表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
月と星座と剣士の旅〜魔法が苦手な俺が、魔法で神様を救う話〜  作者: く~が~
ユピテル編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

64/90

064話 5月19日#06

 その日の夜。


 宿の一室で、俺とリアによる大|(?)バトルが勃発していた。


 俺は、リアを捕まえて袋か何かに詰め込んで、爺さん婆さんの店へと連れて行こうと躍起になっていた。


 対するリアは、走って逃げて物陰に隠れて、俺の企みを阻止しようとした。



 「あたしはぜっっっったいに、あの店へは帰らない!!」と、リアは宣言した。


 「でも、昨日は帰ったんだろ?」


 「食料をくすねただけよ!」リアはちょこまかと走り回った。「どうせウチ、お茶菓子あり余ってんだし」


 「茶菓子なかったのお前のせいかよ!」


 「と〜に〜か〜く!」リアは、人差し指でビシッと俺を指差した。「あなたはあたしの作戦を、明日決行するのよ!」


 「お前が帰るほうが、ずっと健全な方法だと思うが?」



 俺が言い返すと、リアはむーっとむくれた。



 「確実な方法じゃないわ。うちのじいやばあやが激怒するとどうなるか知らないでしょ?」


 「『激怒』させるほど反抗しているお前のほうが悪いんじゃん!」


 「あたしの行動の方がフツーよ、フツー!子どもは、子どもの親|(祖父母)の言いなりになんてならないの!」


 「えー」俺にはわけがわからなかった。「言いなりにならなくても、それなりにお互いに理解し合おうと努力できるんじゃないか?」


 「……あなた、親いないでしょ」


 「孤児だが、悪いか?」俺はむっとした。


 「はー、だからわからないのね」リアは肩をすくませた。「『子どもと親|(祖父母)の間の確執』ってやつが!」


 「いちおう、孤児院の院長は厳しい人だったし、それなりにわかってると……」



 ――俺は小さい頃に親を亡くし、それ以来孤児院でずっと育ってきた。


 だから、『親がいる子どものほうが愛情注いでもらって、幸せに育つんだろうな』……と、孤児院のスタッフたちに怒鳴られるたびに想像していたのだが。



 「いいえ!……まずね、親|(祖父母)は子どもの考えなんて受け入れてくれないものなの」リアは腕を組んだ。「無理やり子どもに自分たちの価値観を押し付けてさ。子どもが抵抗すると、それはすべて子どものせいになるの!」



 何やらスイッチが入ったようで、リアは思いの丈を大きな声でぶちまけた。



 「しかも、子どものデフォルトの考えって、どうしても親|(祖父母)の考えになるの。だから、ずっと「これは、本来の自分とは違う」って、悩み続けることになるのよ!その長いトンネルから脱出するまで、いったい何年かかると思う!?」


 「え、えーっと……?」


 「食事にしてもそうよ!自分たちの好きなものしか食べないし!三度の飯を作ってやってるのは自分たちなんだから、感謝しなさいって押し付けるし!支度を手伝え手伝えってうるさいし!……ちょっとは子どもの都合を考えてほしいわ!!」



 俺は隙を見てリアを掴まえようと手を伸ばしたが、リアは持ち前の素早さで俺の手から逃れた。



 「とにかく!」リアは弓に矢をつがえ、俺の方に向けた。「あたしは帰らない!これからは自由に生きるの!あんな爺さん婆さんの言いなりになんて、もう絶対ならない!」


 「ちょっ……そこで武器構えるのは、反則じゃね!?」



 俺の武器では、リアが小さすぎて到底当てることはできない。


 でも、とりあえず引き抜いて、剣を前に構え――



 「『ヒプノーシス:デュオデシム』!!」



 リアは突然弓矢の向きを、ほとんど真上に向けた。その矢は天井に当たる前に放物線を描いて下向きになり、そのまま俺の眉間にぷすっと刺さった。



 「いや!今の動きは、おかし……い……」


 俺は急に力が抜け、剣を床に落とし、ベッドにぶっ倒れた。



 そしてそれから12時間、一度も目を開けることなくぐっすりと眠ってしまった。

何だかリアが思いの丈をぶちまけていますが、一人っ子もそれなりに苦労するんですよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ