078話 5月22日#05
先ほど、リアが言ったことは正しかった。
雨と風はだんだんひどくなり、ときおり雷の音が聞こえるようになった。そして、その嵐の中心にいたのは……
『ど、ど、ドラゴンがいます!』ピエール号はうろたえだした。『『フュルフュール』です!この嵐を起こしている張本人です!』
「ドラゴン?」俺がちょうどリビングに戻った時、リアは首を傾げていた。「そんなの、神様ならぶっ飛ばせるんじゃない?」
『ムリです〜!今のワタクシには、ほとんど戦闘能力がないんです〜!』
「マジで?」リアはあたりを見回した。「じゃあ、アリエスがぶっ潰して……アリエス、どこよ!?」
「……こりゃ、寝てるな」
「え!?」
「いくぞ、リア!俺たちの力で、何とか嵐を止めさせよう!」
「い、いやよ!!」俺に掴まれたリアは、じたばた暴れ出した。「こんな嵐の中にいたら、リア死んじゃう!」
俺はリアの言葉を無視して、嵐吹き荒れる甲板へと出ていった。
外に出るとすぐ、ドラゴンの姿が見えた。
デカい。ピエール号を一飲みにできそうだ。『王立モンスター動物園』で見たドラゴンがかわいく見える。
――てか、近い。近すぎる。何をどう考えてもヤバい。
「で、どうするつもりよ!?」リアは、俺の耳に掴まりながら訊ねた。
「リア!攻撃魔法何が使える!?」
「あたし、そんな物騒な魔法使えな……」
「何が使える!!!?」
「あたしの魔法じゃ、ぜっっっっっったいに効かないわ!!」
「何でもいいから、やってみろ!!」
「もう!!知らないわよ!!!」
リアは俺の手の上に下りると、弓に矢をつがえた。
そして、ドラゴンに向かって、ではなく、上空に向かって矢を放った。
「『サンダーショット:フルメン』!!!」
矢は突然巨大化し、ドラゴンの顔を貫通できるくらいの大きさになった。矢は放物線を描き、ドラゴンの頭に真上から突き刺さった。
――ん?『サンダー』?
――ズドーーーーン!!!!
ドラゴンの頭に、強烈な雷撃が落ち、そして、
「ギャオオアアアアアア!!!」
ドラゴンはこちらに顔を向け、ピエール号を吹き飛ばしそうな咆哮を上げた。
「…………効いてねえ!?」
「ほらもー!!言ったでしょーー!!あたしの魔法じゃムリなんだってばーーーー!!!!」
リアは、俺の手のひらをポカポカと殴った。
「……つーか、口開けたよ!!??」俺は船内へと急いだ。「何かブレスでも出すつもりじゃ…………!!!!」
――だが、ドラゴンは何も吐かず、ピエール号をパクッと口の中に飲み込んだだけだった……
『ひゃあああああああああーーーーーーー!!!!』
ピエール号の絶叫が、船内に響き渡った。




