった。「おーい!レイーーー!!早く起きてくれーーーー!!!」
体を揺すっても反応はなかったが、頬をバシバシと|(慌てすぎて、力加減間違えた)引っぱたいたら、ようやくレイは起き上がった。
「……んー?」レイは薄暗い自分の部屋を見渡した。「変だな……本が床に……」
「レイ、助けてくれよ!」俺は必死に訴えた。「俺たち、今……」
「本出したら、ちゃんと戻してくれ」
「こうなったのは、俺たちのせいじゃねえ!!」俺はベッド枠をバシンと叩いた。「いいか!俺たち今、ドラゴンの腹の中にいるんだ!!早くしないと、消化される!!!」
「……えー?」レイは、ようやく頭が動くようになったようだ。「そうなの?」
「そうだ!!」俺は立ち上がった。「もし、ピエール号が消化されたら、次は……!!」
「……神様って、消化できるの?」
『わかりません〜〜〜!!!』ピエール号の物悲しい叫びが聞こえてきた。『ワタクシ、ドラゴンのお腹の中に入ったの初めてなんです〜〜〜〜!!!!』
「そりゃ、わかってる!!」俺はレイを揺すった。「とにかく、このままじゃ……!!」
「そーか、そーか」レイは全く動揺しない。「つまり、その『ドラゴン』にこの船を吐かせればいいのか」
「何かいい方法はない!?」
「……うーん。一番刺激的な魔法と言えば……」
『……ひええええ!!!何するつもりですかーーー!?』
なぜか、窓の外が明るくなってきてる。
「……『インフェルノ』」
――俺は、何が起こったか悟った。
今ピエール号は、地獄の炎に包まれている。
『ひゃあああああああーーーーーーー!!!』
ピエール号の絶叫と共に、俺は地震のような揺れを感じた。
床が傾く。頭に本が次々と落ちてくる。避けきれない。ウソ…………俺、死んじゃう!!!
「えいっ!」レイが、『星霊の家』に片付けたらしい。俺たちの頭の上に降りかかってきた本と本棚が、一瞬にして消え去った。
だが、その次の瞬間、
『もうムリです〜〜〜〜!!!!』
――ピエール号が消えた。
「「え?」」
――なぜか宙に浮かんでいた。
「「ぎゃあああああああ!!!!!」」
俺とリアは落下しはじめ、絶叫した。
――どうも、雲の上を飛んでいたドラゴンにピエール号を吐かせることには成功したのだが、ピエール号はレイの『インフェルノ』に耐えられなかった。らしい。
ピエール号が元の『幼虫』の姿に戻ってしまい、空中に残された俺たちは、地面に向かって落下し始めた――しかも、俺たちの下には雲海がある……この中入ったら、俺たちバラバラになるんじゃね!?




