5月14日#06−5月15日#01
仕事が終わると、俺たちは郵便局までピエール33世を迎えに行った。
ミライのことを話すと、ピエール33世はピコピコと紫色に点滅した。
『そうですか、『石』は渡してもらえなかったんですか……やっぱり、そうそう簡単にくれる人はいないですよね……』
「思えば、ピエール33世が力を取り戻せなかったら、どうなるんだ?」
俺がそう訊ねると、ピエール33世は一瞬だけ緑色に光った。
『わかりません』
「え……」
『ワタクシ、ここまで力を失ったのは初めてなんですよ』ピエール33世はまた紫色に光り始めた。『でもたぶん、いいことは起こらないと思いますよ。例えば、月がバラバラになって地球に落ちてくるとか』
――そういう物理的な問題が起こるんだ。
『とりあえず、明日ワタクシもそのミライさんに会ってみましょう……といっても、何ができるわけでもないんですけど』
「あの店は、いいところだぞ。マスターの作る『サマーディライト』ってカクテルが美味い」
「レイ。お前、酒飲める年齢じゃねえだろ」
『……あ。それ、ノンアルコールなので、大丈夫ですよ〜』
「へー、そーなんだー」
「……知らずに飲んでたのか……」
賑やかに話をしながら、俺たちは目的の宿へと向かった。
翌朝。
俺たちは再び『林檎飴』に向かった。
「しつこいな!」ミライは噛みつくように言った。「『石』は渡さねえっつってるだろ!」
店の1つのテーブル席に座り、トミィさんが用意してくれたオレンジジュースを飲みつつ、俺はミライに言った。
「『渡さない』ってことは、今持ってるってことなんだな」
「ふん。知らねえ」
「あ……じゃあ、こういうのはどうだ?」
振り向くと、レイは「いいことを思いついた!」という顔をしていた。
「勝負で勝ったほうが、『石』を手に入れる」
「何だ、それは」ミライはぎろっとレイを睨みつけた。
「いいだろ?最強の『おひつじ座の星霊使い』に勝てるかどうか、直接試せるんだから」
「『最強』?俺はアリエスなんかより強い」
「じゃ、勝負しよう!」
「ヤダ」
「負けるから嫌なの?」
「……俺が絶対勝つ」
――意見を急に翻した。
そして、ミライはちらっとなぜか俺の顔を見た。俺は何か嫌な予感がした。
――その予感は的中した。
「待って。何で俺が戦うことになってんの」
広い芝生の上で、俺はぼんやりと立ち尽くした。
「がんばれー。アリエスー」レイが木陰に座り膝に本を広げて、気の抜けた応援をしていた。
「レイ、お前なあ……」
――完全に押しつけられた。
「何ごちゃごちゃしゃべってるんだ」ミライは相変わらず、機嫌が悪いのかデフォルトなのかわからない仏頂面をしていた。「さっさと始めるぞ」
その時、俺は鳥肌が立つのを感じた。ミライの方を振り返って、どんな魔法を使ってくるのかと身構えた。
太陽の神と月の神が喧嘩すると『石』が地球に落ちてきますが、12個全部の石が落ちたのはこれが初めてみたいです。




