052話 5月17日#03
その後、俺はレイを王宮前広場へと連れて行った。
さすがのレイも、王宮を初めて見て驚いた顔をした。
「……ここ、広い」
「だろ?俺もびっくりした」
「建ててから結構年数が経っているって聞いたことあるよ」と、ジャクリンさんは言った。「建国してしばらくしてから……350年くらい前に建てられたとか……」
「へえ……」
その時、レイが俺の腕をつんつんしてきた。
レイは足元を指して「『星座のシンボル』」とだけ言った。
「……?」
外国人になりきってるのか、どうもレイの口数が少ない。理解できてないと首を振ると、ピエールネックレスのフォローが聞こえてきた。
『えーっと、主に『占星術』で使われるんですけど、黄道十二星座には、それぞれの星座に対応するシンボルがありまして。例えば今レイさんが指したのは『かに座』のシンボルです』
俺は足元を見てみた。6と9がくっついたような形をしている……と思ったら、レイが俺の体をくるりと回した。見る方向が90度違ったらしい。
よく見ると、確かに同じようなシンボルが円を囲むように描かれている。シンボルの数を数えたら、ちょうど12個あった。
「でも、何でそんなのがこんなところに?」
『昔、いろいろな儀式をしていたところでして……この国を建国したのはワタクシと『太陽の神』と人間の王様なので、星と建国の物語の間に結びつきがあるんですよ』
「……うーん」
俺は学校で歴史を習ったはずなのだが、全く、何にも覚えてない。
でも、『十二星座の力』と『月の神』が関係していて、『月の神』とこの国の『建国』が関係するのなら、ピエールネックレスの言うとおり、『十二星座』と『イェリナ建国』は、関係があるのかもしれない。
俺たちはしばらく広場を見て回り、ベンチに座って牛乳を飲み|(サトゥルヌスの牧場でもらったやつ――味が濃厚で、めっちゃ美味かった)、しばらくして俺とレイたちは別れた。
1人になって、俺はメインストリートをゆっくり歩いていた。探しているものが、そもそもの所在がわからないという状況は、何とも歯がゆい。
「前に博物館で訊ねた時、「わからない」って言われたしな……」
――でも、訊いてみて「わからない」と言われたら、星霊使いが持っている可能性は高くなる。かも。
「……やっぱり、聞き込み調査が一番いいのかな」
俺はガイドブックを取り出し、どこかに博物館がないか調べ始めた。




