046話 5月16日#02
「おお、やった!5万*いったぞ!」
『いろいろと買いましたけど、結構貯まりましたね』
サトゥルヌスにいる間に3人で稼いだ金額を数え終え、俺はガッツポーズをした。
『何だかんだいって、稼ぎのいい仕事を選びましたからね』
「これからしばらくは、ピエール号の料理で食費を節約できるし、ホントいい街だったな!」
『料理を作るのは、カイトさんとレイさんもですよ!』
「……そういえば、レイは?」
とりあえず周囲を見てみたが、リビングにはいないようだった。
『……お部屋で読書中のようです』
「あー、そう」
『カイトさんは、読書しないんですか?』
「……俺、そういうの好きなタイプに見える?」
『……いや、全然』
何となく、はっきり否定されてちょっと悲しくなったが、少なくとも文字の読み書きも金の計算もできるので、問題はないと思っている。
『カイトさん……見えてきましたよ、ユピテル』
「え、もう?早くね?」
『ウラヌスからサトゥルヌスの間より距離が短いみたいですね』
「一体どんな街なんだろう?」
俺はテーブルの上に広げてあった硬貨や紙幣を集めて財布に入れると、甲板へ足を運んだ。
見えてきたのは、真っ白な城壁。太陽の光を反射して、眩しさを感じる。
城壁の上であたりを警戒している兵士の姿があり、彼らの服も白い。彼らの踏みしめている城壁の上部は金色で、さらに眩しく輝いていた。
『あ。飛空艇発着場も駅も、城壁の外にあるんですね』
ピエール号の言うとおり、城壁に沿って左へ行ったところに、ポートと鉄道の駅の両方の機能を持った建物があった。人が多く、飛空艇も頻繁に出入りしている。
『空いていそうな乗降場見つけました。少し揺れますので掴まっててください!』
ポートに無事たどり着き、建物の1階へと下りて行ったところで、早速難問が待ち構えていた。
『「け、検問……?」』
人々が列を作って、ゲートにいる兵士に持ち物を見せたり、質問に答えたりしている――どうやらユピテルへは、検問を通らないと行けないようだ。
「あんなの、どうやって乗り切ればいいんだ……?」
『ワタクシのお仲間のロボットたちも検問を受けてます……どうしましょう!?』
「……2人とも、」俺は首を傾げた。「別に悪いことをしてたわけじゃないし、普通に通れると思うんだけど」
「……以前、私が検問を受けた時のことを知らないだろ」
『ワタクシ、本物のロボットじゃありませんよ?どうやって説明したらいいんですか?』
「まあ、ピエール33世の方はわからなくもないけど、」俺はレイに向き直った。「何でレイは検問に引っかかるんだ?」
「あれ、なんだっけ……資格証明?とかいうの持ってないし……」レイはため息をついた。「いろいろ検査されるんだが、私は悉く引っかかるんだ」
「例えば?」
「まず、氏名年齢住所を訊かれるだろ?私住む場所どこにもないし、」
「はあ」
「職業も、特に働いてないし、」
「はあ」
「魔力量も多すぎて測量機器がぶっ壊れるし、」
「はあ」
「あと持ち物検査!あれ、魔法でしまってる持ち物も対象で、私の持ち物検査に1週間はかかるんだよ」
「…………俺もいろいろ訊きたいんだが、」俺は頭を掻いた。「まず……何で住む場所がないんだ?」
「修行を終えて故郷のマルス村へ行ったら、既に廃村になってた……」
「何で廃村に?」
「知らない」
「……だろうと思った」俺はため息をついた。
「私、こっちの世界に友人はいないし、誰が親戚かもわからないし、頼れる人がいなくて……」
「……役所に相談すれば?」俺はそう提案してみた。
「何で?」レイは首を傾げている。
「たぶん、そういう家のない人のための施設とかを案内してもらえると思う」
「………………」
――知らなかったんだな。
*(スタ)って、すごい貨幣の単位ですね笑
5万*は…たぶん5万円くらいの価値があります、たぶん。




