037話 5月14日#05
「……お前ら、星霊使いの関係者か」
「誰だ!?」
突然の声に後ろを振り返ると、1人の青年が、暗がりから姿を現した。
年齢は、たぶん俺たちと同じくらい。髪が黒く、服は緑や茶系統のまだら模様をしていて個性的だ。瞳の色が薄く、黄色系統の色で、肌の色は逆に濃かった。
青年は仏頂面で目を細めて言った。
「何しにこの街へ来た?」
「えっと、実はさが……」
「もしかして、星霊使いか?」
俺の言葉を遮って、レイは青年の方に歩み寄った。
「私たちは『石』を探している。持ってるなら譲ってくれないか?」
「……ヤダ」
――ま、そう言うと思った。
「なぜ『石』を探してるんだ?」
「……その前に自己紹介するか」
「ヤダ」
「『石』持ってないなら、一緒に探そう!」
「何言ってるか、よくわからん」
「……あ、その子ねえ、」暗がりからトミィさんが姿を現した。「名前は『ミライ』っていうんだ。『やぎ座の星霊使い』だよ」
「おい!教えるなよ!」ミライはトミィさんを睨みつけた。
「だって、バイトに来た子がまさかの星霊使いの関係者だなんて、縁があると思わない?」
「……思わねえ」
ミライはもう一度俺とレイを睨みつけると、奥の方へ引っ込んでしまった。
「ごめんね。あんまり社交的な性格じゃないんだ」
「あー。気にしなくていいっすよ」
「それにしても、すごい偶然があるものだね」トミィさんは感心したように言った。
「私たちは『石』を探してるんだ。ミライは持ってないのか?」
レイの質問に、トミィさんは肩をすくめた。
「それは本人に聞いてみないと、私にもわからないよ」
「そういえば、」俺はトミィさんに訊ねた。「トミィさんは、ミライとどういうご関係で?」
「ミライは私の甥なんだ」
「見た目が結構違う気がするけど?」
レイの言うとおり、トミィさんは黒髪ではあるが、瞳の色も黒っぽいし、肌の色もそんなに濃くない。
「ああ。私の兄の妻は外国人なんだ。あと、魔力が強いのも原因なのかな」
「うーん」レイは首を傾げた。「魔力が強い……私の場合はどうなんだろう?」
レイが勝手に考え込んでしまったので、俺はトミィさんに話を振った。
「俺たちは、月の神様の魔力を取り戻すために『石』を集めているので、トミィさんからも説得してもらえませんか?」
――『月の神様が力を失った』って、結構重要な問題だよな?
「まあ、やってみるよ。でも、あんまり期待しないでね」トミィさんは苦笑いをした。「あの子、すっごく頑固だから」




