表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
月と星座と剣士の旅〜魔法が苦手な俺が、魔法で神様を救う話〜  作者: く~が~
サトゥルヌス編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/51

036話 5月14日#04

 ロボットに手渡された紙には、詳しい仕事の内容や場所、かかる時間、給料、仕事をする際の注意点などが書かれていた。レイが手にしている仕事と比べると、やはり『果樹園の警備』の方が稼ぎがいい。


 俺はレイの方を向いた。



 「なあ。レイはどっちの仕事がい……」


 「こっち!」迷うことなく、レイは『バルの手伝い』の方を指さした。


 「ちなみに、何で?」


 「早く寝られるから」



 ――ああ、そうかい。



 「あのさ、」俺は再びロボットに話しかけた。「この『果樹園』の仕事、明日もあったりする?」


 『モチロン、ありマス!』ロボットは、もう1枚紙を取り出した。『今後1か月くらいは、毎日募集してマスね!』


 「じゃあ、今日は『バル』の仕事をして、明日この『果樹園』の仕事をする!」


 「私は明日も『バル』で!」


 『ワタクシは、両日とも『郵便』の仕事で問題ないです!』


 『お決まりのようデスね!』ロボットは、奥にあるカウンターを手で指した。『ご登録の作業をいたしマスので、あちらへ移動していただいてもよろしいデショウか?』






 こうして、俺とレイは『林檎飴(りんごあめ)』という名前のバルまでやって来た――何でもいいけど、名前の由来が知りたい。


 なかなかいい雰囲気の店で、仕事がなくてもここに来たくなるような、温かみのある店内だった。まだ明るい時間なのでよくわからないが、照明がわりと多くて、夜でも店内は明るそうだ。



 「すみませーん!仕事をしに来たんですけどー!」


 「『ありさん』の紹介で、こちらで働くことになりました!」



 レイのストレートすぎる挨拶に苦笑いしながら、俺は『紹介状』を取り出した。



 「おお!待ってたよ!」店の奥で作業をしていた男性が、こちらにやって来た。「これはまた、元気そうな若者がやって来たね!」


 「俺はカイトで、こっちがレイです」俺は自己紹介をした。「レイは明日もお世話になります。よろしくお願いします!」


 「お願いします!」


 「うんうん、なるほどね!」男性は俺から紹介状を受け取り、内容を確認した。「私の名前は『トミィ』。ここの店長(マスター)をやってる」



 トミィさんは、俺とレイと握手をすると、店の奥の方を指さした。



 「早速、あそこにある掃除用具で、2人で手分けして店内を掃除してくれるかい?」


 「「了解です!」」



 それから、俺とレイは布巾を手に持ち、手分けして店のテーブルを拭き始めた。


 その様子を確認したトミィさんは、奥へと引っ込んでしまった。



 「ん〜!労働って楽しいな〜!」


 「……あんまり調子に乗って、物を壊すなよ」俺は吹き出しそうになるのをこらえながら言った。


 「でも、こんなに簡単に仕事できるなら、もっと早くやればよかったのかな……?」



 悩み始めるレイを見て、俺は常々疑問に思っていたことを口にした。



 「レイって、イェリナ国民のわりには一般常識知らなすぎじゃね?」


 「まあ、修行してたからなあ」レイはうーんと首を傾げた。


 「『修行』って、星霊使いの?」


 「うん」


 「何年くらい?」


 「12年間」


 「……長っ!」


 「4歳の時から始めて、16になる誕生日の直前で『試験』に合格した」


 「『試験』があるんかい!」


 「うん」レイは天井を見上げた。「その後2年間くらい、『さすらいの旅人』をやって……」


 「『()()()()旅人』の間違いだよな?」


 「……で、気づいたら『ケレス』にやって来ていた」


 「いつ頃から?」


 「ん〜……よくわかんない」


 「……お前、時間の感覚もないのか……?」



 ――そんなんで、よく今まで生きてこれたな。

『星霊使いになるための修行』は、全員がほとんど一斉に始め、最終試験に合格すると、『星霊使い』として認められるようになります。


もし試験で3回不合格になったら、その星座の星霊使いにはなれず、地球へ強制送還されます。その星霊使いの座は、次の世代になるまで空席のままになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ