041話 5月15日#04
俺とレイとピエール33世は、サトゥルヌスのメインストリートを歩いていた。
「あのウラヌスの高層ビルを見てからだと、何かちっこい街に見えるな」
実際、見える範囲の建物は、高くて3階ぐらいまでしかない。
『飲食店が多そうですね。やっぱり農家直送の美味しい食材が手に入りやすいんでしょうか?』
「腹も減ってきたし、何か食いたいよなー」
「……さっき、食ったばっかだろ」
やがて、大きな広場へたどり着いた。たくさんの出店が並ぶ市場になっていて、そこそこ賑わっていた。
「おい、見ろよ」俺はあるお店に近づいた。「美味そうなリンゴが並んでるぞ!」
「あら、いらっしゃい」お店のおばさんが、にこにこしながら話しかけてきた。「去年採れたリンゴを『時間冷凍』したものよ。採れたてみたいに美味しいんだから」
「……『時間冷凍』?」レイは首を傾げた。「何だ、それ?」
「リンゴに防腐処理をしてるの。採れてすぐに時間を止めて、収穫時期じゃなくても美味しく食べられるようにするの」
――ちなみにその冷凍法は、肉や魚のような動物由来の食材には使えない。もちろん人間にも――老化を止められないなんて、少し残念。
「それにしても、リンゴってこんなに種類があるんだな」
おばさんの前には、リンゴばかりが10個くらいのかごに、種類別に分けられて入っていた。
「ええ。いろんな種類があるわ。例えば、」おばさんは、手近なリンゴ1個を手に取った。「これはとても甘くていい香りがするの。ちょっと嗅いでみて」
俺とレイは匂いを嗅いで「おお!」と小さく叫んだ。
――しかも、なぜかピエール33世も『いい香りですね!』と喜んでいた――どこで匂いを嗅いでるんだろう?
「あと、こっちはさっぱりとした甘さの品種なの。それからこっちは酸っぱくて、ジャムや料理に最適。それから……」
俺たちは、リンゴの商店だけに30分くらい立ち寄ってて、気づいたら20個くらいリンゴを買っていた。そしてその隣の野菜の商店でも30分くらい。肉屋では脂ののった鶏肉とラム肉を買ったし、あとはオリーブオイルと香辛料を売っていた店でも……
――完全に、食い意地が張ってる。
『では、買った食材で早速料理してみましょう!』
「「……どこで?」」
俺とレイは、同時にピエール33世の方を振り返った。
『お二人とも、ワタクシを誰だと思ってるんですか!』ピエール33世は、明るくオレンジ色に光った。『これでも魔巧ロボットとして……いや!『魔巧キッチン』としての力は衰えておりませんからね!』
「『キッチン』って……」俺は苦笑いした。
『青空の下での楽しいクッキング!ぜひ一緒にやりましょう!』
「「……え?」」




