表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
月と星座と剣士の旅〜魔法が苦手な俺が、魔法で神様を救う話〜  作者: く~が~
ユピテル編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

70/98

070話 5月20日#06

 「は?何言ってるか、わかんないけど?」



 リアは、俺をぎっと睨んだ。



 「……ちょっと爺さんたちに確認してくる」俺はさらっと受け流し、後ろを向いた。「ジャクリンさんには、もう少し寝てもらおう」



 そして、リアが何も言わないうちに、俺は例の店へと走っていった。






 ――そして、すぐ帰ってきた。



 「それでいいってさ」唖然としたリアの顔が、めっちゃ快感だ。「出発する直前に顔を出せば、もう何も言わないって」


 「ちょ」リアは言葉が出てこなくなっていた。「な、何でそんな……勝手に……」


 「いいじゃねえか。お前は家に帰らなくていい、爺さんは好きな菓子が食える、俺たちは現金がもらえる。みんなにっこり笑顔で収まるじゃん」


 『あ、現金が欲しかったんですね』後ろから、ピエール33世のつぶやく声が聞こえてきた。今は、ロボットの姿になっている。


 「でも、『旅』なんて、あたし……」



 ――あれ?何か様子が変だ。



 「そ、そりゃ、あの狭い工房に居続けるのに比べれば、ずっと楽しそうだけど……」


 「……さてはお前、『旅に出たい』って思ったことあるだろ?」


 「ギクッ」



 めちゃくちゃわかりやすい反応をした。



 「1人じゃないから限度はあるが……お前の言う『自由』が手に入るんだぞ」


 「『自由』……」


 『あー。思わず口を挟んじゃいますけど、』と、ピエール33世は言った。『旅っていいですよ。仲間同士でしゃべったり、一緒に街を探検したり、三度の食事もみんなで作って食べたり……』


 「……そこは譲らねえんだな」俺は苦笑いした。


 『きっとあなたも、あなたなりの楽しみ方を見つけられるはず――ワタクシたちも、あなたならウェルカムですよ!』



 リアはずっと、自分の足を見つめ続けている。


 静かに待っていると、やがてリアは顔を上げ、意を決してこう言った。



 「いいわ。一緒に行って、あ・げ・る♪――その代わり、」リアはにやりと笑った。「『力自慢大会』で優勝しなかったら、今の話はナシよ」


 「……絶対勝ってみせるさ!」


 『おおお!』ピエール33世は、ピンク色の光を発しながらくるくる回った。『もう1人仲間が増えそうです!……あと、カイトさんが頼もしい!』


 「はあ、まさか……」リアはぼんやりと空を見上げた。「あのじいやばあやに賄賂(わいろ)贈ってあたしを解放しようとする人が、この世にいるなんてね」


 「……菓子を『賄賂』って言うな」



 ともかく、話はまとまった。後は、俺が腕相撲大会で優勝するだけ。


 勝負の相手がどんな奴らなのかわからないが、俺は絶対に負けるもんかと心の中で燃えていた。



 「……だって俺、」自信満々に空を見上げた。「学校の腕相撲大会で、3年連続で優勝したんだぞ?」



 ――それを聞いて、リアが「あんたも『腕力バカ』?」と苦笑いしながら、ジャクリンさんの魔法を解いた。



 数秒おいて、ジャクリンさんは目を覚まし、ゆっくりと起き上がった。



 「あれ、私……どうしたんだろう……?」


 「きゅ、急に倒れちゃったので、しばらくここで寝かせていました」俺はそばに寄ったが、顔が直視できない。「医者を呼ぼうかどうしようか迷っていたんですけど……大丈夫ですか?」



 ジャクリンさんは「ええ」とは言ったが、何か違和感があるのか、首を傾げていた。



 「……ちょっと仕事で疲れちゃったのかな?」ジャクリンさんはそうつぶやいた。「午後は仕事を休ませてもらおうかな」



 どうやら本当に記憶がないらしいので、こちらの問題は解決済みということにしよう。



 ――と、ほっとしていたら、その後の会話から思わぬ一撃を受けた。



 「……そういえば、今日って何日だっけ?」



 ジャクリンさんがそう言うと、レイは指折り数えて言った。



 「……5月20日」


 「ああ、そうだったね。じゃあ私、明日は元々やす……」


 「……ええええ!?ま……!!」



 俺が過剰反応したので、レイとジャクリンさんは不思議そうな顔をこちらに向けた。



 「どうしたの?」


 「5月20日……」もう泣いていいですか。「お、俺の誕生日……」



 目の端に、ジャクリンさんの死角にいるリアが、腹を抱えて笑っている姿が映った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ