049話 5月16日#05
「さて、どうすっかなー」
思えば、ウラヌスでもサトゥルヌスでも、関係者にすぐ会えて幸運だったと言わざるを得ない。
だが今回もそうとは限らない。特に、星霊使いや月の神が一緒にいないので。
それに、この街では俺も『騒ぎ』を起こせない。今までに会った星霊使いたちの好戦的な性格を考えると、『いて座の星霊使い』って人もそういう性格の可能性がある。
「でも、検問のある街だからなー……」
――違うことを祈ろう。
さて、どこから行こうか。
「……まずは、ちょっと歩いてみるか」
すぐ近くにあったのは、観光客向けと思われる土産屋が何軒か。あと宿もいくつかある。
俺が今いる道は真っ直ぐで、白っぽいタイルで全面舗装されていた。その上を、人々や馬車がにぎやかに通り去っていく。
「……んー、」俺はちょっと考え込んだ。「タクシーに乗って中心街へ直行するか……でもこのあたりを散策がてら調べるのも……」
その時、建物と建物の間が少し広いところがあり、そのずっと奥の方にある大きな建物がちらりと見えた。
「……え?あれって……」
俺は走って広い道に出て、その建物がよく見える場所を探した。
「あ!」
――それは、王宮だった。
白亜の壁と、金色の屋根の装飾。かなり遠くにあるはずなのに、全くそうは見せないほどの大きさがあった。
間近で見たくなった俺は、急いでタクシーを探し、よく見えるスポットまで運んでもらった。
そして、王宮の前に一直線に伸びる大きな通りで降ろしてもらった。
「うおー!すげー!!」
――この国の王様は、こんな立派な家に住んでいたのか!
さっきより近くで見ているので、正面の大きな入り口や、中央の建物を囲むいくつもの塔、そして壁に刻まれた様々な模様や彫刻といった細部まで、全体がはっきりと見えた。
「あれ?でも、『城壁』みたいなやつはないのか……?」
俺はガイドブックを取り出し、王宮のページを探した。
「……え?『バリア』?」
城壁の代わりに、四方と上方に魔法のバリアが何重にもなって存在し、建物を守っているらしい。
「『バリアを通り抜けられるのは、王にその資格を認められた者のみ』……」
どうも、王宮の手前にある広場には誰でも自由に入れるようだが、そこにもバリアが張られているようだ。ここでも王様は、バリアの内側にいることになる。
「……な、何かすげー……」
バリアの魔法がどうやって維持されているのかは当然秘密だが、巷の噂では地下にめっっっちゃ大きい蓄魔力池があるとか。
「とりあえず、あの王宮前広場へ行こう」俺はてくてく歩き出した。「何か手がかりがあるといいんだが」
どうやら馬車だけでなく、蒸気機関で走る自動車のバスやタクシーが存在しているようです。




