058話 5月18日#04
『いやあ、すごかったですねー』
ピエールネックレスは、ほのかに黄色に輝きながらそう囁いた。
「確かに、植物が臓器を狙って這い回るとか……」
『まあ、そっちもすごかったですけど』ピエールネックレスはレイの胸元でゆらゆら揺れた。『あの飼育員さんもなかなかの人でしたよ。あの大きさのゴーレムを操るとか」
「何か一瞬、その飼育員が姿を消した気がするけど、気のせいじゃねえよな?」
『ええ。おそらくゴーレムの中に入ったんだと思います』
「世の中にはいろんな人がいるんだな……」俺は驚き半分、呆れ半分でつぶやいた。
俺たちは、動物園の中にある食堂で昼食を食べた。リーズナブルだがなかなか美味い料理を出していて、残りのユピテル滞在期間中もずっとここで食べたいと思ったほどだった――ここで食べるには、毎回動物園に入る必要があるんだけど。
その後、もう少しだけ見て回ると、俺たちは動物園を去り、その入口で解散した。俺はその足で旧市街へ行く……前に、途中にある『ありさん』で仕事を探してみた。
ちょうどいい感じで臨時の夜の見張り兵を探している仕事が見つかったので|(騎士の資格証明があるので、臨時兵の仕事も選ぶことができる)、仕事が始まるまでの間、ちょっと旧市街を歩き回った。
今は午後3時くらい。旅行客らしい人がちらほら歩いているが、大通りほどではない。俺はライトニングさんの工房を目指して、石畳の道をのんびりと歩いていった。
「ちょっと眠いなあ」俺は大きなあくびをした。「ライトニングさんからちょっと話を聞いたら、どこかで休んで、それから……」
俺は目をぱちぱち瞬いた。一瞬、横にあった建物の窓のところに、誰かがいるのが見えた気がした。
その女性|(?)は、まるで人形のように小さな体をしていて、窓に寄りかかってこちらを見ており、穏やかな笑みを浮かべていた。
――と、思ったのだが、次の瞬間には、その姿は消えてなくなっていた。
「……やっぱ疲れてるのかなあ……」
今日もいろいろなことが起こりすぎて、ちょっと体に負担がかかっているのかもしれない。今日はライトニングさんに話を聞くだけにして、後は仕事の時間になるまで、宿で休んだ方がいいだろう。
方針が決まったところで、ライトニングさんの店へたどり着いた。扉は閉まっており、中からかけられた看板に『CLOSED』という文字が見える。
「………………」
やっぱり明日出直した方が良さそうだ。俺は元来た道を引き返して、宿へと向かった。




