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月と星座と剣士の旅〜魔法が苦手な俺が、魔法で神様を救う話〜  作者: く~が~
サトゥルヌス編

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043話 5月15日#06

 市場では、騒ぎが起こっていた。


 『アップル・グラトニール』は、市場でリンゴ以外の野菜や果物、肉類などにもかじりついていた。


 ――しかも、満腹になると2匹に分裂し、それぞれが再び食物を探して動き回る。食べた物から吸収したエネルギーは、分裂に使われるらしい。


 俺は剣を抜き、近くにいた1匹に斬りかかった。



 ――その『アップル・グラトニール』は、煙となって消えていった。



 「これじゃ、こいつらの増殖スピードに追いつけねえ」俺はピエール33世の方へ振り向いた。「こいつらの弱点は何!?」


 『……忘れました』


 「おい!」


 「よっ!えいっ!」



 レイは市場がよく見える高さまで飛んで地面付近にある大剣を魔法で器用に操り、『アップル・グラトニール』を攻撃していた。



 『……そうだ!ワタクシ、助っ人を連れてきます!』


 「え?」



 しかし次の瞬間には、ピエール33世はその場からいなくなっていた。首を傾げながら、俺も『アップル・グラトニール』を1匹ずつ倒していった。






 それから数分後。



 「……たく。何かと思えば」聞き覚えのある声が、俺の後ろの方から聞こえてきた。「『グラトニール』か……大量発生しやがったな」


 「ミライ!」



 そこにはミライの姿があった。いつも以上にしかめっ面して、市場の様子を眺めていた。



 『呼んできました!』ピエール33世が、ミライの後ろから顔を出した。


 「……めんどくさい」



 ミライはそう言いながらも、例の鏡のようなものを取り出し、中から何かを取り出した。


 ――また、見たことのない銃だ。しかも今度のは、色がカラフルだ。



 「……それは?」


 「……未来の水鉄砲」鏡からもう1つ取り出し、俺に投げてよこした。「『グラトニール』は水が苦手だ。少量の水でも、すぐに元気がなくなって死ぬ」


 『おお!そうでしたね!』ピエール33世は、緑の光をピコピコ点滅させた。


 「たぶん、晴天続きで増えすぎたんだろう。そのタンクの中に水を入れて使う」


 「……なるほど」



 俺はミライの説明を聞きながら、「ずいぶん軽い銃だな」と不思議に思った。たぶん、未来のおもちゃだからなんだろう。



 ――あ、そういえば水はどうしよう?



 『任せてください!』ピエール33世が前に進み出た。『今こそ、月の神としての本領を発揮する時!』


 「……『月の神』?」


 『あ…………』



 眉根を吊り上げたミライは、数秒間ピエール33世を睨みつけた。だがすぐに、その場からいなくなってしまった。



 「……とにかく、水だ!」


 『りょ、了解です!』



 ピエール33世は、水鉄砲に触ることなく近づいただけでタンクに水を溜めた。俺は近くにいる『アップル・グラトニール』に向けて、水を発射した。



 ――意外と勢いよく水が飛んでいき、目標に命中した。


 アップル・グラトニールはシュウウウと小さくなり、あっという間に消えてしまった。



 「……意外と使いやすいな、この『未来の水鉄砲』」


 『……もしかしなくても、ミライさんは『未来』がわかるんでしょうね』


 「そうだな……いくぞ!」

???:ミライさんは、未来のことがわかるんですね。


ミライ:まあ、未来の『モノ』については、よく知ってるつもりだ。


???:みずがめ座の星霊使いに『未来のギター』をプレゼントしたとか。


ミライ:何でそんなこと知ってんだよ!確かに、今から100年くらい未来にできるギター渡したけど……!


???:本人に聞きました。彼女の所持するギターについて。


ミライ:え?まさかあいつ、まだそれ使ってんの!?


???:物持ちがいいですからね、スターリアさん。


ミライ:……今度『みなみのうお座』に会ったら、殴る!


???:恥ずかしがらなくてもいいのに……


ミライ:そんなんじゃねえし!

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