056話 5月18日#02
街の西側には、大きな施設があった。
「うお!『王立モンスター動物園』!!」俺は思わず興奮した。「あるって噂は聞いてたけど、ホントにあった!!」
「モンスターに興味がおありで?」と、ジャクリンさんは訊ねた。
「モンスターにというより……『モンスターがいっぱいいる』動物園は、やっぱり気になりますよ!」
「私も、見てミタイ……」
「あ、でもさすがに……」
俺がジャクリンさんの顔色を窺うと、ジャクリンさんは微笑みながら言った。
「大丈夫。入場料を払えるなら」
「……いくらだ?」
俺は動物園の入口に近寄り、値段を確かめた。
「あ。私の分は、自分で払うよ」と、ジャクリンさんは付け加えた。
「うーん……」
『どうしましたか?』と、ピエールネックレスは訊ねた。
「2人分の入場料……払えないことはないけど、この街でも稼がないと、ちょっと心もとないな……」
『では……どうします?』
「今夜から『ありさん』で仕事探してみるわ」俺はよし、と気合を入れた。「少しでいいから、金貯めて次の街へ行きたいしな」
「じゃあ、今日は、動物園……?」
「というわけで……レッツゴー!!」
『「おー!|(小声)」』
期待を裏切らず、『モンスター動物園』はめっちゃ楽しいところだった。
恐ろしさゼロで、かわいさ100パーセントのウサギやネコのような小型モンスターから、ドラゴンや空を飛ぶサメのような大きなモンスターまで、いろんなモンスターを見ることができた。
――『アップル・グラトニール』がいたのには、ちょっと苦笑いしたけど。
「へえ。こんなにデカいのに草食性なんだ」俺は太った体と3本の角を持つ、ゾウほどの大きさのイグアナを見つめてつぶやいた。
「えー、やだなあ。ちょっと気持ち悪い」
ジャクリンさんが引いていたのは、大きなミミズみたいなモンスター。こちらは肉食で、先端にたくさんの歯の生えた口を備えていた。
「あ」レイが声を上げた。「ヒツジ……」
レイの指さす方を見てみると、数頭のヒツジが1つにかたまっていた。ヒツジたちの毛は、きれいな銀色だった。
「『シルバーライニング』っていう名前らしいよ。羊毛が銀色のきれいな布になるんだって」
説明書きを読んでいるジャクリンさんの言葉を聞きながら、レイはこそっと言った。
「アリエス、金色」
彼女の義理の親『おひつじ座の星霊』の毛は金色らしい。
その後も、ペガススとか、人語をしゃべるカエルとか、飼育員も餌をあげるのに苦労する大サソリとか、ダンゴムシのように丸まって延々と眠り続ける謎の生き物とか……挙げたらきりがないほどの数のモンスターを見て回った。




